100%ない恋物語

@tubutubuanko

第1話

これは、ある男が一枚のハンカチを

拾った事から始まった 絶対にあり得ない恋?物語です。


9月21日(金曜日)

いつものように、6時に起きて

いつものように、朝食

いつものように、7時16分に家を出る

8時50分職場に着く

東京多摩地区の市内から異動の為、

恵比寿に在る本社迄通っている。


最上涼 (27才)

イベントなどの企画を行う仕事をしている


「おはようございまーーす」

今日は何故だか、全くヤル気がない!

ダラダラと時間が過ぎ、時刻は5時48分

定時迄あと12分

すると、

俺の2つ上の宮坂先輩が声を掛けて来た。


「最上君今日も残業?」


「あ、いや、今日は帰ります。」


「あら、珍しいじゃない調子悪いの?」


「そう言う訳じゃ無いんですけど、今日は帰り・・たいんです すいません。」


ヤル気ないなんて言える訳ないし


「いいんじゃない そんな時もあるわよ私なんか毎日思ってるし! そっか、デートに誘おうと思ったんだけど」


「え!あ、あの」


ん、なんか、嫌な視線を感じる!

みんなが殺気に満ちた目で見ている。


「冗談よ!でも、ちょっと付き合ってほしかったんだ」


「すいません」


「大丈夫だよ。お疲れ!」


席を立つと同僚達が此方を見ている。


「おつ・・・かれさまでした」


怖!逃げるように会社を出た


空はまだ明るくこんなに早く帰るのは久しぶりだ。

駅までの道のり、真っ直ぐ帰るのもつまらない夕食には早いし、

ふらふら歩いていると、前を歩いている女性がハンカチを落とした


「あの、ハンカチ落としましたよ」


「え、あ、すいません。ありがとうございます。」


うわ!可愛い、、、


「あ、いえ、可愛いハンカチですね。」

薄いピンクの花柄のハンカチだった


「はい。わたしの大切なハンカチです。」


「そうなんですか、、、贈り物とか」


「・・・」


「ごめんなさい。変な事聞いて」


「大丈夫です。あの、お時間ありますか?」


「はい、ありますけど?」


「良かった!お礼がしたいので行きましょう!」


「え!何処に行くんですか?」


「カフェです。私のお気に入りのお店で、行く途中なんです」


「お気に入りの、、、」


「はい!ダメですか?」


断る理由もないし、ちょっと小腹も空いたし

「はい。行きましょう。」


なんだろう?この感じ?この懐かしいような、どこかで会ったような?

分からないけど、初めて会った気がししない?


“そう、それは後にあり得ない奇跡の再会である事を

この時、俺はまだ知らなかった”


しばらく歩きその店の前まで来た

「ここです。」


お洒落な店だエスプレッソディー、、、


「お洒落な店ですね」


彼女は笑顔で 「はい 」っと答えた


「俺はベリーベリーパンケーキとカフェラテで」


「私は、キャラメルナッツとカフェラテでお願いします」


注文後俺達は席に着いた

数秒の沈黙のあと、


「俺、2年くらい通勤で恵比寿まで通ってますけど、こんなお洒落な店あったんですね

仕事終わったらすぐ駅に行ってしまうので」


「そうなんですね」


「あ!そう言えば、名前聞いてなかったですね」


「そうですね!ごめんなさい!」


「いえ、俺 最上涼です」


「私は、上高地結実です」


上高地・・いかにもお嬢様って感じだ、ただ苗字が3文字だけでそんな感じがする

やっぱりお嬢様なのかな?


「あの、上高地さんは、家は近いんですか?

あ、俺は、ここから1時間半くらいの所です」


「遠いですね」


「そうですね、プチ観光地みたいな所もあってあの上高地さんは」


「私は、自由が丘です あ、結実で良いですよ」


自由が丘、

間違いなくお嬢様だ!ってなに考えてるんだ


「プチ観光地?」


「そうです。湖があって、その堤防から見る景色は

絶景です。桜の季節は最高です。」


「綺麗なとこですね。行ってみたい!

今度、連れてって下さい。」


え!それって誘ってる?今日初めて会ったのに?


「自由が丘って、お洒落な街ですよね。行ったこと ないけど、 一度行ってみたい街です。」


余計なこと言ったかも?


「そうなんですね!行きましょこれから、」


嬉しそうに笑う結実さんがいる


「え、あ、あの今日じゃなくても!」


「よかったら、私の家で夕飯食べていって下さい」


なにを言っているんだ?

今日会ったばかりの人をしかも男を誘うなんて・・

いくらなんでもダメでしょ!


「え!いや、それはダメですよ!今日会ったばかり で、しかも俺、男ですよ!それはお断りします」


つい強い口調で言ってしまった

結実さんは

うつ向いて今にも泣きそうな顔をしていた

ちょっと言い過ぎたかな

「ごめんなさい。最上さんと一緒に居たくて、よくわからないけど、ハンカチを拾ってくれた時 から、すごく気になってて、だから・・」


「ごめんなさい。ちょっと言い過ぎました。

あの本当に良いんですか?食事?」


「はい!父も母も喜びます!」

ひとり暮らしじゃないのね!ってなに考えてるんだ


言った手前、断れない!


