お店への集客

 それから一週間後、子どものお客さんの獲得に成功したの。


 あたしの手作りLINAクーポンや、SNSでの発信が成功したのね。


 キサラおばさんが不機嫌に、でも忙しそうに働いているのを見ると。


 これでよかったんだと、あたしは思う。


 何事も、やりがいが大切だと思うからね。


 あたしや黒原くん、そして時々手伝いにくる星谷くんもまた充実してる。


 そして、順調にまほうせきも貯まり始めたの。


 お店に来た人が、あたしたちと話して落としていってくれることも増えてきたの。


 話を聞いてあげるだけで、人ってこんなにも気持ちが変わるものなんだね。


 まだ小学生のあたしたちだけど、役に立てることはいっぱいあったんだ。


 そう思えると、すっごく嬉しくなるんだ。


 あたし、本当に元気しか取り柄がなかったから。


 こうやって、誰かの力になれることが、素直に嬉しい。


 そんな幸せな日々を過ごしている時のことだった。


♦♢


「そういえば最近、鳴川さんって石口さんと一緒にいなくなったね」


 同じクラスの子が、カフェにやってきたとき、あたしに言ってくれたんだ。


「え? そうかな……」


 あたしは、全く自覚がなかったんだけど。


 気になって思い出してみると、確かに、その子の言う通りだったの。

 

 休み時間は、黒原くんと星谷くんと一緒にいることが多くなった。


 放課後は、二人と一緒に帰ることが多くなったし。


 最初は、絵美ちゃんも声をかけてくれてたんだけど。


 最近は、向こうから話しかけてくれることが少なくなってた。


 他人の幸せを願わなきゃいけない、あたしたち。


 なのに、身近な人が寂しい思いをしてるのに、気づいてあげられないなんて。


 あたし、自分が情けなくなってきた。


 明日にでも、絵美ちゃんに謝りに行こう。


 でも、どう話せばいいだろう。


 あたしや黒原くん、星谷くんはまじょになったの。


 だから一緒に行動することが多くなったんだ。

 

 そう、正直に言うべきなのかな。


 でも、まじょの心得の本に。


 まじょやまじょの弟子以外に、自分がまじょだってことは教えるなって。


 そう書いてあるし。


 やっぱり、ルールは守らないと、だめだよね。


 とりあえず、一緒にいる時間が減ってしまったことを謝ろう。


 そう、あたしは心に決めたの。



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