もう一つの問題発生!

お店の大掃除

 星谷くんのところの問題が無事に解決した次の日。


 あたし、黒原くん、星谷くんはキサラおばさんの店の前に集まった。


 みんな、バンダナにエプロン姿。


 学校で星谷くんが、急に言い出したの。


「キサラおばさんの店を大掃除しよう」


 あたしも前から、店が汚いとは思ってた。


 そもそも、あたしたちが集まってる間も、お客さん来たことなかったし。


 カフェで幸せになってくれる人が増えれば、まほうせきも集められる。


 きっときっと、いいことづくめ。


 そのためにはやっぱり、見た目からきれいにしないと!


 黒原くんは、整理担当。


 星谷くんは、拭き掃除担当。


 あたしは、ほうきとちりとり担当。


 それぞれ役割分担して。


 キサラおばさんがお出かけしてる間に、大掃除!


 何年も掃除をしていなかったのか、すごい埃の量。


 窓も、扉も、開けられるものは全部開けて、換気しながらの掃除。


 これは、学校の掃除よりやりがいがある。


 自分の部屋だと適当に済ますけど、人の家だとちゃんと頑張ろうと思える。


 一応、仕事だし。


 「ほんとは、キクコおばさんが掃除してこいって言ってたんやけどな」


 キクコおばさんとキサラおばさんはキクコおばさんの家でお茶をしてるらしい。


 きっと帰ってきたら、とーっても喜んでくれるよね! よーし、頑張るぞ!


♢♦


 お茶から帰ってきたキサラおばさんは、扉を入って一歩目で絶句した。


 そりゃそうだよね、すっごいきれいに掃除したもん。


 すると、キサラおばさん、すごく悲しそうな顔をしたの。


 え、何か悪いことしたかな。


 そしたら、キサラおばさん。


「まじょって、なんだか汚い場所に住んでるイメージあるじゃないか」


 だから、あえて掃除しなかったのに。


 そんな文句を言う。


「でもそんなんじゃ、お店に人来ないですから」


 あたしが言うと。


「店がきれいになったからって、人は急には増えないよ!」


 キサラおばさんが拗ねたように言う。


 なるほど、キサラおばさんは散らかってる方が好きだったんだね。


「これじゃあまるで、キクコの趣味じゃないか」


 キサラおばさんはそう言いつつも、きれいなロッキングチェアには喜んでる。


「人を集める方法は、いくつか考えてあります」


 あたしが胸を張って言う。


「待っててください、きっと、お客さんたくさん来るようにしてみせます」


「いや、たくさんは来なくていいよ……」


 めんどくさいもん、キサラおばさんの言葉は、天井に吸い込まれて消えたみたい。



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