第2話 テイマーへの道

「何故だ…仮免許すら貰えないとは…」


 通算五回。欲望に忠実な男は仮免許を貰えずにいた。


「こうなれば…いや資格なしのテイムは危険を伴うし何より違法だ……ふぅむ…」


 テイムとはモンスターと意思疏通を行う魔術だ。これを後天的に取得するのは難しく殆どが先天的な能力だ。


「しかし何が悪いのだ……むむ」


 等と考えていると見知っている町の見知らない場所に入ってしまう。


「この町から出るか…?いやそれは路銀が持たんか……む?」


 キョロキョロと辺りを見回し今さらになって自分の状況を確認する。


「…どこだここは…?」


 どうやら迷い混んでしまったみたいだ。


「歩いていれば大通りに出るだろう。特に問題ではない」


 くすくす…くすくす…


「…………む?」


 くすくす…くすくす…アハハハ…


「ふむ。笑い声か。人がいるといいんだがな」

 笑い声の方に歩みを進める。


「あ、来た来た。やっほほ」


「ようこそ~迷い人さん」


 少し歩いたところに開けた場所があり、そこには二人の女子がいた。


「……すまないが出口を知らないだろうか。てっきりここが出口かと思ったんだが…」


「ここに出口はないね~?」

「入り口はあるけどね~?」

 楽しそうに笑いながら、二人は踊るように話す。

「…謎かけは得意じゃない。出口を知らないなら邪魔をした。他を探すとしよう」


「知らない訳ではないわよ?でもコチラにも事情があるのよ」


 二人はスッと笑うのを止め、真顔を向ける。

「私たちの声が聞こえたってことは、そういうことよね?」


「ふむ…呼び声か。実際に遭うのは初めてだが詩人から聞いたことがある。妖精なり悪霊なり、主にモンスターからのアプローチだと」


「よく知っているわね」


「常識だろう」

 

「なら本題といくよ~。注意して答えてね~」


 二人のうち一人はそれが素らしい。


「助けてほしい子がいるの。私たちにはどうすることもできなかった。だから人間に助けを乞うた。貴方にできる?」


「出来る」


 短くも覚悟がこもった一言。自分への絶対の信頼と即答を持って男は答えた。


「本当に?嘘なら食べるわよ?」


「食べられるのも魅力的だが、そのモンスターを助けたい。まず、場所がいる。あと物がない。君たちの知り合いだが、助けられないということは同種ではないのだろう。種族はなんだ?」


 一部を除いてこの男は有能であった。ある町だと超のつく変人であり、ある町だと――


「……スライムよ」


「スライムか。なら症状を見てからでも遅くはないな。患者の元へ連れていけ。ここが入り口と言っていたが…下水道の中か?なら少し開けた場所でいいな。スライムなら多少の環境じゃ腐ったりはしまい」


 ――医者として名高い男であった。

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