第15話 平穏


ついさきほどまでシワもなくまっさらなシーツだったものが、今ではシワができ所々に大きなシミや小さなシミが浮き彫りになっていた…

わたしはあなたと交わると特に感じやすい。

もともと男に喜ばれるほど敏感なのだが、これほどまでわたしが濡れるのはあなたとお義父さんぐらいだろう…


あなたの上でわたしが甘い甘い声をあげるとあなたが凄く興奮しているのがわたしのお腹から伝わってくる…

伝わってくる振動によってわたしの甘かった声が荒々しくなり獣のように変化する

あなたもわたしの声につられ獣へと変わり、振動は次第に激しさを増していく

これの繰り返しがもう1時間ほど続いていた


結局あなたが倒れた日以来

わたしはあなたがお義父さんにしたことを徐々に許してしまっていたのかもしれない…


半年ぶりのあなたとの行為を終えたあと、わたしは妙な安らぎをあなたに感じてしまった。

時刻は夕方の4時過ぎ。ベットの上に裸のまま天井を見上げていたわたしの息遣いも

激しかった頃に比べだいぶ落ち着いていた。


「二回戦いくわよ」


…でも時間が、それに旦那さんもそろそろ家に帰ってきませんか?


「旦那は2.3日出張、ホテルは延長料金が高くなるから一度外に出て場所を変える。それにおなかすいたし。なんか文句ある」


…いえ別に




その後、わたしたちは適当に食事を済ませまた別のホテルへとチェックインした。


あの、ここのホテル値段は大丈夫なんですか?


「そんなにしないわよ」


それに僕のこと、フロントの人がかなり驚いて見てた感じがするんですが…

やっぱりこの服が似合ってないんじゃ…


「服装は大丈夫よわたしが選んだから。ただ馬子にも衣装って言葉知ってる?」


一応知ってますけど…


「それにわたしたちのこと美女と野獣だと思って見られてるわね。きっと…」


……


「…傷ついた?」


…いいえ別に、昔から慣れてるんで。それに夏菜さんにも初めて出会ったとき散々罵られたんで


「…あの時はごめんね、あれは少しいいすぎたかな。わたしも気が動転してたから」


謝らないでください。僕が夏菜さんの1番大事な人を奪ってしまったんだから当然です


「ありがと。…でも心配しなくて大丈夫よ。周りがどんな目で見てもわたしは気にしてないから」


…すいません


部屋に入るとわたしはすぐに窓の外を眺めた。

ーこの夜景だけはあの時となんにもかわってないんだなぁ


ここはお義父さんと外泊をした初めてのホテル

…当時のお義父さんかなりわたしの為に奮発したんだよね

おばあちゃん、弟、母が死んでから1年後、わたしの誕生日にお義父さんは千葉にあるテーマパークに連れて行ってくれた。その帰りに泊まったのがこのホテル。

すごく楽しかったけど

…あの日わたしお義父さんに怒っちゃたんだよね

…お金の使いすぎって

たかだか娘の為にこんな高いホテル、高校生のわたしにはもったいないって

ラブホテルでよかったのにって…

でも、本当はめちゃくちゃ嬉しかったんだよ。

ただ、あの時すでにあなたの娘でありながら妻としての自覚もわたしは持っていたから…今後の生活を思ってつい。

わたし、昔から金銭感覚はしっかりとしてたから。

そしたらお義父さん泣いちゃって

言い過ぎたと思ったからわたしそのあとお義父さんにいっぱいサービスしてあげたよね

からだで…ね。



ーそれからこのホテルは避けてたんだけどなぁ…お義父さんとの懐かしい思い出だけにしたかったから


八王子のラブホテルを後にしたわたしたちは神奈川にある横浜港が一望できるホテルに来ていた。


ーなんかお義父さんとあなた似てるんだよね。…外見は似てないけど。


ーだからかなここに来ようと思ったのかな


ーまぁ、このホテルがあなたにとってはかなりハードルの高かいのもわかってたけどね…


ーそれにあのままラブホテルに泊まったいた方が安かったんだけど…


「でも、一応聞いてみるもんね。まさかキャンセルで空き部屋があったなんてついてるわよ。わたしたち」


ー予約でもこの部屋なかなかとれないのに不思議


あの夏菜さん


「なぁに?」


旦那さんは大丈夫だとしても、向こうの御家族の方が不審に思いませんか?


「こう見えて私かなり信用されてるの。それにわたしのこと旦那一筋だと思い込んでるから実家は」


……


「なんか不服そう。そんなにわたしを抱くの嫌?」


いやそうじゃないですけど。本当に大丈夫なのかなと思って


「だったらいいじゃない。

それでも本当にわたしが信用されてるか心配?

…それなら、これからは半年に一度必ず泊りがけでわたしが旅行にあなたを連れて行くから」


ー決めたわ。お義父さんとの思い出の場所をもう一度この人と…巡ろう


えっ…なんで


「えっ、じゃないのこれは命令。決まりね」


…わかりました


「素直でよろしい。それじゃこれから2階にあるバーでお酒を飲みに行きましょう。

わたしねビターオレンジが久しぶりに飲みたいの

…二回戦のお楽しみはそれからでいいわよね」




…あの日からわたしはあなたをもしかしたら

下僕として扱っていなかったのかもしれない

約束どおり旅行には必ず行った。

温泉やハワイなんかも行った全部お義父さんと行った場所をあなたともう一度一緒に…

わたしがお腹が大きくても約束は守った。

旅行以外にもわたしがあなたを求めることが日に日に多くなっていた。

あなたがわたしを求める日はほとんどなかったけどね。


今、考えるとよくバレなかったと思うが…

…バレるはずないか。

旅行以外、わたしはあなたに抱かれに行っていただけで1時間も経ってないときもあった。

買い物帰りについでにって感じで…

あなたずっと家にいたしバイト以外…。



暗い部屋の中、

無造作に敷いた布団の上では、わたしとあなたの荒い息づかいだけが聞こえる。

冬場に28度で設定したエアコンも熱気で暑く感じ始め、2人の汗が混ざり合った体でわたしはあなたを再度自分の中へと受け入れた。



















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