第98話 イタチ 2回目

 金田一

「さて、お次は誰かな?」


 司会

「次はイタチですね。2回目の登場です。イタチさんどうぞ」


 イタチ

「はい、よろしくお願いします。前回は『いたちごっこ』の変更ありがとうございました。すっきりしましたのでまた、参りました」


 司会

「そうですか、それはよかったですね。それでは今日の提訴されたいことわざは何でしょうか?」


 イタチ

「はい『イタチの道切り』です」


 司会

「なるほど。若い世代はあまり使いませんが、これはあまり良い言葉ではないですね。仲良くしてた人が突然、交際や音信がぱったりと途切れることのたとえですね」


 イタチ

「はい。そうなんですが、なんで私たちイタチが道を横切ることがそーゆー悪い例えになるのかが納得いきません」


 司会

「そうですね。よく考えてみたらイタチさんにあまり関係なさそうですよね」


 イタチ

「はい、ぜひ今日はそれを改めて欲しいです」


 司会

「わかりました。金田一先生、よろしくお願いします」


 金田一

「はい。このことわざの意味ですが、『彼女とはイタチの道切りで、去年の冬に会って以来、一度も連絡が取れない』のように急に音信不通になった時に使います」


 司会

「先生、語源は何ですか?」


 金田一

「昔は『イタチは同じ道を二度と通らない』と言われ、そのイタチが人の前を横切ると交際や便りが途絶えたり、不吉なことが起きる前兆とされていました。まあ黒い猫が目の前を横切った時のようなニュアンスですね」


 イタチ

「いやそれがそもそもの間違いですよ。私たちは家と職場の往復などで同じ道は何度も通りますよ。いつも毎日違う道を通るなんて、そんな器用なことできません」


 司会

「それはそうですよね。道の選択肢なんて限られてますからね」


 イタチ

「それと最近ではめっきり人と出会うこともなくなってきましたから、今の若い人にはあまりなじみのない言葉だと思います」


 金田一

「わかりました。では明日からこうしましょう。『イタチのアカウント変え』ではいかがでしょうか」


 司会

「あ、EメールアドレスとかFacebookやLINEのアカウントを連絡無しに急に変えると言う事ですね」


 金田一

「そうです。これによって今まで付き合っていた人といきなり音信不通になって連絡が取れない状態になります」


 司会

「なるほど。現代のインターネット社会に適合した言葉ですね。私も娘から急にアカウント変えされましたから同じ家庭内なのにネット上では音信不通状態です」


 金田一

「はいそういう意味では、若者たちに普及して向こう100年間は通用すると思います」


 司会

「と言う事ですが、イタチさんどうですか?」


 イタチ

「はい満足しました。今風で若者たちにも定着しそうですね」


 司会

「納得されましたか?」


 イタチ

「はい!すっきりした気持ちです。今日はありがとうございました」

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