「・・・・よろしくお願いします」


「それじゃ行きましょ!私の家に!」


でも、何故だろう?強引と言うか自分勝手と言うか

世間知らずと言うか、それでも何故か憎めない?

一緒に居たいという思いすらあるのは


店を出た俺たちは、駅に向かって歩きはじめた。

恵比寿駅に着くと、黒いリムジンが止まっていた。

結実さんが車に近づくと、ドアが開き白髪の

品の良さそうな男性が出て来た。


「結実お嬢様どうぞ」

そう言うと、後部座席のドアを開けた


俺に気付き

「そちらの方は?」


「私の落とし物を拾ってくださった最上さんです」


「執事の東海林玄三さんです」


「東海林です。よろしくお願いします」


「最上です。よろしくお願いします」


「そうでしたか。ありがとうございます。」


「いえ、当たり前の事をしただけです。」

この人どっかで?なんなんだこの感じは?


「夕飯を一緒にしたくて誘いました」


「そうでしたか、では最上様もどうぞ。」


「ありがとうございます」

100%お嬢様だ!


最上様ってなんか社長みたいで、ちょっといい気分 でも、両親は・・厳格な人?


車の中は、ふんわりと良い香りがしていた

30分程走ると、一軒の建物が目に留まった!

まさか、あれ、じゃないよね?

すると、そのまさかの建物に入って行った


「あの、もしかして此処ですか?」


「はいそうです」


豪邸だ・・こんなのドラマとかでしか見た事がない!


玄関と思われる方には、女性が一人立っていた。

車を降りると、女性が声をかけた。


「お嬢様お帰りなさい。」


「ただいま。こちらは、最上さんです」


「最上です」


「最上様もどうぞ。」


ドアが開き部屋の中へ入ると、

同じ服を着たメイドさんらしき女性が2人いた


東海林さんは奥の部屋を指差して

「あちらの部屋でございます」


「あの、結実さん、俺来ても良かったのかな」


「はい。私、よく分からないですけど最上さんといると、暖かい気持ちになります」


「暖かい気持ち・・」


なんだ暖かい気持ちって?

もしかして、俺が思っていた懐かしい感じと同じなのか?


東海林さんがドアを開けると良い匂いがしてきた

目の前には、美味しそうな料理が並んでいた

席の中央に案内された


「結実お嬢様どうぞ。最上様も隣へお座り下さい」


東海林さんが椅子を引き俺たちは座った。


「旦那様と奥様をお呼びして参ります」


そう言うと、東海林さんは部屋を出て行った

結実さんの後ろには、メイドさんが2人

向かい側には1人立っている

俺は膝の上に両手を置き緊張しているせいか

じっと前を見て固まっていた。

3分くらいだろうか、ドアの開く音が聞こえた

俺はドアの方を向くと男性と女性が入って来た

もしかして、結実さんのお父さんとお母さん!

そう思った瞬間!俺の手は震えていた

それに気づいた結実さんは


「最上さん寒いですか?」


「え、いや、寒くないです大丈夫です」


「手が震えていたので、それなら良いのですが、

今日は少し冷えるので寒かったら言って下さいね」


「はい。ありがとうございます」


2人は俺たちの向かい側まで来た。

よく見ると、

男性は恰幅が良く、顔は眼鏡を掛けいかにも頑固そうだ


女性は結実さんにどこか似ていて、綺麗な人だ

ただ、教育ママが掛けていそうな眼鏡だった。


終わった!?俺は追い出される!?

きっと、こうなるんだろうな?



「なんだ君は!誰だ!結実が連れて来たのか?」


「あら、なんですの!この品のない男性は!」


「お父様お母様、最上さんは私が落としたハンカチを 拾って下さったのです」


「ハンカチ?だからって、連れてくる事はないだろう! 食事が不味くなる!東海林この男を外に放り出せ!」


こんな感じになるんだろうな?

そう思うと、金縛にあったかのように身体が動かなかった!


結実さんが席を立ち、俺も席を立った

両親が俺たちの前に来た時


結実さんが俺を紹介した。

「お父様、お母様、最上さんです。

私が落としたハンカチを拾って渡してくれました

そして、夕食もお誘いしました。」


「最上です。」


結実さんは怒られ、俺は晒し物にされ

そして、追い出される!


しかし、心配とは裏腹にお父さんは?

「おーそうなんだね!最上君どうもありがとう!

結実の大切にしているピンクのハンカチだね。」


お母さんも

「私からもお礼を言うわ!ありがとう!最上君」


目が点になり、なんか良い人!?


「ささ、座りなさいほら玄さんも皆んなも座って」


「最上君下の名前は?」とお母さんから聞かれた


「涼と言います。最上涼です。」


「素敵な名前ね涼君は御自宅は何処なの?」


「会社が恵比寿で1時間半くらいです」


「あら、遠いわね!通勤大変でしょ?」


「異動で恵比寿になって2年くらいです。

帰りが遅い時はちょっとしんどいですね。

最近、引っ越しも考えてます。」


すると、お父さんがとんでもない事を言い出した。

「そなのか、それは大変だね!

