第10話『縺ゅj縺後→縺??√○繧薙○縺』
「先生、お茶淹れてきましたよ」
何時もはアリツカゲラが持ってくる物を、今日はアミメキリンが珍しく持ってきた。
トレイには、カップが2つとティーポット。
角砂糖の入った陶器の瓶。
「ありがとう」
筆を置く。手際良く彼女が紅茶を淹れてくれた。
「先生....」
「どうした?」
「...何でもないです」
そういうやり取りも気掛かりとは思わずに、
私は彼女が淹れてくれた紅茶を飲んだ。
「...んっ」
突如、何かに吸い込まれる様にして意識を失った。
*
先生へ
先生、私はあなたに感謝しています。
あなたのお陰で、文字を書けるようになりました。
あなたのお陰で、字も読めるようになりました。
しかし、今思えば、あなたは大ウソつきでした。その天寿を全うした時、地獄に落ちて舌を引っこ抜かれるでしょう。何枚舌があっても足りない。
それでは先生が可愛そうなので、私がもうこれ以上先生にウソが吐けないようにします。
これは私から先生へのお礼です。
この手紙を先生が読んでいる頃、きっとそのお礼が贈られている頃でしょう。
今までお世話になりました。先生。
お幸せに。
*
目覚めた時、私は卓上に置かれたその手紙を読み驚愕した。
彼女は、全てを知っていたのだ。
そして彼女の姿はなかった。
彼女の名を呼ぼうとしたとき、
「......!」
私は自らの声を、失っていた。
「こんにちは」
「誰です?
...あれ、お前はあのロッジにいた...」
「覚えててくれましたか。ブタです」
「何故こんなところに?」
そう尋ねると、明瞭に、
「掃除に来ました」と、答えた。
「掃除?」
「ええ。キョウシュウに蔓延る、親友を蔑ろにし、ひたすら快楽に溺れた悪女の掃除を」
言葉の意味がわからなかったが、その意味は彼女の次の行動でわかった。
腰からスプレー缶を取り出すと、自分に向かって噴射したのだった。
「ゴホッ...!ゴホッ...!何をっ...うっ...」
目や皮膚が痛い。立てずにしゃがみこむ。
「催涙スプレーですよ。大丈夫です、命までは取りませんから。私はアミメキリンさんの復讐を代行しているまでです」
「やめ...ゲホッゲホッ...」
彼女は枝切りバサミを持っていた。
そして...。
「ああああああああアアッ!!!」
「愛する人を寝取るとこういう痛い目に遭うんですよ。アミメさんの気持ち、わかりましたよね?片翼は残しておきますよ」
ブタはそう言い残し、去ってしまった。
「うっ...うあぁぁぁ...」
当の本人は、痛さにもがき苦しんでいた。
あの日から1年が経った。
声の出ない彼女は、もう私の望んだ彼女じゃない。しかし、私がアミメキリンから彼女を奪ったのは事実である。それなりの、代償かもしれない。それか、助手の呪いかもしれない。
私は空を飛べなくなった。サンドスターに一縷の望みをかけたが無駄であった。
私は天罰であると全ての運命を受け入れた。
彼女に苦労を掛けさせたのも、全て私のせいだ。この生活が自分にとって限界を迎える時が来るのであれば、私は彼女と、この図書館と共に、心中しよう。それが幸せではないか。
そもそも、幸せとはなんだろう。
「タイリク、私の事は好きですか?」
彼女は頷いた。
そのあと自分に向かって指をさした。
「もちろん...、好きです」
そう答えた瞬間、本能的に右手のライターを強く握りしめた。
【コノタイ】白青物語 みずかん @Yanato383
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