第二十三話・2

 いつもどおりに校門前に行くと、香奈姉ちゃんではなく花音が一人で立っていた。

 女子校の制服を着ているから、学校の授業が終わりこれから『帰り』なのだろう。

 香奈姉ちゃん同様、女の子らしい可愛さが際立っているためか、他の男子生徒たちの注目を浴びている。

 放っておいたら、ナンパされそうな勢いだ。

 だけど僕が気軽に声かけていいのかな。

 なんだか花音の立ち姿を見ていて尻込みしてしまう。

 しかし、向こうが僕の姿に気がついて近づいてくる。


「何で声をかけてくれないの? もしかして、待ってたのはお姉ちゃんの方?」

「それは……」


 頼むから、そんな悲しげな顔でそんなことを言わないでほしいな。

 絶対にわざとやってるだろ。

 僕は、困ったような表情を浮かべて花音から視線を逸らす。


「言葉に詰まるってことは、図星なんでしょ?」


 花音は、僕の顔に手を添えて、無理矢理、花音の顔の近くにグイッと引き寄せる。

 怒ってはいないみたいだ。

 花音の幼さの残る可愛い顔が近くにあり、僕は思わずドキリとなってしまう。


「何で──」

「隠したってダメなんだからね。私には、全てお見通しなんだから」

「そこまで言われると……。反論できない」

「やっぱりね。お姉ちゃんはとても美人だから、私の友達の話題はいつもお姉ちゃんの事になるんだよね……。嫌になっちゃう……」


 花音は、僕の目の前で不機嫌そうな表情になる。

 まぁ、あんな完璧だと思われるような姉がいるんじゃ、敵わないと思うけど。

 だけど花音にだって良いところはたくさんある。

 花音の友達は、そんなところをよく見てほしいんだけどな。

 ──それにしても。

 花音にも友達っているんだ。

 だったら、友達と帰ればいいのに……。なんで僕なんだろう。


「そっか。花音がここにいるってことは、香奈姉ちゃんは来ないってことでいいのかな?」

「それはどうだろうね。もしかしたら来るかもしれないし、来ないかもしれないね」

「………」


 そんな曖昧な返答をされたら。

 僕はどうしたらいいのかわからないよ。

 でも花音が待っていたのは、あきらかに僕だろうし。

 一緒に帰らないとダメな流れな気がする。


「どうする? お姉ちゃんを待つ?」

「花音はどうしたいの?」

「私は……。楓が思ったとおりでいいかなって」


 そこは控えめなんだ。

 せっかく僕のことを待っていたというのに。

 それなら、花音の気持ちにもしっかりと応えてあげないといけないか。

 どこまで応えてあげられるかわからないけれど……。


「それなら、一緒に帰ろうか」

「なんか『仕方ないな』っていう感じがして嫌なんですけど……」


 どっちなんだよ。

 そんな態度だと、僕はどうしたらいいのかわからなくなるじゃないか。

 それでも、花音は僕のことを待ってくれていたみたいだし。

 ここは誠意を持って応えてあげないとダメだろう。


「そっか。それなら仕方ないな。僕は、香奈姉ちゃんが来るまで待っていようかな」

「あ、いや、それは……。別に本当に嫌ってわけじゃなくて……」


 花音は、慌てた様子でそう言う。

 本音で『嫌』というわけじゃないのは、僕にもわかる。

 こういう時、何をすればいいのかわからないほど僕も鈍くはない。

 僕は、花音の手をギュッと掴み、言った。


「一緒に帰ろう。花音」

「うん」


 花音は、素直にそう言って頷く。

 初めからそうしたかったんだろうけど、どこかで素直になりきれない何かがあったんだろう。

 花音の場合、あまりにも押しが強すぎると逆効果になりかねないから、注意が必要なのだ。

 警戒されても困るし……。

 香奈姉ちゃんには、なんて言い訳をしようかな。

 僕は、そんな事を思いながら花音の手をギュッと繋いで歩いていった。


 香奈姉ちゃんは、何か言いたそうな表情で僕のことを見つめていた。

 何が言いたいのかは、大体の見当はついている。

 しかし、僕の方からは敢えて何も言わないでおく。


「あのね、弟くん。花音の事なんだけど……」

「ん? どうしたの? 何かあった?」


 僕は、やはりそうきたかと思いつつも訊き返してみる。

 別に惚けているつもりはない。

 なんとなく、そうしないとダメな感じだったからだ。

 香奈姉ちゃんの性格を考えると、花音の事も無視はできないだろうから。


「ううん。別に何もないよ。でもその……。なんというか。ごめんね。無理に弟くんのところに押しかけているみたいで──」

「香奈姉ちゃんが気にすることじゃないよ。僕が良くてやってる事だから」

「それならいいんだけど……。私も生徒会の色々な事を手伝わなきゃいけないから、花音の事まで面倒見れないんだよね」

「やっぱり生徒会の仕事、手伝ってるんだ」

「あくまでも『手伝い』だけだよ。3年生だし、そこまではやってないよ」


 香奈姉ちゃんは、そう言って僕にすり寄ってくる。

 いつもの笑顔を見せてはいるが、どこか不機嫌そうだ。

 きっと花音と一緒に帰ったという事実が許せなかったんだろう。

 そうした態度をとって僕にすり寄ってくるのは、『彼女』として甘えたいという気持ちがあるからだ。

 しかし。

 香奈姉ちゃんの大きめな胸が僕に当たってしまい、下半身の大事な箇所が反応してしまう。


「そ、そうなんだ。頼りにされてるんだね」