そうだ!ここに来なさい!部屋は沢山あるから」


と、お母さんも、

「あらそうね、それが良いわ!此処からなら近しそうしなさい。」


結実さんまでもが、

「それが良いです。そうして下さい。」


「あの、冗談ですよね?」


すると、お父さんは

「いや、冗談なんかで言わないよ!僕は本気だよ」


「ちょっと待って下さい!

今日結実さんと、逢ったばかりで

僕の事も何も知らないじゃないですか

僕が悪い人間だったらどうするんですか!

おかしいですよ!


俺は立ち上がって強い口調で言ってしまった

結実さんは、うつ向いていた。



するとお父さんは

「君の言っている事は最もだと思う。

でも、結実が連れて来た、悪い人じゃないよ君は、それに、君を見た時、何だろうな?

上手くは言えないが、暖かい風のような、そんなそんな感じがしたんだよ」


「暖かい風?そう言えば、結実さんも暖かい気持ちになるって!?」


結実さんの方を見ると頬に光るものが見えた。

泣いている。

すると、お母さんは

「結実も、そう感じていたのね?」


結実さんは顔を上げないまま頷いた。

両親も結実さんもそんなふうに感じていると思うと

俺は、それがなんなのか知りたくなった。


あんな事を言った手前、言いづらかったが、

「あの・・本当に、此処に来ても良いんですか?

皆さんも、僕が此処に来て迷惑じゃないですか」


すると、東海林さんが

「もちろんです。是非、来て下さい。」


そう言うと、メイドさん達も笑顔で頷いた。

「最上さん、これからよろしくお願いします!」


結実さんが俺の方を見て笑顔でそう言った。


「此処こそ、皆さんよろしくお願いします。」


俺は全員に頭を下げた。


「じゃあ、決まりですね!

明日引越ししましょう!」

と、お父さんは満面の笑みで話した。


「え、明日?それはいくらなんでも、準備とか色々

あるので!」


「うん、それもそうだな、」


「もう、お父さんはせっかちですね!

明日は、準備をして明後日、日曜日にしたらどうですか!」


「いや、それも無理だと思います。引越し業者にも頼まないといけないので」


するとお父さんは

「それなら大丈夫だよ。

私の知り合いにお願いしよう。

それと、荷物の準備は、此処にいるみんなでやれば良い」


メイドさん達を見ると頷きやる気満々の表情をしていた。

もはや何も言えない!


「皆さんすいません。お願いします。」


「私も頑張ってお手伝いしますね」

と結実さん。


「私も一緒に行こうかしら?」


え、お母さんも?

「あの、お母さんは」


俺の言葉を遮るように、お父さんが

「そうしない。邪魔はしないでね!」


「この人数だと乗れないね?

玄さん、ホテルのマイクロバスを使いなさい」


「ホテル?マイクロバス?」


「そうか話してなかったね、僕はホテルを経営しているんだよ。今度、泊まりに来ると良い。スウィートルームを用意しておくよ。」


ホテル、経営、ホテル王?


「はい」しか言えなかった!


これ夢とか詐欺とかじゃないよな!?


そんな事を話しているうちに、食事も終わり

気づけば時刻は10時を回っていた!

そろそろ帰らないと!


「あの、僕そろそろ帰らないと!」


「良かったら、泊まっていって下さい。」

結実さん 言った


「そうね。涼ちゃん泊まっていきなさい」

とお母さんも


「そうすると良い。部屋も選んでいきなさい

これから住む涼君の部屋を」


「でも、着替えとかないし」


「それなら、大丈夫だよ。」


お父さんがメイドさんの1人に声をかけた

「小宮山さん服など着替えはあるよね。」


「はい。ございます。旦那様」


あるんだ!?

「はい。よろしくお願いします。」


9月22日(土曜日)


こんな展開になるなんて、誰が想像してた!?


結実さんに部屋を案内され、俺は部屋を選び一夜を過ごした。


午前7時上高地家ではいつもより1時間早い朝食を済ませ、俺の引越しの準備をする為だ。

お父さんが用意してくれたマイクロバスに乗り

俺の家へと向かった。


車内で、お母さんは、みんなに話しかけ1人で喋っていた

以外だったのはメイドさん2人が話し好きだった事だ

3人のうちの1人小宮山さんは俺の部屋の掃除をする為に残った


午前9時50分 俺の住んでいる、いや、いたアパートに着いた。

部屋に入ると、メイドさんが綺麗にされてますねと言ってくれた。


「 ありがとうございます。」


「涼ちゃんは綺麗好きなのね?」と、お母さん


「汚いのが嫌なんです」


「これなら早く終わりそうですね。さ、初めましょ!」

結実さんの一言で作業は始まった。


ふと、お母さんを見るとなにやら電話をしていた

「涼ちゃんの部屋綺麗なのよ早く終わりそうだからお願いできる」


「お、分かった!これから行ってもらうよ!住所教 えて」


「涼ちゃん、お父さんに住所教えてあげて」


「住所?」


「早く終わりそうだから、今日持ってこう!」


「はい」今日も明日も一緒か!?

