第15話


【ショウサイド】


ザーク村から商業都市グランツに進むことにした自分とセキトさんは急ぐ旅ではないという事で歩いて旅をしていた。

青く優しい日差しで気温も暖かい、種類のわからない小鳥が鳴いてる。

そんな中、暢気に二刀の刀を腰に着物でも着ていれば江戸時代や戦国時代といった雰囲気で歩いていると、


「助けてくれーーーーーー!!」


と、野太いおっさんの声が聞こえてきた・・・・ここはかわいい女の子が「助けて~~」ってんじゃないのかよ・・・。

助けない訳にはいかないので声のするほうに走っていくと、大きな狼が馬車に群れで襲い掛かっている。

護衛の冒険者と思われるガタイのいい男共が何人も倒れている。


刀を抜くと一気に距離を詰め瞬く間に群れの狼を斬っていく。セキトさんも両手剣で狼の頭を潰していく。

群れのボスと思われる一段と大きな狼と向き合いスリ足で近づきスキル一ノ太刀を発動させて首から後ろ足に向け斬り薙いだ。


周りを見ると冒険者達は気を失っていただけで、死んではいないようなのでスーパーグレーターヒールで回復してあげると泣きながら感謝してくれた。

馬車は2連結になっていて、檻に何人もの奴隷と思われる人達と前の車両には奴隷商人と思われる小太りのおっさんが乗っていた。


「この度は、助けて頂いてありがとうございます。私はグランツで奴隷商を営んでおりますサッズと申します。何かお礼を差し上げたいのですが、グランツに私の家や店がありますのでよければ一緒に来てはもらえませんか?」


「冒険者をやっておりますショウと申します。同行者はセキトと申します。ちょうど自分達もグランツに向けて向かっていた所です。急ぐ旅ではないのですが、これも何かの縁なので一緒にグランツまでいきましょう」と同行することにした。


冒険者の方々の具合を見ることにすることを伝え見に行ってみると、セキトさんと談笑をしていた。


「おお 主殿~皆さんは元気になったぞ」


「この度は助けていただきありがとうございます。風の剣のパーティーリーダーをしているジョゼフで戦士をしています」


「同じく弓使いのマイヤです」


「同じく魔法使いのウィルです」


「同じく回復魔法師のレントンです」


「自分は侍と回復魔法師のショウです。こちらは同行者のセキトさんです」


「おお ショウさんもお強いしセキトさんもお強い!回復魔法も凄かった!本当にありがとうございました」


と全員に頭を下げられた。


「困った時はお互い様!お気になさらぬように。大事にならなくてよかったです」

と言いニコニコ自己紹介は済んだ。


荷物の確認と馬の確認、奴隷の人達の確認をして街道を移動していくことにした。


道中、サッズさんに色々聞いてみることにした。


「サッズさん、奴隷について聞きたいのですがこちらの国では奴隷はどのように扱われているのですか?詳しく教えてもらっていいですか?」


「ショウ様は別のお国の出身だったんですね。わかりました。この国では帝国のようには奴隷は酷い扱いはされていません。契約することで、主人と主従関係になり誰々の奴隷というふうに奴隷になります。契約は奴隷の手の甲に紋が刻まれ、反抗等一切できなくなります。しようとすると死ぬほどの痛みが全身に走り身動きがとれなくなります。

一般奴隷と犯罪奴隷の2種類に分かれますが、一般奴隷の場合は主人に対して絶対服従ですが、衣食住は必ず確保してあげないといけないです。

但し、借金や口減らしの為に奴隷になった者は借金と金利、手数料を返し終わったら奴隷解放ができます。

犯罪奴隷の場合は、一生奴隷です。さらに開放はできない為、使い潰されれば鉱山で死ぬまで働くか死ぬまで過酷な労働をさせられほぼ生きてはいけません。

但し、主人が認め、国が認めれば犯罪奴隷から開放される方もいます。凄く稀ですけどね」


「なるほど。わかりました」


「それほど奴隷の事が気になるのであれば、お礼に奴隷を1人お渡ししましょう!それが今回のお礼ということでいかがですか?護衛の謝礼は当然別でお渡ししますしグランツに着きましたら私の家、大きな家ではないですが急ぐ旅ではないとお伺いしたので御緩りとなさってはいかがですか?」


奴隷は・・・どうなんだろう・・・だけど、接待は断ると失礼になると思うし・・・


「奴隷の件は一旦置いておいて、お礼を受け取らないのは失礼だとおもいますので、遠慮なくお受けすることにしますね」


というと、サッズさんはことさら喜んでニコニコしている。


そうこうしてると、日が翳り夜になろうとしていた。





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