第7話

「おい。」

「ありゃ、如何なさったの?」

「さっきのはいったいなんだ?」

「兵器。あの程度なら素手で壊せるさ。」

「全滅させに行ったんじゃなかったのか?」

「行ったさ。それはもう済んだ。次に移る。あんたにゃもう関係無いんだろうけどさ。」

「待て。手を組む。」

「え?組んで、くれんの?」

「あぁ。その代わり、俺達に協力しろ。」

「忍使いの血が流れてるんだ。ちゃんと忍を使って頂戴よ。」

「あぁ。よろしく頼む。で、次に何をしようって?」

「虎太の目的を知る。あんたが産まれた原因に繋がる話。」

「そうか。」

「勿論、あんたらが潰したいのは伝説の忍、虎太なんだから一致する。」

「いいのか?殺すんだぞ?」

「今生きてる忍は何奴も此奴も死にゃしない。」

「なら、どうする?」

「やめてもらうのさ。ま、何をしようって目的がどうなってるかによるけど。」

「やけに簡単に言うな。」

「そりゃ、言うだけ簡単だからね。実際は、骨が折れるけど。」

 ――カランカランカラン――

 ――らーらーらー――

「まだ来るか…。」

「へぇ、こりゃ面倒だ。」

「どうした?」

「――らーらーらー――。」

「驚いた。同じ声が出せるのか。」

「――らーりーるーれー――。」

「?」

 ――らーりーるーれー――

 ――リンリンリン――

 ――自爆――

「は?」

「自爆機能を使やぁ一発なわけよ。」

「覚えたのか。」

「声が似てなくてもあんたでも可能だよ。覚えときな。どの兵器も、弱点は『らりるれ』。」

「えらく、設定が雑だな。」

「『ああああ』よりかは良いと思うけど?『ろ』は機器を埋め込んだ人間様に効くよ。最悪死ぬけど。」

「試したのか?」

「当然。人間様には『ろ』だけでいい。喋れなくてもその一音さえ声が出れば、あんたの勝ちだ。」

「何故、そんな設定に…。」

「重要なモノを敢えて単純なモノにすると、案外わかんないもんさ。目の前に、答えがあったとしても単純過ぎて、それを答えだと思えない。そういうこと。」

「ほう。それも策と言うわけか。」

「忍ってのは、単純が基本だからね。難しく見せて、実はそうでもない。そういう風にやるのは難しいんだけどね。」

「覚えておこう。」

「あんたは、死ねない性格をしてる。」

「そうか?」

「嫌いじゃないよ。」

 影を巻いて姿を消した。

 兵器との戦いが楽になれる。

 これから、どうするかは長は別行動で何かしらやるんだろう。

 必要な時だけ呼び出せばいいのかもしれない。

 肝心の呼び出し方を聞きそびれたのは、長がわざとそうしたのかもしれないし、お互い忘れていたのかもしれない。

 長は何かと詳しそうだ。

 それに、長と手を組んだとなれば、その部下も使えそうだ。

「長なら伝説の忍の居場所もわかっていそうだが…仕方ない。」

『聞こえる?』

「あぁ。何かあったのか?」

『今すぐ、向かって欲しいところがあるの。新たな、核兵器の破壊よ。』

「了解だ。」

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