俺はお父さんに住所を教えた。


話しながら作業を始める事2時間

部屋の中は運ぶだけとなった。


「終わったわね!よし、お昼にしましょう。」と、お母さんが言った


メイドさんが何故かレジャーシートを敷き始めた

お母さんは「お弁当作ってきたから食べましょう」


みんなで準備をしてお昼タイムとなった


食べている途中で俺はある事に気づいた!

家賃・・思わず!

「あ!」っと声をあげた


「最上さんどうしました?」

と結実さんが声を掛けた。


「あ、大丈夫です。」俺はお母さんに


「あの、聞き忘れていたことが・・」


「何?涼ちゃん?」

俺は小声で

「肝心な事を忘れてまして・・・家賃の事を・・」


「家賃?要らないわよそんなの」


「いやでも、それじゃ」


「だって私達が強引に来なさいって

言ったんだから、ね」


「本当に良いんですか?申し訳無くて」


「いいのよ!家族みたいなものなんだから、

そう言えば、涼ちゃんご家族は?」


数秒間が空いたあと

「家族、兄弟は・・いません、親は2人とも5年前に 亡くなりました」


「そうだったの・・

ごめんね思い出させてちゃって。」


「いえ、大丈夫です」


俺はふと、結実さんを見た

結実さんは少しうつ向いて、

悲しそうな顔をしていた。


「結実さん・・」


「大丈夫です。」と、結実さんは言った


「結実も・・」そうお母さんは言った


え、結実もって?

俺は、養護施設に居た頃の事を思い出した。

もしかして、思い切って俺は聞いてみた。


「あの・・」


「何?涼ちゃん?」


「お母さんとお父さんは、

結実さんの本当の・・・」

と、言いかけた時、


「最上さん・・」と、結実さんが言った


「俺、養護施設に居たんです」


「え、本当なの?」と、お母さんは言った


「はい、その時、3歳の女の子がいました。

名前は “ゆみ ”って言います。なんか理由があった みたいで、1週間しか居ませんでしたけど、俺に懐いでいて、最初は嫌だったんです でも、そのうち、妹みたいに思えてました。」


それを話すと、お母さんと結実さんと、

そして、東海林さんは

驚いた様子で俺を見た

「ある日、俺が学校から帰ると施設の前に車が止まっていて 知らない男の人と女の人がいて、先生に聞いたんです」



幼少期回想21年前


俺はいつものように、走って学校から帰ってきた。

すると、施設の前に車が止まっていた。


「うわぁ、すげえ車が止まってる」


玄関の前には、先生が立っていた

「先生!」


俺に気づいた先生は「涼くんお帰り」


「あの車何?どっか行くの?あの人達誰?

なんで “ゆみ ”も一緒にいるの?」


「“ゆみ”ちゃんね、新しいお父さんとお母さんの所 に行くのよ」


「新しいお父さんとお母さん・・なんで、嫌だよ!そんなの聞いてないよ!」


「“ゆみ”ちゃんね、事情があって一時的に預かっていたの」


「“ゆみ”は俺の妹みたいな・・行くなよ“ゆみ”」

俺は、ぼろぼろ涙が出てきた


「涼君・・・」


すると、“ゆみ”が「おにいちゃん」そう言って俺の方を見た。

女の人が“ゆみ”に何か言っていた。その後、“ゆみ”が手を振った

両親が挨拶をすると先生も挨拶をした

そして、車は施設をあとにした。

「ゆみ ゆみ」俺は何度も叫んでいた。



現在に戻る


「そうだったの、私も、そしてお父さんも

結実の本当の親じゃないのよ。」


「奥様!」と、東海林さんが言った


「いいのよ。結実も良いわよね?」


「はい」


「私は、結実のお母さんの姉なの

涼ちゃん、施設の名前覚えてる?」


「はい、希望の家 です」


それを聞いた瞬間、東海林さんが

「希望の家、あの時のお子様が、最上様・・」


「え!」俺は、東海林さんとお母さんと、そして結実さんを見た


結実さんもお母さんも泣いていた。

「最上さん・・・」と、結実さんが。


するとお母さんが、

「やっと会えたわ!結実はね、ずっとお兄ちゃんって、言って泣いてたの

それでね、お父さんと相談して、あの男の子も引き取ろうって、 でも、もう居なくて、

引き取った人の事を聞いたけど、

教えてくれなかったの」


「そうだったんですか、結実が・・結実さんが居なくなって 2日後に最上の所に行きました」


「そう、お父さんとお母さんはどんな人だったの」


「最初は馴染めなく反発してて、よくイタズラして

学校に呼び出されて、謝っていました。

でも、何度か続いた時、

親父に怒鳴られてビンタ食らったんです

今まで怒られた事が無くて、

怖かったけど嬉しかったんですよね

本気で怒ってくれる人が居なかったから、

お袋は、いつも笑顔で優しかったですね、

でも、怒ると親父以上に怖かったな

本当の子供のように接してくれました」


やっと会えた!俺もそう思った。

あの女の子が、結実さんだった。

俺はあの時の気持ちを、離れたくないという思いを

今でも、その気持ちは変わらないでいた。




「結実さん、あのハンカチもしかしてお母さんの」


「はい、母のハンカチです。」


「あの、お母さん、あの俺・・」


「何?涼ちゃん」


言わないと後悔するような気がして、

思い切って話した

「俺、ずっと・・・」


数秒、間が空いて、


「あの時から、ゆみ・・結実さんの事を

探していた気がします。いつも心の何処かで

今どうしてるんだろう、とか、会いたい、そう、思ってました。」


俺は結実さんのお母さんに


「やっと逢えました。もう、離れたくないです。一緒に居たいです。ずっと上高地家に居させて下さい。」


みんなが驚いた様子で俺を見ていた。

そして結実さんが「最上さん私も・」

と言いかけた時


その後の言葉を遮るように、お母さんは言った。

「それは駄目よ!」と、そっぽを向いた!


