第12話 レイさん何を考えているんですか?遺言ですか?(決戦)


 えーいま結構ピンチな状況に立たされております。


 ここに来るまではそれなりに順調だったんですよ、食べ物がないからか魔物はアメーバ系しかいないしそれは放置できる。

 遺跡になっているとはいえここは元は都市。そんな場所に危険な機械がいるわけでもないのでガードマン的なやさしい機械しか見かけなかったんです。罠も探知できていたしね。だいたい機能してなかったって。


 ただ少し綺麗めなお店に侵入しようとしたら、先行していたアンナさんが罠に引っかかっちゃって。アラームが鳴らされて、今までとは違う種類のロボットが出現したんです。


 そいつは黄色と黒の斜め線で塗装されていて、丸っこくて浮遊していて、前面に魔法弾を連射できる「筒」をもった機械。

 筒は回転してすごい勢いで魔法弾を撃てるみたい。警告してから撃ってきましたよ、避けられるものではなかった。


 なので慌てて物陰に隠れたんですが、私もアンナさんも少し負傷。一発はい即死、じゃなくてよかった。鎮圧弾を使用うんたらかんたらと「喋っていた」ので、殺害するほどの威力ではなかったんでしょうね。


 排除用の弾を使うって今言いましたけどね。


 ヤバイ、どうしよう。廃墟の中に隠れたから逃げ場がないぞ。


 ひー、ズドドドドという音とともに壁が削れていってるのがわかります。ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。


 ん?


「今攻撃止めてますよね、どうしたんでしょう?」


「アタシにわかるわけないじゃないですか。」


「そもそもなんで魔法弾が撃てるんでしょう。魔力って生物の体内に存在するものなのに。まあとりあえずオーブで破壊を試みますね。電撃槍形状オーブ、いけっ!!」


 ぼよーんぼよーん。


「浮いてるから衝撃が分散されちゃう……」


「やり続ければきっと壊れますよ!壁に追い詰めるのもありだと思いますよ!」


「はい!くそー、もっとオーブをうまく操れていれば浮かせている原因であろう下に拭き上げている部分を狙えるのに……!弱点どっか無いんですかね?」


「背面とか?」


「逆立ちしても狙えないですね。あ、また撃ってくる!隠れましょう!」


 ズドドドドドド、壁がどんどん削られていく!後オーブを迎撃してる!これはこのままじゃ勝てんぞ、なにか壁になるものを作らないと。なにかない?なにかない?遠距離攻撃はオーブだけで防御魔法は無属性のインスタントバリアしか無い。

 インスタントバリアじゃ一瞬でバリアを破られて終わりだぞ。あの人型相手の時見たく連続展開して防げるレベルの弾数じゃないし


 あれか、インスタントバリアの長所を消してでも分厚いバリアを形成できるようにすればいいのか。えーっと、えーっと。


「レイさん何を考えているんですか?遺言ですか?」


「縁起でもない。あの魔法弾に対抗できる無属性魔法を考えているんです!」


「考えてうまくいくんですか!?」


「無属性魔法はイメージが全てなんです!あれ、また魔法弾が止まりましたね。これなにか規則性がありますよ。狐の直感がささやいてます。」


「どんな規則性なんでしょう。」


「そこは犬の観察力の出番ですよ!」


 とりあえず今は撃ってこない。なので次の物陰に隠れました。さっきのところはもう危なかった。

 ここは壁が分厚い。少し長期間いられるでしょう。

 分厚いか。さっき考えたように分厚いバリアなら抜かれないかな?でも普通に分厚いバリアを形成すると一瞬でマジックポイントが枯渇するぞ。なにか

 しないと。



「レイさん、アタシは魔法が得意じゃないんで実感しにくいのですが、魔法って体内のマジックポイントを消費して使うんですよね。」


「そうですね、基本はそうです。マジックポーションとか飲めば外部から補給ができますけれども。」


「なるほど。」


 アンナさんなにか感づいたかな?


 マジックポイントで思い出した、電撃槍形状全くではないけどほとんど効果がないので通常のオーブ攻撃に切り替えます。マジックポイントの無駄になってたかも。

 ポーション一つ飲まなくちゃ。ぐびー。残りは一本、普通に練習のつもりで来たから赤字を気にせず購入しておいたんだよね。


「こっちをサーチして撃ってきたなあ。レイさん、撃ってる秒数カウントしておいてくれますか?」


「あ、はい。1……2……3……4……」


 大体180秒撃ち続けたら撃つのを止めました。ほう?


