異世界の始まり〜 新世界作りはまず環境から!



モコは相変わらず淡々と物を言う。


『世界の作る方法はあなたに任せます。

先にも言いましたが、私には何かを作り出す事は出来きてもそれ以上の事はできません。』


自分の事も好きではないのだろうか?


色々聞きたい事はあるのだが、俺に任せるというなら俺がなんとかするしか無いのだろう。


これ以上話を続けてもあまり意味は無さそうだ。


雲もこの話はあまりしたくなさそうだしな。


俺はこの話を辞めにして、雲とのコミュニケーションをとる事にした。


どうせ2人しかいない何もない世界なんだ、焦る事は無いだろう。


「わかった。世界作りは俺が考えるよ。

次に名前の事だが、お前は自分の事を 私 と呼ぶし声も高い 雲子 なんてどうだ?

変な名前とか言か言うなよ?雲で女っぽい名前というので決めたんだ。

俺は智紀らしいが…この世界では トモ と呼んでくれ。 」


俺は智紀らしいが、その時の記憶はまだそんなにないのでで少し智紀と名乗るのには抵抗がある。


全く新しい名前にするのも違和感があるので トモ にした。

正式に名乗る時は 智紀 にするつもりだ。


雲 いや… 雲子は名前ができた事が嬉しいのかなんだかさっきより少し大きくなって上下に激しく浮いている。


『名前‼︎ 私にも名前が出来たのですね。

名前というのはよくわからませんでしたがいいものですね。私の名前は モコ ……

よろしくお願いします。 トモ!』


…さりげなく雲子からモコに変えてやがる。


若干ムカつくが モコ でいいだろう。

俺も雲子よりはモコの方がいいと思うしな。


お互いの名前が決まったところで早速俺は新世界作りに取り掛かる。


「モコ、何か希望はあるのか?

何か決まり事とかはないのか?」


とりあえず、モコに希望は聞いておく。


あらかたは俺が決めるつもりだが、新世界を作るにおいてルールがあるかもしれないからだ。


『特にはありません。

決まり事と言うほどではありませんが、最終的には知的生命体による文明の構築をお願いします。

わかりやすく言いますと、トモさんがいた世界の人のように自分の意思を持った生命体が文明を作り出していれば大丈夫です。

構築方法や、文明の中身、発展度合いなどはお好きに。』


…。

なるほど、俺が考える世界であればいいわけか。


内容などが特に決まってないのであれば、そこは俺が自由に決めさせて貰うとしよう。


「わかった。

適当にこちらで考えさせて貰う。」


早速俺は新世界を作るにおいて必要な事を考える。

まずはー…環境だな。


忘れそうになっていたのだが、この世界は照りつけが厳しい太陽に、草木が育ちそうにない大地、生物が生きていくには厳しすぎる気温。


もう世界作る前に滅んでんじゃね?と言いたくなるような場所なのだ。


ひとまず自分の生活はこの家がある限りは保証されているので環境の事から考えていく事にした。


なんせ後戻りは出来ないのだ。


慎重に一つずつ考えていく必要がある。


「そういえば……。」


新世界作りの前に俺は気になる事がある。


この世界にいる俺には何か特殊な力はあるのだろうか?


こうして新しく神様に召喚されたわけだし何かスーパーパワー的なものがあるのではないだろうか。


異世界モノには必ずあるはずだ!


俺は期待に胸を膨らませる。



「なぁ、モコ。

一つ聞きたいんだが、俺には何か特別な力とかあるのか?

お前がわざわざ連れてきたんだ、何かあるんだろう?」



モコは冷麺が気になるのか、冷麺の上を回るように飛んでいる。


『いいえ。特にありませんよ。

確かにあなたは私が作り出した存在ではありますが、元のあなたと特に変わりません。

あるとしたら、お前の肉体は年を取らないことですかね…。

ただ…私はあなたの望むものを作り出すことが出来ます。

それより、この冷麺とやらを食べてもいいでしょうか?』


「…え?」


それだけか?


確かに年を取らないのもチートだが、他にはないのか?


『食べてはダメなのですね……』


雲がしょんぼりしている。


「いや…冷麺は食っていいぞ。

そうじゃなくて、え?ないの?」


少しパニック状態だ。


俺、神様によって作り出された存在なんだろ?


スーパーパワー的な何かあるんじゃないのか?


いや…確かに年を取らないのは凄い事ではあるのだが…。


ただ、こういう状況って俺凄い力とかあるもんだとか思わないか?


俺はショックで膝をつく。


背後に ガーン…… とか付きそうな勢いで落ち込んでいる。


『どうかされましたか?何かお困りごとでも?』


俺がショックを受けているのを見てモコは不思議そうに俺に聞いてくる。


俺がショックを受けている間にモコは冷麺を食べきったようだ。

よほど気に入ったのだろう。

スープまで飲み干している。


『確かにトモには特別な力はありません。

ですが、私がトモの望むものを作ります。

それに、この家もトモが望むものを作る家。

ただ……。

なんでも作る事が出来ますが、作り出した物に後から能力を変えたり、何かを付け加えたりする事は出来ません。』


……モコにはあるらしい。


神様なんだから当然といえば当然なんだろうが。


『ああ、そうです。』


モコは思い出したように俺に時計を渡してきた。


ただのよくある目覚まし時計だのような見た目をしている。


「ん?目覚まし時計か?」


モコは身体を横に激しく揺らす。


どうやらただの時計ではないようだ。


『これは私が母からもらった時を操る事が出来る時計。

時を進める事も戻す事も出来ます。

進める時の長さは特に制限はありません。

ですが、戻せるのは進めた時間の半分。

後一つ、大事な事があります。

知的生命体が誕生し、文明がある程度発達した後は時計は使えません。

わかりやすく言うと国というものが生まれた瞬間からはこの時計は使えなくなります。』


ただの時計のようだがかなり凄い時計だったようだ。


時を進める事が出来る時計に、なんでも作り出せる能力を持つ神様。


…なるほど。どちらも後戻りが出来ない能力だな。


何か作り出すにしても、時を進める事にしても慎重に進めなければならない。


その事を踏まえてまずは環境作りだな。


「何から始めようか…」


ひとくくりに環境といってもなかなか難しい。


ただあの太陽の光と気温の暑さは最優先に解決させないといけないな。


なんせ俺も相当苦しめられた……。


いや、殺されかけたが正しいな。


「とりあえずやってみるか。」


どの程度希望が通るかわからないしな。


俺は慎重に後から困ることがないよう、太陽の光を軽減するためモコに希望をだす。


「モコ。

この世界を包む太陽の光や熱を調節するオゾン層のようなものを作ってくれ。

俺が住んでいた世界と同じで構わない

だが後から調節は出来るようにしておいてくれ。

調節内容は効果や範囲など、 全て で頼む」


これでおそらく問題ないはずだ。


とりあえず効力はこの世界のみだし、なにか問題があれば調節は後からできる。

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