第14話 美文
「美しい文」と書いて美文。日本の作家で一番美しい文を書く作家は、(あくまで僕の主観ですが)三島由紀夫氏だと思っています。三島氏の作品はこれまで、「仮面の告白」と「金閣寺」しか読んでいませんが、その冒頭部分を読んだだけで、作品の文章力に息を飲んでしまいました。「文章を彩るとは、こうことなのか!」と、美文の世界に酔いしれてしまったのです。
あれは、想像以上の衝撃でした。文学作品は日本、海外と様々な作品を読んできましたが、それらの作品は(どちらかといえば)平易で読みやすい、特に海外文学は翻訳の関係からか、あまり日本風の表現が使われてない感じでした。
誰が読んでも、読みやすい小説であること。小説は文章を用いた表現作品である以上、伝わりにくい物よりも伝わりやすい物の方が良く、難しい作品よりも楽しい作品の方が好まれやすいとは思いますが、三島氏の作品は、難解か単純か、娯楽か芸術かを問わず、「ただただ凄い」と思ってしましました。
あの文章は、絵画です。いや、「絵画のように見える心的文章」と言った方が良いかもしれません。映像と心象と状況と行動が幾重にも折りかさなりながら、一文の中で同時に歩いている感じです。正に「静」と「動」の良いとこ取り。僕が憧れる(目指す)文章のあり方が、見たような気もしました。それを自己流に変えて、自分だけの文章表現を目指す。
拙作、「堕天使の夢~それでも少年は、世界を愛する」は、(僕の中で)格調高い世界観、「幻想文学を書けたらと」と思い、既に書きあげていた物を作りなおして、その幻想文学を書き表そうとした作品です。最近のファンタジーはどうも、ゲームっぽい作品が多い気もしたので。それが悪いとは思いませんが、ファンタジーは創作者の発想力が最も活かせる自由度の高いジャンルだと思ったので、自分だけのファンタジーを目指そうという意図もありました。
美しい文章は、それを読むだけでも心地よいです。僕は自分の文章を読み限り、三島氏の文章にはまったく及びませんが、その文章力に少しでも近づけるよう、これからも努めていきたいと思っています。
今回も本エッセイを読んで頂き、本当にありがとうございました。
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