「今度は休んでいる時間の秒数をカウントしてください。」


「……30。あ、撃ち始めましたね。」


「深い考察は後回しにして、180秒前後撃ったら30秒ほど休むみたいですね。」


「なるほど!でも30秒だけの攻撃期間じゃちょっと……行って終わりじゃないですかね。」


「180秒魔法弾を止められればどうにかなりますかね?」


「魔力転換して剣か何らかの物理であの筒を無効化さえすれば相手の手をしばれます。そうすれば……」


「じゃあ狐の機智でいいバリア考えてください。よろしくー。」


 あ、突っ込むのか。180秒だけ魔法弾を防げるバリアを考えればいいわけね。えーっとね。


 まず185秒だけ展開するバリアにする。5秒は担保。


 次、インスタントバリアみたく全身よりちょっと大きいバリアじゃなくギリギリまで小さくする。中腰でちょうど間に合うサイズ。膝下はカット。多分狙ってこない。


 あれ恐らく無属性の魔法弾なので、受け流しが効く。だから傾斜をつけて受け流せるようにしよう。


 あ、魔法のみに反応するバリアにしよう。全部反応は効率悪い。


 最後にインスタントバリアみたく一回だけマジックポイント使用する設置型タイプじゃなく、常時使用してバリアを回復し続けるようにする。展開型?


 補足として右手にマジックポーションをもってふらついたら飲む。利き腕の左手にはバリアを展開。


「名付けて無属性魔法弾乱射するやつ専用シールド。」


「安直……」


「名前なんてそんなもんですよ。マジックポーションが使えるチャンスは一回だけなので、それで失敗したら逃げましょうね。」


「こんなガード機械が登場するお店かなにかなんだから、絶対良い財宝があるはずなんだけどなあ。」


「死んだらそれまで。それで、どのタイミングで飛び込みますか?」


「次の休憩時間でしょうね。本当にそのシールドが役立てばいいんだけど。」


「大丈夫です。それに、接近できれば筒にシールドをかぶせちゃえばすごく小さい範囲で展開できるからかなりの効率を叩き出せるので、いくらマジックポイントが少なくて燃費が悪い私でもさすがに完封できると思いますよ。INTはそれなりにありますからね。」


 突撃の時間がやってまいりました。


「じゃあ行きましょう!ぬおおおー!」


 私達はヤツに向かって突進!結構離れちゃってるので到着に25秒位かかりました。犬と狐なんで走るのは速いんですけどねえ。


「攻撃は無理です!オーブを囮にシールド展開します!後ろに隠れて!」


「犬の神様お願いー!」


 ズドドドドドド。


 YES!!いい感じに弾いてます。ここはもう最接近してシールドをかぶせてしまいましょう!かぽ。


「よし、かぶせた!結構マジックポイント削れていくのがわかりますけどなんとかなります。次の30秒で筒を仕留めます!ってああ、後退するな!」


 あわわあわわ、いけると思ったけど結構厳しい。棒立ち以外しないわけではないのか。


 それでも180秒位たち、こうげきがや……まない!?


「シキシャヘ、セッキンサレタタメ、ヨビタンクヲ、シヨウシマス。」


 は?ヨビタンク?予備タンク?


「ちょ、攻撃が、やま、ポーショ、ン。」


 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


 とりあえず剣で殴ってみましたが、剣戟と魔法の2つの動作を同時にこなせるほど器用なわけでもスキルがあるわけでもないので弱々しい攻撃に。


「だめ、だ、アンナさん、逃げましょう。」


 あれ、後ろにいるはずのアンナさんがいない。先に逃げたのかな。


 私は動けない、逃げられない。一矢報いるか。マジックポイントが残っているうちに魔法弾止まれ、止まれ……、止まった!!


