第10話 かりそめ
…わたしが帰宅したら、あなたは首をつっていた。
小さな記事と二枚の書き置きを残して。
夏菜へ
その記事のに書かれているように、警察に7年前のことがばれたらしい。
でも心配しなくていいよ夏菜は
今までずっと僕に酷いことされ脅迫されていて怖くて誰にも言えなかったと証言すれば、夏菜は未成年だったし何も罪には問われないはずだ。
なんなら写真も見せれば警察も納得するだろう。
ごめんな夏菜
…夏菜に何も言わずに死ぬことを許してほしい
…夏菜の声を聞くと決断が鈍りそうだったから
…僕も臆病だから…本当は…死ぬのはこわい。夏菜と一緒にいたい
でも、夏菜はまだ若いこれからどれだけでも選ぶ選択肢がある。
そんな若い命を一緒には連れて行けない。
…最期に夏菜。今までずっと僕を慕ってくれてありがとう。
夏菜の母親が僕を裏切っても夏菜だけは僕を裏切ってなかった。
僕のことをずっと愛してくれてありがとう。
本当にありがとう。
愛してるよ夏菜
幸せになってください。
……さとるは知ってたんだわたしの母のこと
そこからのわたしは
…わたしではなくなった
自分がわからなくなった
しばらくして
時が止まったわたしとお義父さんの部屋に、
人が訪れた…
…あなただれ、出版社の人間?
ゴシップネタを書かされただけのバイト?
すいませんって土下座されて、泣かれてもね……。
……………
死んだあの人は帰ってこねぇんだよ。
分かるの!あなたに愛する人を殺された人の気持ちがさぁ!
どうなんだよ!
代わりに死にます?
はぁ、あんた何いってんだよバカか?
あんたが死んだってな
あの人は生き返るわけねぇだろ!
あんたがあの人の人生終わりにしたのよ?
………?
…いじめられて学校にも行ってなかった?だからお金が欲しくて?
そうだろなぁ、あんたみたいなやつ
ネクラでキモい
そんなやつはさ
はっきり言って社会のゴミなのよ!
なんだよあんた女に泣かされてるの?
キモ
…ねぇ、あんた
あんたに頼んだ上のやつがいるんだよねぇ
そいつのこと当然知ってんだよね?
わかった
あんたパソコン使えるのよね?
へーさすが引きこもり、そんなことまでできるんだ
……あんた歳いくつ?
18?わたしより4歳下?
老けて見えるわ
………あんた、わたしの体に興味ある?
抱いてみる?わたしを
ふーん。どうせ童貞なんでしょ?
そしたら抱きなさいわたしを…
なにびびってんのよ?
あんたにとってはあとにもさきにもない機会よ
わたしみたいな美人な女。テレビでもそんなにいないわ
わかってるって?
わかってるんだったら抱けよわたしを!
どうせあんたなんて、そのへんの女すら抱けないのよこのさき!
…そうやっぱり男。いい子ね
いいわ、わたしがいろいろ教えてあげる
その代わり!あなたはわたしの忠実な狼になるのよ
わたしがあなたに頼みごとするときにしか餌はあげないから
物分かりがいいじゃない。素直になったわね
じゃあこっちにおいで
あの人の横で…寝てなさい
こら、逃げるんじゃないわよ
まだ二日しかたってないから匂いはしないわ
あきらめなさい。それが嫌なら
ここで狼になるかわたしに殺されるかどっちがいい?
…当然の選択よね
あなたにはわたしが愛した人を奪った罪をこれからずっと背負ってもらうわ。殺さずに
後からいろいろ教えてあげるけど、
さきに最初の頼みごとをしておくから
なんですかって?
…それはね、あの人を運んで埋めるのを手伝ってほしいの。わかった?
それじゃ電気を消すから
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