第18話肉食動物の野生児狐



「よう野生児、今日も狩りか?」


「私がどれだけの肉と皮を供給しているかわかっていってるのかね」


「だから野生児なんだよ。それよりも今日行かないなら映画見に行かないか?」


「なんだデートのお誘いか。いいよ見に行こう、何映画を見る?」


「よっしゃー!見るのはもちろん武侠映画だよ、当たり前だろ。今話題の『亜洲英雄伝』がいいな」


「いいじゃん、何時から始まるの?」



 私の狩り方が肉食動物のやり方にかなり似ているため、いつしか野生児と周辺から呼ばれるようになりました。女性にこれは酷くない?まあ言い返せませんが。

 出来る限り苦しませないために即死を心がけてるんだけどね。即死させるっていうのは文明が自然を相手にする時の一つの礼儀みたいなところがこの国にはあるんだって。



 発明の国ブキョーの発展は素晴らしく、古代魔導文明において存在した映画なんてものが再発明されています。映画って凄いんだよ、なにもないスクリーンに動いてる写真が略


 えー、そんなわけでデートを楽しむくらいには語学学校の人と仲良くなってきました。

 語学の勉強って側面もあり映画を見ることが多いのですが、見るのは大体恋愛ものか武侠ものですね。特に武侠は面白い。人が空を飛び屋台が棒術の一撃で崩れ気功波で悪を倒す。さすが武芸と気功が発達している国です。


「面白かったねー、私も気功習おうかな」


「お前は何者になるんだよ。しかし亜紅がラスト気功剣で敵100人を一気になぎ倒したのは爽快だったな」


「逆にお前は何者なんだよ」


「知るか」


 このワング君は語学学校の人の中でも特に仲がよい男性です。同じ討伐系冒険者ってのが大きいかな。体格の良い狼亜人さん。人間の血より狼の血のほうが強め。年齢は20だったかな?


 私は最近採取もはじめましたけどワング君は討伐1本。特にモンスターの討伐に優れています。


「そういやワング君よ、良い防具屋知らないかい、以前イッポンツノイノシシにでくわしたときに体当たりをモロに食らって、ぐさっと腹に革貫通の内蔵ブサッとされた一撃もらったんだよねーさすがに革じゃやっていけないかもしれないんだよ」


「あー……危ない線を渡ってるな。刺突だとチェインメイルにプレートとか、ブリガンダインとかじゃねーの?そうなると……知ってなくはないな」


「ホント!?教えて教えて!」しっぽフリフリ


「あ、ああ、まあ良いぞ。予定が空いたらな」


「すぐじゃないのかー残念」しっぽショボーン


「……お前は嘘つけそうにないな」


「なんで!?」しっぽピーン


「なんでも」


 何がどうなのかよくわからないのですが、とりあえず防具の更新ができそうで良かったー♪(しっぽフリフリ)


 で、お互いこのあと予定(狩猟と討伐)があったため解散。また行こうねー♪


 あくる日、防具屋につれていってもらいました。


「ここは……板金屋ですね」


「金属は板金屋が1番だと思う」


「そうです、特にここはエルフの血が入ってますからね」


「あ、ハーフエルフさんですか。ドワーフの無骨さも良いけどエルフの機能美は美しいですよね。私レイと申します。今回は狩猟に使える位音が出ないんだけどそれなりに頑丈な防具を作ってもらおうとやってきました」


「凄い要求だな……」


「なるほど、それだと金属鎧はだいたい駄目ですね……チェイン系は完全に無理かな。布の後ろに金属板を裏打ちするブリガンダインを基本として、スライムのジェルが入った緩衝材を噛まして消音させていく形ですねーかなり高くなると思います」


「100金貨は出せます」


「なら大丈夫かな。手が込むので完成に時間がかかりますからね」


「お前すごい持ってるな……今まで遊びで支払った金返せ」


「やだよーん。」


 ということで採寸したり詳細詰めたりしたりなんだりかんだり。ここはナイフなども作ってるので帰り際に、動物の首の動脈を断つ、とどめ刺し用の長めの分厚いナイフを買いました。これで狩猟がもっと捗るしすぐに死なせる事ができる。狩猟の先輩が言うには、脳に血液が届かなくなると5秒後くらいには昏倒しちゃうんだって。止め刺しで首の動脈を切れば、血液は脳にいかなくなるからね。


 ワング君にはチェインメイルに貼るプレートを買ってあげたよ。私だってちゃんとお礼はするさ、買える値段だったし。顔真っ赤にして嬉しそうだったな。

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