協力者

 まじょやまじょの弟子だった人たちと、あたしの関係は、リセットされた。


 まじょに関する知識が入ったものや、道具も消えてしまった。


 でも、まじょの話をした高園寺さんとの関係は、そのまま続いていたんだ。


 あたしは、彼女に今までに起きたことすべてを話した。


 もう、高園寺さんにしか、まじょの話は伝わらないから。


 あたしがまじょにならなければよかったと願ってしまったこと。


 あたしを取り巻く、関係もリセットされてしまったこと。


 まじょに必要な道具も消えてしまったこと。


 それらを、彼女は一つ一つ真剣に聞いてくれた。


 いつかの、キサラおばさんと同じように。


「なるほどですね。それじゃあ、鳴川さんはどうしたいですか」


 すべてを聞き終わったあと、静かに高園寺さんが聞いてきた。


 あたしが、これからどうしたいか。


「まじょに戻りたいですか。それとも石口さんとの関係を優先したいですか」


 あたしは少し考えてから、きっぱり言った。


「絵美ちゃんと仲直りしたい。まじょには戻れなくてもいい」


 それじゃあ、と高園寺さんは立ち上がる。


「それを行動に示さなきゃいけません」


「行動に……?」


「そうです。もうまじょじゃないのですから、話をしても大丈夫でしょう?」


「あ!」


 そっか、あたしは、もうまじょじゃない。


 だったら、まじょの心得のルールは、守らなくていい。


 まじょの話を含めて、絵美ちゃんに話すことができる。


 あたしが大きく頷くと、高園寺さんは微笑む。


「それじゃあ、あなたが今すべきことは見えますね?」


 念を押すよう聞いてくる高園寺さんに、あたしは宣言する。


「絵美ちゃんに、本当のことを話してくる」


 もちろん、本当のことを言ったところで信じてもらえるかどうかわからない。


 関係を修復できるかどうかもわからない。


 でも、それは仕方ない。自分が招いたことだもの。


 でもあたしがまじょになったことを伝えること、これだけはしなくちゃならない。


 それは、今のあたしが絵美ちゃんにできる、精いっぱいのことだから。


 絵美ちゃんに今のあたしの気持ちと共に伝えよう、まじょの話。


 すべては、それからだ。


 あたしは、高園寺さんにお礼を言って、彼女の家を飛び出した。


 帰り際、彼女は言ってくれた。


「もしうまくいかなかったら。ここへ戻ってきたらよいですよ」


 もう、わたくしたち、友達でしょう?


 そう高園寺さんは、ふわりと微笑んで言ってくれた。


 その言葉が、きっとあたしの背中を押してくれる。


 もしうまくいかなかったとしても。


 あたしには、帰る場所が、居場所が、できたのだから。





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