テイマーライフ
ハル@復帰
第1話 テイマーへの道
「いいですか?テイマーとは野生生物からモンスター、大いなる存在との契約を果たし世界に貢献する職業です」
ここは職業説明案内所。
「つまり他の職業と違い、やれることの幅が広い代わりに知識とセンスが問われることになります」
そして人口がとっても少ないテイマーの講義の最中。
「質問だ。教官」
そこに手をあげる男が一人。
「はい。なんでしょうか?」
「大いなる存在というのは漠然とし過ぎではないか?精霊や悪魔と交信をするのもテイマーの仕事なのか?」
「それについてはテイマーの経験を積んでいくと分かります。今の貴方たちでは引っくり返っても出会うことはないでしょうし」
「ふむ、分かった。なら教官」
「モンスターとヤるのは気持ちいいのだろうか?」
「……は?」
シン――と講義室が静まり返る。
「言い方が悪かった。モンスターと性交渉するというのは気持ちいいのだろうか?という質問なんだが…」
この男、残念なことに主人公なのである。
「別に不快な気持ちにさせるための質問ではなく純粋な興味でな?ゴブリンやオーク等は人間を襲い女をそういう風に使うと聞いたことがあるし、逆に人間はモンスターの雌をそういう風に使わないのだろうか?例をあげるならハーピーやケンタウロス、マーメイド等の人間の一部があるモンスター。悪魔の類いなら人間体になれる種も多いのではないか?そういった種族との交配、子を成せるかどうか等の前例は―――」
バァン!と空気が弾ける。教官が手を合わせ空気を潰したのだ。
「失礼。少し話しすぎた。続けてくれ」
「……何を言おうか忘れました。しばらく休憩しててください」
教官が教室から出ると微妙な沈黙が漂う。
「ふむ…やはり試すしかあるまい…」
と言うと男も教室から出ていく。
「なにあれ…やばすぎでしょ」
「イカれてるよ…」
「どこかの学院の出なのかな。にしても狂ってるとしか……」
ザワザワと男の話題で一杯になる教室。だが、当の本人にはまるで届かない。
「教官!」
「…また貴方ですか。なんですか?」
「先程はすまなかった。あぁいう場では慎むべき内容であったな」
少しバツが悪そうな顔をする男。
「分かってくれたのならいいのです。私も少ししたら戻りますので、講義室に戻――」
「こういう二人きりの状況なら大丈夫であろう?先程の続きだが――」
「」
これが主人公なのである。
「……もう嫌」
「――やはり実例が余りにも少なく信憑性が薄いのだが――どうした教官?体調が悪いのか?」
「貴方のせいよ!!!!!」
「ど、どうしたのだ…?あぁ、講義の時間に間に合わなくなるということか、確かにそれは申し訳なかった」
と言いそそくさと講義室に戻る男。
「……あの人はもう説明いらないじゃない…なんでこんなとこにいるのよ…」
そして講義が終わり履修の証として薄い金属プレートを貰う。
「これに書いてある名前……文字の読み書きが出来る人しかいないはずだけど大丈夫よね?間違っていたらここで言ってくださいね」
契約を交わす、自分の使い魔を申請するのに文字の読み書きは必須事項だ。
よってここにいる人は一定以上の知識を持ってることになる。
「はい。なら後は受付でテイマー仮免許証を貰ってきてください。使い魔が売っている場所は受付から右を見た所の案内図を見てくださいね。では、お疲れさまでした」
そそくさと去る教官。
「ふむふむ。これがテイマー仮免許か。これで私も……ふふふ」
気持ち悪い笑いを浮かべながら受付に向かう男。
「おや、空いてる」
受付は空き、代わりに使い魔販売所で皆ワイワイとしている。
「…済ませてしまおうか。すまん、仮免許の申請がしたいのだが」
「はいはい。仮免許申請ですね。えっと、クラスは…テイマー、と」
魔道具に何かを打ち込んでいく受付の人。
「ふふふ…」
「……えっと、一応完了しましたが。最後に確認しますね?貴方は何のためにテイマーになりますか?」
この質問。正直、意味はない。嘘を見抜くとか悪い考えを持ってても普通は免許証を貰える。
「モンスターといい感じになってイチャイチャするためだが?」
「………」
「これでは足りないか。なら――」
「待って待って?え、待ってください?研究して人類に貢献する気は?」
「特にない。子は成したい」
「……はい。次の方どうぞ~?」
「何故だ!?」
その時、案内所の全員が思ったであろう。
妥当だ変態。と
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