第5話 お狐さん


 ぼうぐやああああああ!こんな話聞いてないよおおおおお!!!


 うしブー、とても強かったんです。オーブの槍形状体当たりでびくともしない。


 牛のモンスターなので巨体、槍や剣で攻撃なんて想像するだけでも恐ろしい。うしブーの皮が高い買い取り価格で固定買い取り表に乗っていた理由が分かりました。勝てないいいいいいいいいいいいいい。


 突進してきたのを猛ダッシュで逃げ、なんとか逃げおおせたところで戦略を変えることに。



 採取で頑張ろう。採取万歳。


 色んな所で採取して三日目くらい、なんと祠?を見つけました。放置されて長いなあこれ。ちょっとお手入れしていこう。雑草を取り払って埃を生活魔法のダスターで一掃。ご神体様は……ああ鏡があるね、普通は見ちゃいけないんだけど、ごめんねー、もっていた布でふきふき。最後に全体にクリーン生活魔法をかけておしまいっ


 祠かー、何かお願い事していこうかな。うーん、


 無属性魔法がなんなのか分かって扱えるようになりますように。


 よし。まあこういうもんでしょお願い事って。さ、採取再開しよ。


《…りがとゃん》




 ま、私の採取術にかかれば50銀貨集めるのなんて不可能じゃありませんよ。長く険しい道のりでしたが。待ってろよ防具屋!


「たのもーう!革装備をそろえるための銀貨を集めてきたぜドワーフ!」


「元気がいいな。そいじゃ見せてくれ……ほい、ちょうどだな。じゃあ作るから採寸するぞ。ほれ、裸になれ」


 バチーン!


「いきなり何を言うんよこの変態!」


「いや裸にならんと採寸できんだろが。パデットアーマー(布の鎧、鎧下)も着込むんならぴっちり作るからなおさらだ。」


「……女性はいないの?」


「ここにはおらぬなー冒険者ギルドの受付に頼めばやってくれるんじゃねーか?」


 ということなので金髪おっぱいおねーちゃんに採寸してもらいました。あのドワーフは男性女性に頓着がないらしい、おねーさんも苦笑いしていた。


「採寸データ持ってきたよ。」


「ほいほい、じゃあ作るぞ。何度も修正掛けながら作るから1日起きに来てくれ。」


 まずパデッドアーマーが出来て、それから革の防具が出来ました。結構月日がかかったな。


「これで完成じゃの。お疲れさん。」


「いろいろあったけどありがとうございました。」


「補修もするから、その時はまた来いよ。」


 むっふっふ、これで一端の冒険者になれたかな。遺跡行ってもいいかもなーるんるん♪


 完成した翌日、それは起こった


「耳が、ない。」


 なんでえええええ!?耳、耳、耳!ミミガー!


 とりあえず冒険者ギルドに相談しよう!


 ずどどどどどどど


「おねーさん!私の耳が消えちゃったんですけど!」


「……頭についてるのは狐の耳かしら?」


「は?」


 落ち着いて調べてみると、身体に異常がありまして


 耳がなくなって耳が生えた。狐耳。


 尻尾が生えてきた。狐の。


 ステータスの「お狐族化最中」が「お狐族」になってた


「これが落ち着いていられるかぁぁぁぁぁ」


「本当に落ち着いて。霊が付いてるのなら除霊所で取り払えるわ。まずはそこに行ってみてはどう?」



 除霊所


「こりゃ霊じゃないな、うちじゃ無理」


 冒険者ギルド


「次は診療所よ、魔法で元の姿に戻せるかもしれないわ。」


 診療所


「レントゲン魔法も取りましたが完全に体が変わっていて私たちの系統の魔法では不可能ですね」


 冒険者ギルド


「れ、錬金術でどうにかなるわ(ぐるぐる目)」


 錬金術ギルド


「そんなことはできん。というか人が狐亜人になるなど前代未聞だ、調べさせろ。」




 だーめーだー(ガックシ) もう引きこもる。




 3日もすると飽きるもので、とりあえず採取しに行こう。せっかくだし防具装備してどれくらい負荷がかかるか試しておこう


 あー、尻尾と耳が邪魔で下半身と頭の装備ができない……もうやだ


「おっちゃーん……」


「元気ないのー。狐女が走りまわったって話が飛び交っているのに。」


「そりゃあの時は必死でしたから。それで、尻尾がだせて耳を守ることができるように装備を作り替えたいのだけど、出来る?」


「亜人はかなりいるからな、それくらいは余裕だが、お金かかるぞ。」


「まーたーかー」ずどどどど(採取に行く音)


 採取に行くために走って分かりましたが、めっちゃ速く走れるようになってますね。あと耳が凄く良くなってます。体幹と五感が研ぎ澄まされたかのようです。今尻尾が上手い位置に収まってないので、うまい位置に収まればもっと早く走れるんじゃないかな。専用の下着とか全く持ってないからね、当たり前だけど。


 採取をしている間にまたあの祠を見つけました。おお、輝いてる。これは参拝しなければ。こゃこゃー。


 自然と五体投地。


「こゃこゃこーゃー」


《無事お狐さんになれたようですね》


「こゃー」


《これでお願い通り無属性魔法が扱えるようになってますよ、すべてはイメージです。空間(ディメンション)圧縮砲(コンプレスキャノン)を試しに授けましょう、こんな感じにやるのです、ソーレ》


「空間そのものを、圧縮して解き放つ……!」


 立ち上がり、いくぞ、空間をこねこねして前方に発射!


 左手から出るイメージをしながら!


「ディメンションコンプレスキャノン!」


 っどーーーーん!


 私を中心に前方90度くらいの木々が3m先くらいまでなぎ倒された、強い!


《これはブラスト版です、球形版もありますので、ソーレ》


 なるほど、破裂させるのではなく投射するイメージ!


 もう一度!


「ディメンションコンプレスキャノン!!」


 めきゃぁ!


 10m以上先の大木が音を出しながら折れていった。強い!


「凄いです神様!」


《うふふ、でも強ければ強いほどMP使いますのでご注意くださいね。それではまたお会いしましょう、コンコン》


 え、まじ、あ、意識が……先に言ってよー……


 数時間後に目を覚ましたのですが、その時には祠は輝いておりませんでした。でも魔獣魔犬が近寄らないっぽいので(自動迎撃による死体がなかった)やっぱスピリチュアルな祠なんだね。


 あーなんか狐化を受け入れられたような気がする。YESだね!!


《な、なんとかごまかせたわね、エアーコンプレッションキャノンより強いの教えちゃったけどいいか》


 レイ 冒険者

 Lv13

 HP120

 MP37

 STR50

 DEX75

 VIT45

 INT60 (魔力としての)

 WIL56

 CHA35

 スキル

 オーブ使いLv4 短槍使いLv4 剣使いLv3 無属性魔法Lv3 生活魔法 睡眠耐性Lv1 疲労耐性Lv1 暗視Lv1 第六感Lv2 お狐耳センサーLv2 お狐の疾走Lv2


 ユニーク(カード表示不可能)

 お狐族 お狐の身体 お狐の機智 毎日少しの努力が出来る子

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