1のコイ:コクハクとかされたヒトはウレシイのかな?とジブンにトう。
それから今日は大変だった。
人によっては暇さえあれば俺を見つめる奴だっているし授業中だって俺は少し目立っている。
おかしい。
俺は思う。
どう考えたって普通では無い。これは本当に異常である。
俺は…何かをしてしまった!
昨日は存在感0だった俺が既に誰よりも存在感を持ってしまっている!
しかもあの人気者の神谷誠一郎よりもである!!
頭を抱える。
何がいけなかったんだ?
俺は自分に問う。
思い当たる節は無い。
いや…考える時間が無いのかも知れない。
何故なら今日は隣の御船莉穂が俺に向かって男子よりも話しかけてくるから。
帰り、変な仮説が立った。
しかしそれは有り得ない。
俺は自分を説得する。
それでも…と俺はその仮説を立てる。
それを自分で崩す。
俺は気付けばそれを繰り返し行っていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「どうしたの? 一希」
いつもの「ただいま」を言い忘れた俺に疑問を持ったのか妹が訊いてきた。
流石にいつも帰った時言っていれば、今日言っていないのも気にはならないだろう。
「別に…?」
「ホント?」
妹…佐久川 文乃。俺には料理や料理や料理以外は勿体ないほど出来た妹である。まあ最近反抗期だが。ま…まあ良く出来た妹だが、今の俺には相談の対象にはならなかった。
俺はそれでも一瞬何か言おうとしたが、結局無視して自分の部屋に閉じこもった。
俺は元々コミュ障気味なのである。軽度なのだが沢山話しかけてみると流石にきついのだ。
だから今日はいつもより疲労を重ねていた。
俺はそしてスマホをいじりながら横たわった。
そして俺は色々思う。
今日は謎だったなとか、なぜ今日俺は沢山話しかけられたのかとか例の仮説とか。
しかし何も思いつかなかったしスマホを見ても何も変わらなかった。
もう寝るかと思った時、不意にSNSのアイコンが俺の目に飛び込んできた。
誰とも繋げていないSNS。
それは真っ新でスッキリした。
俺はそれを見ると落ち着けた。
俺はそして明日を待った。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
起き上がる。
眠い。
いつの間に俺は寝ていたのだろう。
俺はそんなことを思いながら時計を見る。
五時十五分。何故か俺は早起きをしていた。
それから俺は二度寝しようとした。
眠れない。
仕方がない、小説でも読むか。
そう思いながら取った本に俺は夢中になり、一時間を経過させた。
その後朝食を作り妹に「料理ぐらい出来るようになれ」と命令し、朝食を食べ終わり、俺はいつものように妹を残していつもより早く家を出た。
昨日何故気がつかなかったのだろうか?
何故俺は昇降口辺りで多くの視線を感じなかったのだろうか。
俺は背を向けながらそれを感じていた。
昨日も同じようなものを受けていたことを思い出しながら…。
そして俺は教室に入る。
予想通り、誰もいなかった。
俺は安心したが…ふと机の中を見た瞬間、驚愕した。
手紙が入っていたのだ。
その手紙を取り出すと中には、明らかな女子の字で「今日、八時十分。屋上で待ってます」と書かれていた。
俺はこの字を知っている。
木伏の字だ。木伏萌実の字。
俺は取り敢えず屋上に上がった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
上では木伏が待っていた。
手紙には八時十分と書いてあったが今は七時四十分。明らかに彼女が居ないはずの時間だった。
だが、居た。
彼女は屋上から街を眺めていた。
「木伏」
俺は呼びかけてみた。
木伏はその声に気付き、振り返った。
驚いたような表情をしていた。
無理もない、三十分早くに対象が到着したのだから。
「…佐久川君。早いね」
木伏は笑って俺を見つめてみせた。
俺は苦笑いで応える。
すると木伏はすぐにこう言った。
「付き合って」
…。
少し待って欲しい。
これはきっと…あれである。
俺は今完全なる勘違いをしているのだ。
恐らく彼女は、俺に話しに「付き合って」と言っているのだ。
決して恋愛対象として迎えたいということではない!
俺はそう必死に解釈し、背けた目をもう一度向けた。
するとこう木伏は言った。
「ずっと好きだったの。だからさ、その…恋人になって欲しいな、って」
…俺は呆気にとられた。
俺はこいつが嫌いだ。
賑やかだからだ。
人懐こいからだ。
俺とは真反対だからだ。
でも…コクハクされた一瞬から、
俺はこいつが…嫌いじゃなくなった。
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