「ええーい魔力転換!!このやろーーー!!」


 マジックポイントをほぼ使い切り力を増幅させて剣でぶん殴りました。一応前面が少し壊れましたね。一矢報いた、これが最後の一撃。さよなら世界。


 私がぶっ倒れるのと、アンナさんが瓦礫を持ってきて


「財宝ーーーーー!!」


 って言いながら野郎の背面を攻撃したのはほぼ同時だった。



「ううーん……」


「あ、レイさん起きましたか!やりましたよ、あの機械を機能停止させました!解体して持って帰って魔導工房に売りつけましょう!!」


「あ、死んでない。やったあ……夜ですけどもう動けるので解体しましょうか。後あの廃墟にも足を伸ばさないといけませんね。」


 オーブのライト状態を使って、夜間ですけど魔法弾野郎の解体を行いました。詳しい機構はわからないので筒周りとコア、MPタンクあたりを入手。


「こいつが30秒止まったのはタンクの切り替えを待っていたんだと思うんですよね。」


「かなり効率の良い魔力補充力を持っていたんですね、羨ましい。」


 解体はこれくらい。次はすべての元凶例のお店です。


「服飾店ですかねー?ほとんど風化しちゃって使いものにならないですね……」


「財宝、財宝があるはずなんです……!」


「アラームだけが生き残ってたりして……。って、この展示品確実に風化してないですよね、工員が使うつなぎかな。ポケットがいっぱい付いてますね。」


「風化してないってことは魔導物か魔法がかかっているアイテムですよ!財宝ですすぐに手に入れましょう。なんかポケットに物が入ってる気がしますよ!?黄金かな!」


「あ、ポケットは開けないほうが。まあこういうところにはないと思うけど呪いの品の可能性もあるので慎重に布で包んで持ち運ぶほうがよいってガイドブックに。」


 そんなわけで布(魔術師のローブ)を持っていた私が包んでリュックに押し込みました。


 これで消耗品も滞在予定日数も使い切ったので帰ることになりました。


 帰りはアンナさんが張り切りまくって歩いてたなあ。



 帰ってすぐに魔導工房ギルドに。解体した部位の品物全てがレア物ということで15金貨で買い取ってくれました。冒険者ギルドでも買い取ってくれるけど、こういう品は専門ギルドに買い取ってもらったほうがいい値段になるんだって、へえー。



「じゃあこのつなぎを鑑定するよ。」


 また踊りだしました。今回はタップダンスですね。踊る必要ってなんなんだろう。


「ふう、これは『全部入るつなぎ』だね。その名の通りポケットに空間拡張がついていて工具はたくさん入るんだ。それと風化防止と工具の修復機能も持ち合わせているね。ポケットの中に数点工具が入ってるみたいだよ、魔法の品物ではないけど。買い取りは……」


「あ、魔導工房ギルドに話しますんで、ありがとうございます。」


 魔導工房ギルドにとんぼ返りして品物を見せたらこれは凄いと大騒ぎに。何がすごいかって中に入っていた工具がそうなんだってさ。古代魔導文明の品質管理で出来た工具だから云々かんぬんだそうです。

 ペンチ、ニッパ、プライマ、モンキーレンチが入っていたそうで(なんですかこれら)、一つ5金貨で20金貨、つなぎが10金貨、合わせて30金貨になりました。美味しい。


「諸経費差っ引いても全部合わせて44金貨ですねーやりました!」


「折半なので22金貨ですね!やったー!わんわん!」


「コャンコャン!またトコトコ遺跡、いや他の遺跡も、ダンジョンも行きましょうね!」


「ええ、その時はまたよろしくおねがいします!あ、本格野営セットのお店に二人で行くこと忘れないでくださいね。」


「もちろん!」



 この後ギルドに簡単なレポートを提出して解散しました。


 いやー死にかけたけど、終わりよければすべてよし、ですよ。



 レイ 無属性魔法剣士兼オーブ使い


 Lv17

 HP156

 MP50

 STR69

 DEX95

 VIT58

 INT74 (魔力としての)

 WIL70

 CHA41


 スキル

 オーブ使いLv7 短槍使いLv4 剣使いLv5


 無属性魔法Lv6 魔力転換Lv2 生活魔法 魔力操作Lv0


 言語学Lv4 交渉Lv2 知識Lv4


 睡眠耐性Lv3 疲労耐性Lv3 暗視Lv3 歩行力Lv3


 罠解除Lv1 解体作業Lv3 積載増加Lv3 肉体強化Lv3(ステ全てに+5)  


 第六感Lv4 お狐耳センサーLv4 お狐鼻センサーLv2 お狐の目Lv2 お狐動体視力Lv2 お狐の疾走Lv4


 採取術Lv9


 ユニーク(カード表示不可能)

 お狐族 お狐の身体 お狐の機智 毎日少しの努力が出来る子


 装備

 高級なワンピース 魔法使いの黒いローブ Eバデッドアーマー Eうしブー革の防具一式 Eドワーフ鋼のショートソード

 リュックサック 複数のずだ袋 個人用携帯炊事用具 マジックポーチ 薬やポーション、小銭が入っている複数のベルトポーチ 生肉を持ち運ぶためのなにか(なんだろう?)



 アンナ 斥候軽業士

 Lv13

 HP60

 MP5

 STR28

 DEX50

 VIT25

 INT35 

 WIL40

 CHA30


 罠解除Lv4 軽業Lv5 解体Lv5 隠密Lv4 知覚Lv4


 交渉Lv1 手先の器用さLv2 はったりLv1 変装Lv1


 Lv3 睡眠耐性Lv1 疲労耐性Lv1


 暗視Lv0 歩行力L1 積載増加Lv1 


 犬の嗅覚Lv4 犬の聴覚Lv4 犬の観察力Lv2 


 ユニーク(カード表記不可)

 犬亜人 犬亜人の体 鋼の胃袋



 私服数枚 Eバデットアーマー Eレザーアーマー一式 Eククリ Eバックラー 

 リュックサック 複数のずだ袋 複数のベルトポーチ 折り畳める長い棒(3M20CM程度) 2人分まで対応できる本格的野営セット 覆い付きランタン ランタンオイル バールのようなもの(装備可能) 金槌(武器にならなくもない)携帯鋸 トラップ設置と解除セット ドア解錠セット


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