第6話 ネットショッピング

英語のメールでコミュニケーションを取り始めてからさらにひと月が経つと、娘はようやく寝返りが打てるようになった。


そして、我が家に自動調乳機が届いた。


これは粉ミルクと水を入れておけば自動でミルクを作ってくれるという機械だ。しかも、スマホなどから指示を出すことも出来る優れもの。


ただ、私はそんな便利なものが存在することすら知らなかった。


では、なぜ届いたのか?


正直、真っ先に赤ちゃんを疑った。

ただ、クレジットカードなどの情報はもともとiPadに保存していなかったことを思い出し、冤罪だと判断する。


クレジットカード会社や購入先のAmazonへ連絡をとり判明したのは、私が自分自身のクレジットカードを使って注文したという事だ。


これは、ハッカーの仕業か?と疑い警察に連絡をとることにしたが、その前に一応赤ちゃんに確認を取る。


「まさかとは思うけど、真実まみがこれを注文したのか?」


すると彼女はiPadへ手を伸ばし返信して来た。


『Yes, I did. Can you set it up by my side?』


手の届く所に設置して欲しいそうだ。いや、そういうことじゃない。


真実まみ、ダメじゃないか。いいかい、買い物をするにはお金が必要なんだ」


怒ろうとして気付いたのは、まだ娘にはお金について何も教えていないという事だ。

教えてもいないことを怒るのは間違っているので、グッと我慢する。


さすがにこの年齢の赤ちゃんにお金について教育する必要があるとは考えていなかったので、最低限必要と思われることだけに絞って教える。

まず、お金がないと買い物は出来ないと言うこと。

クレジットカードを使うにもお金が必要なこと。

そして、自分で稼いだお金以外は稼いだ人に許可をもらわないと使ってはいけないことなどだ。


ひとりでハイハイもできないので実際の貨幣や紙幣を持って店に買いに行くことはない。

ネットの買い物に関してだけルールを分かっていてくれればいいだろう。






色々と動揺してしまい、この時は保存してもいないクレジットカード情報を真実がどうやって使うことが出来たのかに関してまで頭が回らなかった。

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