アジ

 アジは味な魚である。焼いても美味いがフライがとても美味い。


 ただ、拵え方が悪くぜんご(ぜいご)が残っていると台無しである。

 これがまたスーパーの総菜だと高頻度で残っているのだ。

 フライになってしまったら残っているかどうか見た目には判らない。口に入れてガリッと来て始めて知る。

 口の中に入ったらもう大変だ。飲み込むようなものではないので、もそもそと舌を駆使して選り分けて口から出すことになる。

 飯を口いっぱいに頬張っていた時にはもう始末に負えない。

 そんなのを何度も経験すると、総菜のアジフライに手が出なくなるのだった。


 フライに手が出なくてもさしたる問題はない。一番美味いのは干物なのだ。

 美味さの理由は水分が飛んだことで味が凝縮されたところに程よい塩味が付いているから、だけではきっとない。

 塩水で生臭みがかなり抜けているのだろう。焼いた後には生臭みを殆ど感じない。

 不思議なことに焼く前は干物の方が生より生臭く感じ、焼いた後は生だった方が生臭く感じる。

 それが何故かを知る由もないが、そう言うものだと知っていればそれで良いのだ。


 そしてもう一つの謎。

 干物の方が美味いと思っても、店で食べると開きの干物よりも生を焼いたものの方が高かったりするのであります。

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