「そうなのよ。ホント、嫌になっちゃう。私としては、弟くんともっと一緒にいたいのに……」


 いくら部屋の中だからって、押し倒して迫ってくるのはどうだろう。

 しかも制服のままで、だ。

 香奈姉ちゃんは、さらに僕の体の上に乗っかり、完全に騎乗位の状態になる。

 こうした愚痴なら聞いていて嬉しいものだけど、体でスキンシップをとってきながらのものはさすがに──

 制服の短いスカートを履いているせいからか、水色の下着がチラリと見えているし……。

 そんな誘惑には乗らないぞ。

 いくら2人きりだからって、そんないきなりは……。


「弟くんは、どうなの?」

「え?」

「私と一緒にいたいって思わない?」


 香奈姉ちゃんは、そのままの体勢でそう訊いてくる。

 本音を言えば、一緒にいたい気持ちはあるけど。

 それは、イチャイチャしたいっていうことではない、とは思う。

 香奈姉ちゃんは違うのかな?

 僕は、視線を香奈姉ちゃんの下着から逸らしてから言う。


「できるなら一緒にいたいけど……。だけど香奈姉ちゃんには、色々とやる事があるんじゃないかな」

「そう、だね。やる事は、あるね」

「それなら。やらないと、だね」

「そうだね。その前に──」

「ん?」


 香奈姉ちゃんは、何を思ったのか座り方を変えた。

 今まで僕の腹部の辺りに座っていたのだが、少し後ろに下がり、ちょうど下半身の大事な箇所に秘部が当たるような座り方をしてきたのだ。

 まるでセックスをしたいって訴えかけてくるかのように。

 言うまでもなく、僕の大事な箇所は過敏に反応した。

 いくら制服のスラックス越しでも、それはわかってしまうだろう。


「んっ」


 途端、香奈姉ちゃんの頬が紅潮する。

 きっと、僕の大事な箇所が香奈姉ちゃんの秘部にあたる部分に当たったんだ。

 僕にはわからないが、香奈姉ちゃんの場合は感触でわかってしまうんだろうな。

 この場合、僕にはどうにもできない。

 香奈姉ちゃんは、ゆっくりと制服のブラウスを脱ぎ始め、僕に大きめな胸を見せる。

 ブラジャーに包まれているとはいえ、これはあまりにも豊満だ。

 見ていて、つい触りたくなるくらい。


「香奈姉ちゃん」

「弟くんは、気にしなくていいんだよ」


 そう言われてもな。

 半裸に近い状態の香奈姉ちゃんを見て、気にしなくていいだなんて。

 これはあきらかに僕のことを誘っているだろう。

 それを肯定するかのように、香奈姉ちゃんはスカートの中の下着に指を掛ける。

 そのまま脱ぐつもりだ。

 僕の目の前で下着を脱ぐのは、これで何回目だろうか。

 香奈姉ちゃんの大事な秘部は、何回見ても飽きない。

 逆に愛でたくなってしまう。

 年上の女の子なのに、こんな気持ちにさせてしまうのは、きっと彼女に魅力があるからだ。


 彼女の秘部は少し濡れていて、指先で優しくなぞるとびくんと反応した。

 指先が濡れてしまったが、嫌ではない。

 むしろ香奈姉ちゃんの性器から出た液体なら、興奮してしまう。

 あとはいつもどおりに秘部の中に挿入していけば、香奈姉ちゃんの喘ぎ声が聞ける。

 そう思い、僕は香奈姉ちゃんの秘部の挿入部に指先を添えた。

 香奈姉ちゃんは、抵抗しようとはしない。

 むしろ僕のことを待っているみたいだ。

 やっぱり、僕の大事な箇所の方がいいのかな?

 香奈姉ちゃんは、頬を紅潮させながらも真っ直ぐに僕のことを見つめている。


「どうしたの? やらないの?」

「やる気はあるんだけど……。香奈姉ちゃんのあそこを見ていたら……」

「やっぱり、処女じゃなくなったから魅力がなくなっちゃったのかな」

「そういうわけじゃないんだけど……」


 僕は、香奈姉ちゃんの濡れた秘部をクリクリとなぞりながら言葉を返す。

 やっぱり香奈姉ちゃんの秘部を弄ぶのは、違う気がする。

 こういう時は、しっかりと抱きしめてあげるのが正解なのかな。

 僕には、わからない。

 でも香奈姉ちゃんとのこうしたひと時は、後何回くらいあるんだろうか。

 そう思うと、セックスをしてあげた方がいいのかな。

 いや、ダメだ。

 こんな一方通行な流れのセックスなんて、香奈姉ちゃんも嫌に決まってる。

 こういうのって、お互いの気持ちが一番大事だ。

 今回は、これで我慢しておこう。


「やっぱり、セックスはしてくれないんだね……」


 香奈姉ちゃんは、寂しそうにそう言った。

 香奈姉ちゃんの口からそんな事を言うなんて思いもしなかった僕は、呆然となってしまうわけで……。


「え……」

「私としては、どっちでもいいんだけどさ。でも、やっぱり──」

「香奈姉ちゃん」


 僕は、香奈姉ちゃんの秘部に迷わず指を挿入した。

 彼女の秘部は、なんの抵抗もなくつっぷりと中へと入っていく。


「あんっ」


 挿入されるとは思わなかったのか、香奈姉ちゃんの秘部の中は過敏に反応し、僕の指をギュッと締めつけてくる。

 あまりにも『いきなり』な事だったんだろう。

 これが僕の大事なあそこだったらと考えると、ちょっと怖くなってしまう。

 僕の大事なものを貪りそうなほどの香奈姉ちゃんの膣内の蠢きに、僕の指は条件反射で動いていく。

 そんな時も僕の大事なあそこが反応してしまったのは、もはや語るまでもない。

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