第11話 王都巡りとパーティ組んだのと野営のあれこれ

 王都巡りとパーティ組んだのと野営のあれこれ


 さ、良いお洋服を着てお化粧をしたので王都巡りです。遺跡巡りよりもこっちのほうが女性的に重要。

 といっても一般市民の市場であるバザールで屋台の食べ物頬張ったりしたのがメインですけれども。


 いやーバザールは何でも揃ってますねー。穀物果物豚肉まで何でも揃ってます。ぶたぶたぶひひ。猫亜人のための猫じゃらしも置いてあるや。またたびはないかな?


 あ、本屋さんがありました。私それなりに学があるので本が読めます、なにかいいものあったら購入したいですね、それか貸本。


 ここは時間貸し立ち読み制でした。上級生活魔法の本があったので借りて、一部の術式を覚えました。魔力操作みたいな本はなかったですね。歴史本が多かったかな。

 意外と冒険譚ものも多めに配置されてましたね、みんなドラゴン殺しとか英雄となってお姫様と結婚するのを夢見るものなんでしょうねえ。実際にやるのは、ちょっと無謀ですよね。


 後は生活用品の鍛冶屋さんとか、絨毯とかの敷物屋さんに家具屋さんなどなど、本当に無いものは無いという感じでいっぱいありました。


 魔道具屋さんももちろんありましたけど、高くて何も買えませんでしたよ。火起こしの時に使う生活魔法の「バーニング・マッチ」の、代わりの品で10金貨。買う気がしない!

 延々ときれいな水が出続ける魔法の水差しは欲しかったですけれども100金貨だそーでーす。これまた生活魔法の「クリエイト・ウォーター」は、よほどの人じゃないと体内の水収支がマイナスですからね、どうしても水を持ち歩くことになっちゃうんですよ。これがあればなあ。

 あ、よほどの人は水屋さんを開業してるんですよねー井戸水以上にきれいな水なので超儲かる。



 なんで市場巡りやお店屋さんでの行動って説明口調になるんでしょうか。説明しながらだと頭の中で整理がしやすくて無駄な買い物をしにくいからかな。


 あーあったあった錬金術のお店。一応遺跡巡りのための準備が目的だから探してたんだよね。ホントウダヨ。

 今は手持ち資金がないから、品揃えだけ見て帰りまーす。後日各種ポーションを揃えておきました。生ものなので一般的なのは10日くらいで効果が消えちゃうんだよね。長持ちするのはお高い。長期遠征できる冒険者はお金持ちだからなあ。後軍隊とかお金持ちの傭兵団が使う感じだわ。


 さてと、一通り巡ったので王都巡りはこの辺にして、ギルドで遺跡の情報を調べますかね。いろいろ詳しい情報屋もいたけど今回は利用しない方向で。そういうのはせめて斥候さんとパーティを組んでからだよ。

