関係修復

しばらくしてキサラおばさんとキクコおばさんを包んでいた光が消えた。


一瞬二人は顔を見合わせた。


そして、目をパチクリさせる。


それと同時に扉が開いて、黒原くんと星谷くんが入ってくる。


もしかして!


あたしがキィラさんを見つめると、彼女はウインクして。


「立夏ちゃんが望む関係に、戻ったのさ。それは」


キィラさんは、キサラおばさんを眩しそうに見つめて言う。


「キサラが、立夏ちゃんのことを完全に忘れていなかったことが大きいだろうね」


キサラおばさんが、あたしのことを完全には忘れてなかった?


「キサラたちと立夏ちゃんの関係を消し去ったのは、まほうの力さ」


でもね、とキィラさんは、にやりと笑う。


「 まほうで消せる関係には、限度がある」


限度?


「キサラと立夏ちゃんは、お互いが思っている以上に強い絆で結ばれてるのさ」


だから、キサラから立夏ちゃんという存在は完全には消せなかった。


「キサラは口には出さないけど、立夏ちゃんのことを大事に思ってるんだよ」


キサラおばさんが、あたしのことを大事に思ってくれてた?


あたしがその言葉の意味を考える前に、キサラおばさんに抱きしめられていた。


え? あたし今、キサラおばさんの腕に抱きしめられてるの!?


「よく戻ってきたね、立夏」


キサラおばさんの声が少し、震えてる。


「アンタならまじょに戻りたいと思い直してくれるって信じてたよ」


「キサラさん、ごめんなさい」


いっぱい迷惑かけてしまって。


「ほんまやで、キサラさん慰めるの、大変やったんやから」


星谷くんが、鼻を鳴らす。


黒谷くんは、はにかんだ顔で、おかえりと言ってくれた。


キクコおばさんは、にこにこしながら、あたしを見つめてる。


「みなさん、ご迷惑をおかけしました」


あたしはもう一度全員に向かって謝る。


そして一人一人の顔を見つめつつ言った。


「これから皆さんに手伝って頂きたいことがあります。協力してくれますか」


みんな、あたしの言葉にしっかりと頷いてくれる。


みんなで力を合わせれば、きっと乗り越えられるはず。


「忘れないうちに、返しとくよ」


そっけなく言いながら、キサラおばさんが小さな箱をあたしに渡す。


中には、あたしの杖と、まほうせきの入った小瓶、本が一冊。


全部、まじょの弟子には必要なもの。


杖はあたしを見て、嬉しそうにあたしの周りを、くるくる。


よーし、まじょ鳴川立夏、完全復活!


あとは問題解決に向けて一直線に走り抜けるだけだ!














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