東海林さんが「奥様」結実さんも「お母様」


そっぽを向いたまま、目だけは俺の方を向いて、

こう言った

「だって私には、素敵な旦那様がいるんだから!

だから、駄目よ! 言う人が違うでしょ。

そうゆう事は、ちゃんと本人に言わないと、ね」

そう言うと、俺の方を向いて笑った。


確かにそうだと思った。

改めて俺は、結実さんに言った。

「結実さん、俺ずっと逢いたかった。

昨日、会った時、何処で会ったような懐かしい感じがしました。

そして今日、その答えが分かって、

やっと逢えた、そう思いました。

もう、離れたくない、

結実さんが上高地家に行った時、

また、ひとりになって寂しくて、大人になったら、

絶対迎えに行くんだって、決めたんです」


結実さんは

「私も、最上さんにお会いした時、暖かい気持ちになりました。

一緒に居たいなって、だから・・私も」


「結実さんと一緒に居たい。もう離れたくないです世界中の誰よりも、結実さんと一緒に居たい。だから、俺の側に居て下さい。」


結実さんの目から涙が溢れ頬をつたう。

「最上さん・・私も一緒に居たいです。

ずっと一緒に居て下さね。」笑顔でそう言った


すると、拍手が鳴り俺と結実さんは周りを見た


「結実良かったわね!」


「結実お嬢様おめでとうございます。」


メイドさん達も「お嬢様おめでとうございます。」


「お父さんにも教えてあげないと」


お母さんは電話を取り出し

「お父さん、ビックリしないで聞いてね!」


「ん、なんだいいきなり!?」


「見つかったのよ!あの時の男の子」


「あの時の男の子?」


「ほら、

結実を迎えに行った時に施設に居た男の子。」


「本当なのかい?もしかして涼君じゃないか!?」


「そうなの。」


「やっぱりそうだったんだね。

涼君を見た時に、あの男の子を思い出したんだよ」


「それだけじゃないのよ!涼ちゃんね結実と

ずっと一緒にに居たいって告白したのよ」


「そりゃまたビックリだね。結実の返事は、ま、聞かなくても分かるけどね」


「結実も一緒に居たいって言ったわよ。」


「やっぱり!めでたいじゃないか!

今日の晩餐は豪華だぞ!」



「お願いね。」

お父さん喜んでたわよ!と結実さんと俺に言った


「お昼途中だったわね。」


昼食が終わって暫くすると引越し屋さんが到着した


時刻は13時35分荷物を積み始めて14時40分

上高地家へと向かった。

16時25分上高地家到着。

全員で俺の部屋に荷物を運び1時間程で作業は終わった。


俺は引越し屋さん上高地家の人達に

「お忙しいところを、僕の為にありがとうございました」と頭を下げた


その後、お茶をし今日の事などを話した。


俺はお父さんに結実さんの事を話した

「あの、お父さん。結実さんの事何ですけど」


「うん、聞いたよ。結実の事頼んだよ」


「はい。ありがとうございます」


「そっか涼君があの時の男の子だったんだね。

最初に会った時に、もしかしたらって思ったんだよ

良い顔してる。きっと良いご両親だったんだね」


「はい、本当の子供のように接してくれました」


思い出したかのようにお父さんが声を上げた

「あ、そうだ式場準備しなきゃな!」


「式場!?」


「うん、結実と涼君の!?」


「そんな急には・・・」


「急なお客様の為に常に1つ式場は確保してあるんだよ 結実と涼君の為の特別仕様にするよ」


「あ、ありがとうございます。」


離れたくないのは確かなんだけど、いいか!?

早いか遅いか!?そういう問題か?

でも、俺は嬉しかった。


そして、超豪華な晩餐が始まった。



翌日 9月23日(日曜日)


