第16話 決別

「賢者タイムよのぶ、…さすがに3回続けてほぼ休みなしではがっつきすぎよ。

今まで、かなり時間があったんだからもっとわたしを呼べばよかったのに」


ええと、そうなんですが。

やっぱりその遠慮して…


「遠慮なんかいらなかったのに

…今さら焦っても遅いわよ。まったくもう!

時間ならまだあるし、1日くらいならわたし寝なくても大丈夫よ。どうせ明日には死ぬんだしわたし」


もう、そんな簡単に死ぬなんて言わないでくださいよ


「だって確定事項だもん。わざわざ捕まって長い期間裁判された挙句に、死刑になるくらいなら自分から死んだ方がマシでしょ。それに、もしかしたらその間にひどい事させられるかもしれないしわからないところで」


…それはないでしょう


「甘いわ。世の中そんなに甘くないわよ。

まぁ、わたしがもしそうなったら噛み切ってやるだけだけど」


…怖いこと言わないでください夏菜さん


「あらごめんなさい。

…小さく可愛いくなっちゃたわね。またあとからいい子いい子してあげるから許して」


リビングでの三回戦を終え2人とも素っ裸で椅子に座っているところだった。

わたしは隣に座っている信彦の小さくなったものを優しく手でさすってあげた。

反応はしたがさすがに3回続けてのあとだから元気がない。


ーもう少し待ってあげるか


「冷蔵庫から缶ビール取って」


また飲むんですか?


「暑くて喉乾いたの早くちょうだい。文句あるならあんたも飲めば」


僕は水でいいです


ー水でいいって子供なんだからまったく

ーほんとわたしと知り合ったときからあなたは何も変わらないねさっきから何度も時計を見て時間ばかり気にしてるし

ーそんなにわたしと別れるのがつらいのか

…大丈夫よ今日はいっぱい可愛がってあげるから


「のぶ、さっきから時間ばかり気にしてるけどまだ夜12時前よ。焦る気持ちはわかるけど…あなたのものだってもう少しは休憩しないと役に立たないでしょ。わたしがお口でパクッとしてもまだ無理よねぇ」


…???えっ

…あのー、夏菜さん。まだするつもりでいます?もしかして?


「えっ、当たり前でしょ。明日の昼までずっとしてても全然大丈夫よ。あなたもそのつもりでハイペースだったんじゃないの?いつもより激しかったし」


……いやそれはその、

あのー、あれでして


「なに?その歯切れがわるい反応は」


…えっと、…これから生放送が始まりまして


「なんの?」


アニメ界で女神とも言われた有名な声優さんの…です

それでそのあとに、神回とよばれたアニメの再放送があるんですが…


「…?…ふーん。

…それでわたしとの行為を急いでいたの?」


いえそんなことはないです


「わたしとやっている最中もその子のことばかり考えていて、わたしを当て馬にしたと」


断じてそんなことはありません


「まったくあんたは変わってないわね。子供なんだから!」


缶ビールを片手におもいっきり飲み干す

わたし。


「のぶ、起立」


はい


「そういうところは素直なんだけどね。

ねぇ、のぶ?

あなたってわたしのこと大好きなんだよね?」


もちろんです


「そうよねぇ。だったら…

今、わたしの目の前にある汚いものも使う必要ないわよね?

…わたしがいなくなったら」


……あの、夏菜さん


わたしの手がゆっくりと優しくあなたのものに触る


「わたしがいなくなった後に、これが使われることが仮にあったら…わたし嫉妬しちゃうかな。そうなるんだったらねぇ」


冗談ですよね。

……そうですよね


手馴れたわたしの指先があなたのものを捕えるとが震えながらもゆっくりと硬くなっていく。


「…むかし、日本でも本当にあったんだよね。わたしは結構好きだけどその事件。

これって嚙み切れるのかしらねぇ、のぶ」


…あー、ごめんなさい。すいません。だからそれだけは勘弁してくださいお願いします。おしっこができなくなります


「……ぷっ。

なに涙目になってるの冗談よ冗談。だいたい嚙み切れるわけないじゃない。もしするんなら包丁使うし」


夏菜さんが言うと本当に聞こえるからやめてください冗談でも


「そうね、それはわたしも否定しないかな。でもあなたには何もしないわよ約束するわ。

…明日の昼まで寝ずに頑張ってくれたらね」


寝ずにですか⁉︎


「そう。だからもし寝たりしてわたしを寂しがらせたら知らないわよ」


頑張らせていただきます


「よろしい。それにしてもさっきから本当に反省してるの。ここだけはどんどん大きくなって硬くなってるわよ…まったく」



ーほんとにわたしは明日死ねるんだろうか?

ーあなたと一緒に過ごしてるとそう思えてきてしまう

ーこのままあなたとどこかに逃げてしまいたい

ー誰もいない場所で2人で一緒にと、

…でも、それはやっぱりできない


ー大好きだったお義父さんとあなたは違う

ーあなたはお義父さんを追いこすことはできなかった

ーわたしにとってあなたは人形を演じるのが嫌になったときの単なる息抜きでしかない

…だから、だから明日まではわたしを人間でいさせて



わたしの唾液とあなたの白液が口から喉を流れていき

その味覚を楽しみながら、舌があなたのものをゆっくり溶かしていく

そして今度はあなたがわたしに同じことをする

溢れだした水をあなたは喜んで舐め飲み干す

あなたの舌がわたしに入ってくるたび溢れ湿り気を帯び枯渇することはなかった

次第にわたしから聞こえてくるのは甘い吐息となっていた


「…信彦、…本当はねわたしあなたの子供を産んでもよかったの」


わたしの胸にうずくまっていたあなたは顔を見上げた


「急にごめんね、…わたしがいなくなる前にこれだけはつたえておきたかったから」


あなたは黙って聞いていた


「いつからだろう、わたしがこんな気持ちになっていたのは…ごめん。今更こんなことを言うのは卑怯だね」


……


「でもね、そうするとわたしが考えた復讐ができなくなるからやめたの」


…夏菜さん!あの、、


「しらけちゃったね。…そう言う事だからのぶ、あなたは明日の昼までわたしを楽しませてね」


信彦は何かまだ言いたそうだったが、わたしはそのあとの言葉を遮るように口づけをした。

わたしから話をふったものの、それ以上は聞きたくなかった。わたしの決心が揺らぐから…


いつのまにかわたしの涙が頬を伝っていた…

それを見ている彼がわたしの涙を両手でそっと拭う。


ーなんだ、そんな気のきいたことができるじゃない…


暗い部屋の中、わたしのすすり泣きだけが響いていたが、やがてそれは数分後に二人の激しい息遣いだけが聞こえる空間へと変貌していた…。





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