スイカ

 スイカは夏の果物である。

 果物かどうかの議論もあるが、果物して食すのだから果物で良いのではないだろうか。


 いや、将来に起こるだろう軽減税率という事態を鑑みれば、野菜と主張していた方が良いのかも知れない。


 それはともかくとして、近年では他の季節でも売っている。

 全ては温室と流通の発展のお陰だ。

 しかし、季節感が失われると同時に有り難みも薄れてしまっているのが否めない。


 季節感が無くなっているのは、創作の世界にも少々影響を及ぼしていると思われる。

 古い漫画には季節外れの果物を探して走り回るエピソードを見掛けるのだ。

 病気の子供の我が儘であったり、場合によっては誰かの最期の望みだったりする。

 今時そんなエピソードを盛り込めば鼻で嗤われかねない。

 冬に「スイカが食べたい」と言われてもスーパーマーケットなどに行けば売っているからである。


 いつでも食べられるのは良いことかも知れない。

 しかし懸念もある。

 少々お高いながらいつでも食べられるとなれば、飢餓感が無くなって却って食べなくなったりしないだろうか。

 需要が少なくなるから利益を確保するために高級品化が進み、更に需要が減っていたりしないだろうか。


 スイカに限った話じゃありませんが。


 そんなスイカは「西瓜」と書くように瓜の仲間である。

 皮に近い白い部分を食せば瓜の味がする。

 だから漬け物にもできる。

 ただ、皮の固い部分と実の甘い部分の境目の白いけれど固くはない部分を使うので下拵えは骨であろう。

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