 まだ募集してないからだけど私一人だし……サミシクナイサミシクナイ。


 一度ギルドに帰って


「ってことでお宝がある遺跡の情報ないですか」


「良いお召し物履いてらっしゃいますね、お胸とか、オムネトカ。そうですねートコトコの遺跡なんかはまだ調べつくされてないと思います。」


「トコトコですか。」


「ええ、遺跡が広大でとことこ歩くからトコトコの遺跡と。広大すぎて何年たっても攻略されきらないんです。大体は調べたと思うのですけれどもね。」


「安直な……」


「名前なんてそういうものですよ。それで、昔の都市と思われています。あまり危険な罠は報告されていませんが、罠探知が得意な人と一緒に組むと良いですよ。」


 そういうものか……しかしよいなー疲労耐性がある私には歩くのは好都合だよ。よし、行こう。


「面白いですね、行ってみます。それで斥候さんを募集したいのですが。」


「わかりました、いま募集している人はいなかったはずなので、掲示板に詳細を書いて貼っておきますね。手に入れたお宝の配分はいかがいたしますか?」


「あ、えっと……」


「鑑定代を折半して、どんな物でも売却または買い取り、売却代金を均等配分が主流ですよ。」


「で、ではそれで。」


「わかりました、これで完了です。よい人と当たるといいですね。」


 こういうのサラリとやってくれるの助かるなあ。


 数日スライム取りをして待っていたら、ギルドから連絡が。早速行ってみましょう、ドキドキワクワク。


「おはようございます、連絡があったので来ましたー。」


「おはようございますレイさん。希望にかなった人が見つかりましたよ、酒場の12番席で待ってますのでどうぞ。」


 なんか希望したっけ?斥候さんとしか希望してなかったような。まあ12番席行ってみましょう。


 なんということでしょう、そこには長身の犬亜人の女性が座っておりました。


「その身長よこせ……」


 犬亜人さんはこちらを向いて


「あ、あなたが募集をしていた魔法使い兼剣士のレイさんですか?アタシは斥候軽業士のアンナです。身長あげるからそのおっぱいよこせ」


「自己紹介が遅れました。そうです、レイと申します。凄い小声でつぶやいたのに。さすが犬亜人さん、耳が凄い良いですね。おっぱいと身長は等価交換でお願いします。」


「等価で十分です。」


 なんとなく固い握手を結んで対面に座ったところで、Lvやステータス、スキルの確認をしました。


「Lv17もあって、得体の知れない攻撃と無属性魔法、それに自称やっつけの剣だけど、どれもLv5を超えているんですか……ステータスも高いですね」


「Lv12で既に罠解除と軽業、そして嗅覚と聴覚強度がLv4もあるけど、後はLv1ですか……ステはおとなしめですね。」


 つまりこれは


「初心者の凸凹パーティという感じですね。」


「でもいけると思いますよ、トコトコの遺跡ならすでに何度かいったことがあります。あそこの罠は解除できますし、2人位の火力があればガーディアンも処理できると思います。あと、なんたってハイエルフのリットさんの募集項目に当てはまってますから、アタシ。」


「え、リットさんなにか書いてたのですか?」


「ええ、女性限定で、トコトコにいった経験があって……ほかに細々こまごまと。高身長なんかも記載されていたのでアタシ飛びつきました。」


「さすがリット、だてにとしく……何でも無い。それじゃあ、組んでみましょうか。報酬関係は記載されていた条件で良いですよね?」


「ええ、大丈夫です。よろしくおねがいします。」



 というわけで馬が合いそうな斥候さんとパーティを組めたのでしたーやったー。




 善は急げ、早速翌日にはトコトコの遺跡にとことこと歩いて向かい始めました。あったりまえですけど観光地でもない遺跡に乗り合い馬車なんてありませんからね。だいたい歩いて2日位だって、ってことは往復4日で現地に滞在できるのは3日位かなー。もうちょっとリュックサックが大きければ10日、つまり一週間は滞在できる気がする。


 そんなこと思っていたんだけど


「ゼェハァゼェハァ、レイさん、少し休みませんか。」


「もうですか、ちょっと前に休んだ気がするんですけれども。」


「や、休み休み行かないと警戒を怠ってしまうものですよ。」


「じゃあ少し休みますか。」


 そう、アンナさんの体力が低くて休憩を頻繁に入れなくてはならず、移動速度が遅いんです。これは盲点だった。

 荷物持ってあげたいけど恒久パーティでもない限りそんなことはしないそうですからね、『これで安心!パーティの基本完全攻略ガイドブック』によると。個人のものは個人が管理する。ギルドがペナルティとかである程度管理してるけど、持ち逃げとか、あるからだってさ。


 それで、一日目の夜になりました。パーティでの本格的な野営が始まろうとしています。


「そろそろ野営の準備ですかね。」


「そうですね。この周辺の薪を拾って焚き火を作りましょうか。」


 ここに街道はないけど、トコトコ遺跡に向かう人々が踏んで作った道があります。周辺には木がそれなりに生えているので、薪になる落ちてる木もいっぱい手に入りました。


「これだけあれば一晩持ちますかねー。」


「持つでしょう。とりあえず火をつけて水を沸かして携帯用のパンを食べたいです、お腹すきました。」


「あはは、歩きましたもんね。」


 火付けは私が行いました。生活魔法のバーニンク・マッチで小枝を燃やし、これまた生活魔法のブローで空気を送り込めばあっという間に焚き火の完成。

 といっても、魔力操作をもっていないから力の強弱をつけるのに凄い苦労しました。一回ブローが強すぎて鎮火させてしまった。



 携帯食料は同じくらいの量を分け合って鍋に入れることにしました。ちなみにこの鍋はアンナさんのものです。水は私のクリエイトウォーター。水収支マイナスですけど、普通の水をドバドバ使うよりは断然効率が良いです。


