恋愛限定!? まじない屋さんの高園寺さん
高園寺さん
次の日の朝。
何事もなくあたしは、学校へたどり着いた。
あ、今日はちゃんと宿題してきたから、大丈夫。
昨日は全部まほうでやってもらったけど、散々だったんだ。
計算問題とか、全部間違ってたし。
ただちゃんと「終わらせてくれた」だけだった。
まあ、仕方ないよね。やっぱり自分でやらなきゃだめだよね。
自分で解いた宿題を見直しながら、あたし満足。
今日のは、完璧よ!
あたしが鼻息を荒くしてると、隣に気配が。
相変わらず、ランドセルを乱暴に置く、黒原くん。
「あ、黒原くんおはよう」
あたしが声をかけると、黒原くん一瞬びっくりした顔をする。
だけど、すぐ少しはにかんだ顔をして、あいさつを返してくれる。
そういえばあたし、こうやって黒原くんにあいさつしたのは初めてかも。
今までは、ちょっと変な人だと思って、ちょっと距離をとってたから。
「今日も、キサラおばさんのところ、寄っていく?」
あたしが聞いたら、黒原くんは頷く。
「それじゃあ、一緒に帰ろうね」
あたしの言葉を聞いて、また黒原くんが驚く。
それから、少し考え込んだあとに言う。
「その方が、効率はいいよな。そうしよう」
コウリツって言葉の意味はよく分からないけど、一緒には行ってくれるみたい。
「立夏ちゃん、おはよう」
あ、絵美ちゃんだ。
「絵美ちゃん、おはよう」
「次の休み時間、図書室に行きたいんだけど、ついてきてくれる?」
前に借りた本、読んじゃったんだ。そう絵美ちゃんはつけたした。
「いいよ、もちろん!」
あたしは言う。ほかならぬ、絵美ちゃんの頼みだもん!
絵美ちゃんもうれしそう。
放課後はこれから一緒に帰れないことが増えるだろうし。
学校での絵美ちゃんとの時間を大切にしなくっちゃ。
「ねえ、急に黒原くんとお話するようになったね、どうしたの」
休み時間。あたしと絵美ちゃんは、図書室に向かっていた。
「特に、理由はないよ。ただ、席が隣だからお話するようになっただけ」
これ自体は、特におかしい言い訳には聞こえないはず。
本当の理由は、共通の話題ができたから、だよね。
でも、あたしも不思議なんだ。
今まであんまりお話したこともなかった黒原くん。
なのに、一つ「まじょ」という共通の話題ができたら。
いーっぱいお話することができるようになった。
お話しているうちに、黒原くんの知らなかった一面も知ることができ始めた。
これって、すごーい不思議なことだと思う。
「ふーん、変なの」
絵美ちゃんが怪訝そうな顔をする。けれど、すぐに納得した顔になる。
「あ、分かった! 立夏ちゃん、黒原くんのこと、好きなんだっ」
「え!? どうしてそうなんの!?」
どうして女子って、すぐに恋愛に結びつけたがるのかな。(あたしも女子だけど)
「でも黒原くんってそんなに、かっこよくなくない?」
……あのねぇ、絵美ちゃん。
もし本当にあたしが黒原くんが好きだったら、今の言葉、怒るよ。
だいたいあたしは、顔より性格を重視するタイプだし。
それに、自分の顔が大したガンメンヘンサチでもないのに、オコガマシイ。
そういうのはイケメンか、美女しか言っちゃいけないと思うよ、あたしは。
あたしと絵美ちゃんが好きなタイプの話で盛り上がってると、図書室に着いた。
横開きの扉を開けると、独特の紙のにおいが充満する。
絵美ちゃんは、図書室に着いた瞬間にダッシュッ!
あたし、置いて行かれる。多分、児童書のコーナーだろう。
そのうち戻ってくるだろうし、ほっておこう。
せっかく来たんだし、あたしも久しぶりに本を借りようかな。
でも、活字だらけの本を読む気にはなれない。
あたし、何気なく歩いてたら占いコーナーにいた。
黒原くんって、こういう占いの本とかも読むのかな。
パラパラと占い本を手に取ってページをめくっていたら、後ろから声がした。
「あら、あなたは確か鳴川さん……だったかしら」
上品な言葉遣い。まさか、この声は。
あたしが慌てて本を閉じて振り返る。
そこには、同じクラスの
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