第16話


「そろそろ日が落ちるので野営にしませんか?」と言うと「そうしましょう」とサッズさんが頷いてくれた。


アイテムボックスからコソコソ野営道具の折りたたみテント等出して設営を始める。ジョゼフさん達も野営を始めている。


サッズさんは、書類を見ながら奴隷の人達を見て何かを確認していた。


セキトさんとBBQコンロをセットして買い込んだ鶏肉のモモ肉を塩コショウを振って焼いていると、匂いをかぎつけたサッズさんやジョゼフさん達が周りを取り囲んでいた。


「後で皆さんにお配りしますよ?」と言うとおおおーーとか「やった!!」とか喜びの声が響いていた。


鶏肉を焼きながらダッチオーブンでパンを焼く、カセットコンロでスープも作る。

確認したら食材もカセットコンロもアイテムボックスに入っていた。

どんだけ細かく支援してくれたんだよ・・・・神様!笑うことしかできないね。


20人前位の食事を作り、サッズさんやジョゼフさん、奴隷の皆さんに配った所全員歓喜の声をあげながら食べてくれた。

嬉しいねぇ~。中でも奴隷さん達は泣きながら食べる人達もいる・・・「肉だ~何年ぶりだろう」そう言う人もいれば、「旦那~ありがとう」うぅうぅと泣きじゃくっている。


そんなに!?と思うが奴隷の立場というのはそういうことなのだろう。


見張りを決めローテーションで回す事になり、自分は最初にジョゼフさんと見張りをする事になった。


「ジョゼフさん冒険者は長いんですか?」


「もう5年くらいかな?色々依頼はやったけど今回は危なかった」


「5年もですか・・・なるほど」と、ここで疑問に思ってることを聞くことにした。


「ちょっと聞きたいことがあるんですが、テイマーって何かご存知ですか?」


「テイマー??ああ、魔物を仲間に・・従魔にできる職業ですね」


「なるほど!そうなんですね!やっと疑問が解けました」

なんて話をしながら世間話、見回りなどしてるとあっと言う間に交代の時間になった。







「主殿。時間だぞ~」とセキトさんが起しに来てくれた。眠い目を擦りながら、朝飯の準備だ。

パンとスープを人数分作り配って食べる!近くに水辺がないのが辛い。


竹の水筒に水を入れてたのをサッと出しペットボトルのミネラルウォーターを入れる。


人がいるとコソコソトイレに行く振りをしてこういう事をしている。


色々準備をして馬車も動ける状態になり出発することになった。


2日同じ作業をし、途中鳥などを狩り食材を確保しながら移動していると大きな城壁のような壁が見えてきた。グランツの城壁である。

門前には沢山の人達が順番待ちをして並んでいる。自分たちも並び、番が来ると一人ひとり証明書を出し街に入る為の税を払って中に

入った。もちろんセキトさんの分は払っている。


冒険者 風の剣のパーティーとはここでお別れだそうで、依頼の書類にサインをしてもらい帰っていったのだが、帰り際「ショウさーん

何かあったらなんでも相談してくれ!俺達でよければ相談に乗るし力にもなるから~」と手を振って帰っていった。


自分達は、というと馬車に乗ってサッズさんの家に行く。荷物をセキトさんと降ろし旅の埃を落としていたらサッズさんが風呂を薦めてくれる。お!サッズさんちって風呂があるんだぁと思い「はーい」と返事をして入ることにした。


セキトさんが「主殿、わしは風呂に入ったことがない・・・どうしたらいいのだ?」

と言うので、サッズさんにセキトさんと入ることを伝え入ることにした。


風呂は入浴前に身体を洗う作法やタオルを湯船に浸けない事等説明し2人で入るとさっぱりした。

泊まる部屋を案内されて久しぶりにベットで寝れることを幸せに思いながら髪を拭いていると食事の準備が出来たことを聞き

もう夕方かぁと思いつつ案内されて大きなリビングに行くと奥さんと子供さんが出迎えてくれて、すっかりお客様になってしまった。


「本日は突然押しかけて申し訳ありません。このようなご好意をありがとうございます」


と言うと、サッズさんや奥さんがびっくりした顔をして、


「いえいえ、私の夫の命の恩人!ささやかな料理ですが是非食べていってください」

と言われイスに座ると豪勢な肉や魚料理、スープや果物、サラダ等テーブルいっぱいの料理が並び子供達が嬉しそうな顔をしていた。


宴会が始まり、ビール(エール)を飲みながら肉をほうばる。セキトさんも美味そうに肉をほうばっていた。

食事が終わり、サッズさんが話しかけてくる。


「ショウさん、お礼の奴隷なんですが明日決めてほしいと思っています。いい子が何人かいるので見ていってください。気にいった子がいなければ、無理じいはしませんがいい子がいれば是非!」

と言っていた。


「わかりました。とりあえず見るだけ見てみますね」というと、護衛の報酬と言ってドサっと布袋に入った金貨を渡してきた。


「多くないですか?」と聞くと「命の金額です。少ないですが・・」と言ってきた。

泊まらせてもらい食事も頂き、報酬もこれだけもらい、奴隷もくれるという・・・・頂きすぎだと言ったが首を横に振る・・・


これもこちらの作法と諦めベットにもぐり寝ることにした。

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