第4話 怪獣王または破壊神
人間が生み出してしまった悲劇の怪獣。その力は絶大で、あらゆる町や兵器を壊して行く。まるで人間への怒りを、終わりのない悲しみをぶつけるように。その怪物は、怪獣王の雄叫びを上げる。
僕が初めてその雄叫びを聞いたのは、忘れもしない、幼稚園の時でした。画面の向こうで、三本首の黄金竜と戦う怪獣王。彼(だと思います。たぶん)は、一時は苦戦するものの、黄金竜の首(真ん中)を吹き飛ばし、人間の町を再び壊しはじめました。
僕は、その迫力に息を飲みました。それがたとえ、作り物だとしても。僕には「それ」が現実で、現実よりも現実な世界でした。怪獣王は、現実には存在しない。でも、「それ」を現実として味わう事はできる。
僕は親にその玩具を買って貰うと、その玩具であらゆる物を壊し(あくまで想像上の町ですが)、敵の怪獣を買って貰うと、さながら映画の如く、その二つを戦わせました。怪獣の咆哮はもちろん、その熱線も自分の声で表現し、片方がやられる場面では、その悲鳴を迫真の演技(今思えば、恥ずかしいですが)で演じました。
僕は、彼らの事を愛していました。異性に対する「好き」、「愛する」などではなく。人間の理解を超えた存在として、彼らの事を愛していたのです。「彼らは、僕の親友である」と。
その思いは……大人になった今は、昔ほど無邪気ではありませんが、消える事無く残りづけています。彼らは今も、僕の心を癒し、そして、降る立たせています。「昔の思いを忘れるな」と。純粋な作品は、純粋な思いからしか生まれない。
僕は、彼らに叫びます。「浪漫溢れる作品に出会わせてくれて、本当にありがとうございました」と。
今回もまた、趣味全開のエッセイを書いてしまいましたが。ここまで読んでくださった皆様には、感謝の言葉も御座いません。このような駄文に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
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