昨夜は、2時近くまで最後の方は宴会になっていた

眠い目をこすり時計を見ると、8時20分だった

部屋を出て、食事へ向かう廊下で東海林さんに会った


「東海林さんおはようございます。」


「最上様おはようございます」


「昨夜は、楽しまれましたか?」


「はい、皆さんと食べて、呑んで楽しかったです」


「本日、ホテルへ行かれるますよね」


「はい。あ、結実さんは起きてますか?」


「結実お嬢様はまだお休みになってます」


「皆さんはもう食事はしたんですか」


「旦那様と奥様はまだ召し上がっておりません。

お部屋の方におられます。」


「そうですか分かりました」


「あ、最上様、私の事は玄さんで良いですよ。」


「え!いやでも」


「昨夜、玄さんとおっしゃっていたので

旦那様もそう呼んで下さいます」


「すいません、ちょっと酔ってたみたいで

じゃ、これから玄さんで呼ばせてもらいます

俺の事も、涼で良いですよ。」


「では、涼様でよろしいですか?」


「様は要らないんですけど」


すると、奥の部屋のドアが開く音がして

結実さんが起きてきた。


「最上さん東海林さんおはようございます」


東海林さんと俺は「おはようございます」


「結実さん、涼で良いですよ」


「はい、あの涼さんで」

少し恥ずかしそうな顔で言った


俺達は食事をする為に部屋へ向かった

部屋に入ると、丁度席に着く所だった


「おはようございます。

昨日は色々とありがとうございました」


「おはよう」と2人が言った


「良いんだよ!私達も楽しかったよ」


「今日行くんでしょホテル、私も行こう

ワクワクするね!」

とお母さんは嬉しいそうに言った


「それじゃ、皆んなで行こう」


朝食を終え部屋に戻った


昨日、結実さんに言った事を思い出していた

出会って1日で告白した事、

でも、それを早すぎたとかそういう後悔などは全くなかった。

ただ、結実さんはどうだったのだろうか?

いっときの感情だけで受け入れたんじゃないかと


30分後俺は結実さんと散歩に出た。

30分くらい歩くとカフェが見えてきた。

ちょっとお洒落な自由が丘らしい?お店に入った

暫く話をして俺は朝疑問に思った事を聞いた


「結実さんちょっと聞いてもいいですか」


「はい、何ですか?」


「昨日、俺が言った事、結実さんと一緒に居たいって結実さんも、一緒に居たいって言ってくるました本心なのかなって、

一時の感情で言ったのかなって?

ごめんなさい、ずっと気になってて、俺なんかで良いのかなって?」


「涼さん・・気にさせてしまってごめんなさい本心です、一時の感情とかではないですよ

私、今までにお付き合いを申し込まれた方が何人 かいました

でも、私が待っている人じゃないって、全部お断りしました

涼さんと出会った時、暖かい気持ちになって、その時、この人と一緒に居たいって思ったんです

私の待っていた人に逢えたって思いました。

だから、私とずっと一緒に居て下さね」


「あの、改めて、俺と結婚して下さい。」

俺はちょっと小声で言った


「はい。よろしくお願いします」そう言って笑った


「涼さん、顔赤いですよ!」


「え、本当ですか!?」


「嘘ですよ」


「結実さん・・」

結実さんと俺は同時に吹き出すように笑った

結実さんも冗談言うんだ。結実さんの新しい一面を見た気がした。


家に戻り昼食をとり14時35分お台場にあるホテルへと向かった。


15時15分

ホテルに着くとスーツを着た男性と従業員と思われる女性が3人いた


東海林さんが車のドアを開ける

お父さん、お母さん、そして俺と結実さんが降りる


俺はホテルを見上げたKAMIKOUCHI HOTELと書かれていた でかいし高いし30~40階くらいか


スーツの男性が

「社長お待ちしておりました。結実様お久しぶりぶりです そちらからが、最上様ですね初めまして」


そう言うと、名刺を出して「総支配人の鮫島と申します」


「最上です。今日はよろしくお願いします」と、頭を下げた


鮫島さんが一人の女性を呼んだ

「ブライダルの宮坂です」


女性は「ブライダル担当の宮坂鳳花です。よろしくお願いします」


俺と結実さんは「よろしくお願いします」と会釈した


そして、俺は宮坂さんを見て思わず「あれ!?」と言った


「はい、何でしょうか?」


「あ、いや僕の知っている人に似ていたので、

その人も、宮坂っていいます」


「宮坂・・名前は?」


「美咲っていいます。僕の職場の上司です」


「美咲、それ私の妹です偶然ですねこれも出会いですね」


少し雑談した後「では、案内します」


俺達は宮坂さんと2階にあるブライダルのフロアへ

「これからのお二人の日程など準備などは

後程ご案内致します。先にお二人が着る御衣装をご案内致します」


部屋に入ると、

3人の女性とマネキンに着せられた衣装が並んでいた

女性達は俺達に挨拶をした


結実さんは、「素敵な衣装が沢山ありますね」


「ほんと、沢山あるわよね!私の時はこんなになかったわ!これも素敵あれも素敵迷うわ!」


いや、お母さんが選ぶんじゃないから!?


「結実、これどう、色もデザインも素敵じゃない」


「お母様、こちらのドレスも可愛いですよ」


いつの間にか2人はドレスに夢中になっていた

俺の事忘れてる!?


宮坂さんが「新郎様もどうぞ、新婦様よりも数は少ないですが」

確かに10着くらいしかない。


「何でお母さんがはしゃいでいるんだ?

お母さんが結婚するみたいじゃないか?