「あぁ、携帯食料でも暖かくてお腹が膨れるのは嬉しいですねえ。」


「そうですね。しかし何から何までお世話になって。アタシが提供したのは鍋セット一式と携帯食料くらいですよ。」


「いえ、私本格的な野営セット持っていなかったので……ガイドブックは隅々まで読んだはずなのですが頭から抜け落ちてました。申し訳ないです。」


「なるほど、だから募集要項に二人分以上の野営セットをお持ちの方って書かれていたのか……」


「え、そんなことが。リットさん何から何まで見通し済みですね。」


「リットさんが担当でよかったですね。」


「本当全く。そうそう、火の番ですが、3時間6時間3時間の交代で、私が6時間担当で良いですか?耐性あるから一番つらい時間でもそれなりに過ごすことが出来ますので。」


 これだけは歩いてる途中で考えつきましたよ。アンナさん体力ないもん。


「いやそれは。」


「安全のためにそれでいきましょう。それじゃあ寝ますのでよろしくー。」


 ここは強引に!




 寝ると言っても熟睡するわけじゃありません。半分は起きてるような感じですわ。テントなし寝袋なしで熟睡できる方が凄い。リュックサックを枕に2つの毛布を敷いて被ってそして寝る感じですからね。身動き取れない状態で寝たら、襲われた時動けなくて死ぬわ。


 そんなわけで、時計もないので大体3時間位寝て恐らく6時間位起きてまた多分3時間位寝て日の出を迎えるという感じで夜を過ごしました。そんなに問題なかったのでトコトコ遺跡まではこのやり方で大丈夫かな。



 結局2日のところを2日半かけて到着しました。全日程7日の予定なので、滞在は2日だけかなー


「予定が遅れて申し訳ないです。」


「予定は予定ですから。そもそも2日「位」で到着って前触れですし。さぁ、探索を開始しましょう。いやー広大な廃墟ですねー。」


「まだ動いてる魔導機械もありますよ。そういうのを侵入者から守るためのからくりを罠と呼んでます。研究目的でここに来る学者さんもいますね、護衛つけて。」


「あー、そういう依頼をこなすのもありだったかもしれませんねえ。」


「でもそれだと財宝が頂けませんからね、お金だけです。」


「あ、そっか。」


 探索ですが、外周部は大体調査探索されているというので、ガンガン中央に進むことにしました。ガーディアンでも住み着いた魔物でも出てきた辺りから探索を開始しよう。


 いやー、ほんとーーーーに広い。王都サッガーより広いんじゃないですかね?王都は8万都市と聞いてますけど。何万人住んでいたんだろう、ここに。

 道路は幅広いし、舗装も剥がされてなければ今でも完璧な状態っぽいですよ。すっごいなあ。


 トコトコ遺跡に到着したのがお昼頃かな、そこから日が暮れるまでずーっと道路上を歩いてました。一番安全で近道なんだって。


「そろそろ野営の準備ですかね。」


「そうですね。この遺跡に薪は無いと思うので、このランタンで明かりを採りましょう。燃料は3日分確保してあります。」


「それじゃお言葉に甘えて。私もランタンなどの本格的野営セット手に入れておこうかな。そのランタンがなかったら真っ暗な状態で寝ることになるところでしたね。」


「それは想像したくもないです。帰ったらおすすめの野営装備を売っているお店を紹介しますよ、軽量頑丈な品物が揃っていて値段も安い店を知ってるんです。安いと言ってもそれなりのお値段ですが。」


「ふぇー、これがそうなんですか?さすが何度かここに来ているだけあって持ってるんですねーいいなー。私採取が生活のメインだからそういうの持ってなかったんですよ。」


「いえ、これは安物です。」


「えっ」


「今回の探索で一山当てて、そのお金で買い揃えるつもりなんです。」


 ガクッ


「な、なるほど。じゃあなんとしてもお宝を見つけましょうね!」


「ええ、頑張りましょう!財宝、財宝!」


 そんな感じでちょっと短かったけど遺跡の半日目が終わりました。後一日半で中央まで行って生きてる魔導機械を探すんだ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る