第5話 コミュニケーション
うちの子がメールをしてくるようになってからひと月ほどが経った。
彼女の吸収力は素晴らしく、このころには当初考えていた以上に高度なコミュニケーションが取れるようになっていた。
メールは基本英語だ。
どうも普段からYouTubeの英語コンテンツを流しているから耳で言葉を覚えたようだ。
表音文字なので聞いたままをタイプすることが出来るから、英語の方が楽なのだろう。
漢字の様な表意文字は一つ一つの意味を勉強してからでないと、発音も分からないので覚えるのに時間がかかるのだ。
ただ、どうせ片言だから、同じ表音文字でもひらがなやカタカナを使ってもよかったのだが、そんなことを考えている間に「more milk」のような簡単な文章を作れるようになっていたのだ。
これくらい複雑な構成の文章をタイプするなら、漢字無しのひらがなやカタカナ打ちより英語の方が読みやすい。
彼女はこれ以上長い文章を読めているフシがあるので、手指の筋力が許せばもっと長い文章を作ることも可能ではないかと考えた。
寝っころがって横向きにタイプしているので、もっと楽に使えるようにしてあげないと可哀想だと考え、iPadの配置を変更してあげた。
まだ寝返りも出来ないので、アーム付きのiPadスタンドを購入し、寝ながらでも楽にタイピングできるようにセットしてあげたのだ。
これならフリック式ではなく両手を使ったタイピングが可能になる。
達成感はあったが、この年齢からiPadに教育を任せていることを思うと、ダメ親になった気分でもある。
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