涼君、僕は総支配人と話があるから

ゆっくり見ていきなさい。」


「はい。ありがとうございます」


そう言うと部屋を出ていった。


「ある程度決まったら、試着してみましょう

それか、新婦さんのドレスに合わせるのも良いで すよ」


「そうですね。結婚式って女性が主役ってイメージ があります 結実さんのドレスに合わせます」


「はい、分かりました」


「そういえば、ほかにお客さんはいないんですか」


「はい。御二人の為のブライダルフェアとなってます」


「すいません。ありがとうございます

あの、今日の事は先輩・・宮坂主任には内緒にお 願いします 冷やかされそうで」



「美咲なら、さっきまでいましたよ」


「そうなんですか!結婚するんですか?」


「違う違う、今ねスイーツの食べ放題やってるんですよ」


「そうなんですね。先輩大食いだから。」


宮坂さんは笑いながら「今日も、全種類食べたって自慢してましたよ」


「ブラックホールですね」


「そうですね。ちなみにもう帰りましたよ」


「なんか、向こう賑やかですね!」


「新婦さんと一緒にご覧になってはどうですか」


「はい、そうします。俺の方は結実さんのドレスに 合わせるんで」


「分かりました」


結実さん達と選ぶ事にした

いくつかピックアップし試着をした


17時5分

別室にて今後の式までの流れの説明を受けた

招待状とか引き出物とか、色々と決めなければならない事があった


17時55分

ひと通りの説明や質問が終わり、

後日、また来る事になった。


夕食後、雑談を混じえながら遅くまで結婚式の事を話し合った


結婚式は10月7日(日曜日)に決まった、いや決まっていた


9月24日(月曜日)祝日


7時35分 目が覚めて部屋を見渡す

それにしても、広い部屋だな・・

そんな事を思いながら朝食へ

部屋へ入ると丁度食べ始める所だった。

俺は挨拶をして、席に着いた


「今日も打ち合わせかな」とお父さん


「はい。10時からです、そういえば

スイーツの食べ放題をやっていると聞きました」


「今日までやってるはずだよ、涼君好きなのか」


「一度スイーツの食べ放題行ってみたかったんです」


「良いわね!

打ち合わせ終わったら食べに行きましょ」


お父さんは俺と結実さんの方を見ながら

「お母さん」と言って首を振った


すると、俺達をみて何かを感じたのか

「もしかして、お邪魔よねそうよね!?」


「もう、お母様」

と少し照れた顔で結実さんが言った


9時10分ホテルに向かう


9時50分到着

ロビーで5分程待つと宮坂さんが来た


1時間程打ち合わせと次回の日程を確認してスイーツ会場へ


会場に入ると、スイーツの良い香りがしてきた

やっぱり女性が多いな、そんな事を思いながら席に着いた


結実さんが先に取りに行き数分で席に戻ってきた

お皿には、4種類の小さめのケーキとコーヒー

俺も取りに行き席につく。

全種類と思っていたが、15種類で俺はギブアップ


しかし、結実さんは、

「これで、全28種類制覇です!」と、最後の一つを口にした


「結実さん、大丈夫ですか?結実さんってもしかして大食い・・ですか?」


「美味しかった!

好きな物は、いくらでも入ります。」と笑った


この先、俺は結実さんの以外な一面を

何回いや何十回見るのだろうか!?

それを考えると、怖いような楽しいようなそんなワクワク感があった


9月25日(火曜日)


上高地家に来てからの初めての出勤だ。

玄さんは職場まで乗せてってくれると言ってくれたが、それは断った。


8時10分玄関を出た俺に、

メイドさん、玄さん「行ってらっしゃいませ、お気をつけて」


お母さん「涼ちゃん、行ってらっしゃい」


お父さん「涼君、行ってらっしゃい」


そして結実さん「涼さん、行ってらっしゃい」


結実さんのそれを聞いて少し照れくさかった。


「行って来ます」

そういえば、

行ってらっしゃい なんて何年ぶりかな。


8時35分会社到着


「宮坂先輩おはようございます。早いんですね」


「おはよう。最上こそ早いじゃない」


「あの、話があるんですけど」

結婚の報告と出席して欲しいとお願いした


「良かったじゃない。おめでとう!もちろん出席するわよ」


「ありがとうございます」


どこでするの?と聞かれ


「上高地ホテルです」


「え!お台場の?私の姉がいるよ」


お姉さんが担当の事、結実さんの事を話した


どんな人なのと聞かれ

「暖かくて、ふんわりした、風の様な女性です」


ふっと笑われ「最上君からそう言う言葉を聞くとは思わなかった」


確かに、言った自分も恥ずかしくなった


ちょっと意外だったな、

絶対冷やかされると思ったのに

普通に話しを聞いてくれた!?

その後、課長と部長の所に行き報告をした


そして、結婚式前日の夜10月6日(土曜日)


食事が終わり、

結実さんは両親に感謝の言葉を述べた


「お父様、お母様、私が18の時に、

本当の両親ではない事を話して下さいました。その言葉を、私は受け止める事が出来ませんでした

苦しくて、悲しくて、泣いていました

その事を、

話さなければならない、お父様もお母様 も、

辛かったと思います

でも、話す前と同じように接してくれて

ここにいる皆さんの温かい気持ちと言葉 で

少しづつ私も、

受け入れる事が出来るようになりました

お父様、お母様、そして、

皆さんが私の大切な家族 です。

私を今日まで、

育てて下さりありがとうございました」


俺はその話を聞いて泣きそうになった。


そして、お父さんとお母さん、

特に、お父さんは号泣していた!


