貧しい食卓

米

　日本の主食は米である。

　もっと言えば白飯、すなわちご飯が主食だ。

　この「主食」と言う単語、「主なカロリー源」と言う意味だが、日本語では「おかずと一緒に食べる」感覚がある。

　対応する英語(Staple food)は有るが、恐らく日本語のニュアンスとは違って純粋に「主なカロリー源」だろう。

　その微妙な差を考慮すれば、日本人にとって米が唯一の主食である。

　そして主食の概念が有るのは恐らく世界的にも珍しい。

　日本以外ではカレー文化圏くらいなのではないだろうか。

　こういってしまうと、おそらく反論もあるだろう。

　そんな筈がない。パン食も進んでいるし麺類だって主食だ。

　そんな感じにである。

　しかしである。

　白飯の前には大抵のものがおかずになってしまうのだ。

　中国人が不思議がると言う「ラーメンライス」や「餃子ライス」が良い例である。

　掛け蕎麦や焼きそばだっておかずだ。

　芋類ももちろんのことである。

　おかずにならないのは菓子と果物くらいのものではないだろうか。

　パンもおかずにならないが、日本のパンはどうにも菓子っぽいので、菓子をおかずにしない感覚と同類ではないだろうか。

　食パンにさえ砂糖が入れられているように、全体的に甘すぎるのだ。

　なにより忘れてならないのが、「食事」を指して「ご飯」と言うことである。

　これこそ米が主食だと言う最大の証拠だろう。

「朝のご飯はサンドイッチよ」

「昼飯はラーメンで済まそう」

「今日の晩ご飯はスパゲティがいいかな」

「ご飯とパンのどっちがいい？」

「パン」

　それはそうと、白飯の無いファンタジー世界で「ごはん」て単語が結構使われているような……。