「涼ちゃん、結実の事、お願いします」


「涼君、結実の事、任せたよ」


俺は一言「はい」と答えた

そして、続けて俺は、あるお願いをした


「お父さん、お母さんお願いがあります」


「ん、何?」 「何だい?涼君」


「名前の事何ですが、

俺が最上から上高地になってはダメでしょうか

結実さんには、話しました」


お父さんとお母さんは顔を見合わせて頷いた


「私達は、2人が決めた事なら構わないよ

でも、何故?」


「はい、実は親父もそうでした、旧姓は酒井

だったそうです、名前は流(ながれ)と言います

最上で最上川を連想したそうです、川は流れる

俺はこっちの方がしっくりくる!

最上流、それで、最上になったそうです」


「なるほど、粋なお父さんだね!」


「俺も、上高地って避暑地とか、

涼しいイメージがあります。

俺の名前も、涼しいと書きます

上高地涼こっちの方がしっくりきます」


「分かった、でも、本当に良いのかい?」


「親父もお袋もきっとこう言います、

やっぱり俺の息子だ

考える事はお父さんと同じね

上高地にしなさいって、言ってくれると思います」


「ありがとう」

そう、お父さんとお母さんは言った。


10月7日(日曜日)結婚式当日


会場には、多くの友人そして、来賓の人達がいた

俺は緊張でトイレに行く途中だった

歩いていると声をかけられた


「最上君」宮坂先輩だった


「宮坂先輩」


「なんか凄い人数だね」


「そうですね、

お父さんの仕事の関係者の方達です」


「そうなんだ、

やっぱり一流ホテルの社長よね交友関係凄いね」


「ですね、もう緊張でトイレ行きたくて」


「ははは!わかる、

でもリラックスだよ楽しもう!」


「はい、ありがとうございます」


そして、盛大な結婚式は始まった


部長にお願いする筈のスピーチを

3日前に急遽宮坂先輩に頼み込んだそうだ

宮坂先輩は、理由は聞かなかったそうだが、

「あれは、怖気付いたのよ!」と、言っていた

俺は緊張が取れないままでいた。


そして、宮坂先輩のスピーチが始まった。


「最上君、結実さん

本日は、ご結婚おめでとうございます


ご両家ならびにご親族の皆様方にも、

心からお祝い申し上げます。


ただいまご紹介にあずかりました

新郎の上司の宮坂と申します。


最上君が多摩支社から本社に来たのは2年前です

第一印象は、

爽やかなイケメン!?だったような?


最上君は必ず8時50分に出社するので、

私の中では、

8時50分の男、と、呼んでいました


お客様からの信頼も厚く、

しっかり者で頼りになる 後輩です。


そんな最上君にも1つ、これ言っても良いのかな?

でも、聞きたいですよね、

実は、方向音痴なのです!

お客様とのイベントの企画で池袋に行きました

駅構内から、外に出る事が出来ず、20分が経ちやっと出口を見つけたと思えば西口の筈が東口、池袋駅構内は広いですから、

担当の方に電話する筈が、何故か、わたしに?

最上君曰く、池袋駅構内は迷路だそうです

見えない、どこでもドアがあって

同じ場所に何度も連れて行かれるとか!?


動揺していたのが分かったので、

私が担当の方に連絡をし事情を説明すると、

その担当の方も、最上君に負けないくらいの

方向音痴だという事がわかりました。


その後、無事合う事が出来

方向音痴がきっかけで、意気投合し、

企画の話もスムーズに進みました。


結実さんという素敵な女性と出逢い

色々な事もあったと思いますが、

迷う事なく、今日という日を迎えたのだと思います

お後がよろしいようなので、

私からの、はなむけの言葉とさせていただきます。

最上君、結実さん

本日はご結婚おめでとうございます。」


その後も、スピーチあり歌あり、お色直しなど

賑やかで楽しい結婚式となった。


その夜は、ホテル最上階にあるロイヤルスイートに泊まった


10月8日(月曜日)


翌日、15時に、玄さんが迎えにきた。

新婚旅行でアメリカに行くため

空港まで送ってくれる事になっていた。

本場のディズニーランドに行きたいという

結実さんのリクエストだ。


そして、月日は流れ、1年後

俺は、上高地ホテルでホテルマンになっていた。

そう、以前いた会社が解散したためだ。

お父さんの勧めもあり、挑戦しようと思った


8ヶ月後に、新たに出来るホテルの総支配人の

候補として、日々ホテルマンとしての、

マナー、接客などを猛勉強中だ。


そして、この人も?

「上高地・さん・・・なにか違う

やっぱり私は最上君の方が・・・」

お姉さんの紹介で、また同僚に。


それから2ヶ月後、俺と結実に家族が増えた。

男の子と女の子の双子だった。


男の子は 結太 (ゆいた)

女の子は 涼華 (すずか)と名付けた


8ヶ月後

2020年6月

俺は総選挙の結果

上高地Sourire Hotelの総支配人に就任した。

(スリール ホテル)フランス語で笑顔

そして、副支配人は?

「涼さん・・総支配人!」

夫婦で、笑顔溢れるホテルにします!


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100%ない恋物語 @tubutubuanko

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