第十三話・8

 やっぱり香奈姉ちゃんの部屋は落ち着かない。

 女の子の部屋だから、余計に気が張ってしまうのもあるのかもしれないが、原因はそれじゃない。

 香奈姉ちゃんの妹が自分の部屋にいるかと思うと、僕の気持ちがちっとも安らげないのである。


「どうしたの? 今日は、一緒に寝てくれないの?」


 自分のベッドに横になっている香奈姉ちゃんは、両手を僕の方に向けて、誘ってくる。

 誘ってくるのは、構わないんだけど……。時間的に、まだ寝る時間じゃない。

 香奈姉ちゃんも、そのことはわかっているのか、まだ私服姿だ。


「あの……。香奈姉ちゃん。気持ちはわかるんだけど、まだ時間的にはやいような……」

「そうかな。ちょうどいいと思うんだけどな。楓は、こういうのって嫌なの?」

「嫌ではないけど……」

「嫌じゃないのなら、はやく来て」


 香奈姉ちゃんは、甘えた子供のようにそう言って手を伸ばし、僕の手を掴もうとする。

 香奈姉ちゃんからの誘いは、さすがに断れない。

 僕は、香奈姉ちゃんの手を掴む。


「香奈姉ちゃん」

「楓」


 香奈姉ちゃんは僕の手を引っ張って、そのまま僕の身体を抱き寄せた。

 もう離さないと言わんばかりに、僕の身体をギュウッと抱きしめてくる。


「…もう。楓は、なかなか私にアプローチをしてくれないんだから……。こういうことがしたいって思っていても、楓が乗り気じゃないから、全然できないじゃない! いつも私の方からアプローチしなきゃいけないんだよ」

「いや……。こういうのって、雰囲気や気分によっては、嫌なこともあるから……」

「楓は、私が嫌がるとでも思ってるの?」

「それは、ほら……。たとえば、僕とセックスとかするってなったら、気分的には嫌でしょ?」

「嫌じゃないもん……」


 その言葉はボソリと呟くように言った。

 これは、敢えて聞こえてなかった風を装った方がいいのかな。

 どう反応していいのかわからなかった僕は、思わず声をもらす。


「え……」

「楓からのセックスの誘いは、絶対に乗るよ」

「あ、いや……。その……。たとえばの話だよ。たとえばの──」

「たとえば…なんだね。楓は、私とセックスするつもりはないんだね」


 香奈姉ちゃんは、今にも泣きそうな表情を浮かべて僕を見てくる。

 いや……。今は、恋人同士とは言っても恋愛初期の段階ですから。

 そんなことをするのは、まだ早いかと……。


「いつかは香奈姉ちゃんとセックスするつもりだよ。僕がしっかりした男になった時には、ちゃんとアプローチをするから」

「ずいぶんと重たいんだね。そんなこと考えなくてもいいのに……」

「男はみんな、女の子とセックスする時は将来のこととかを考えるものなんだよ。きっと……」

「今も、そう考えてるの?」

「今は、その……。全然考えてないっていうか……。むしろ香奈姉ちゃんは、何をするつもりなのかなって……」

「そんなの、訊かなくてもわかると思うけどな」


 香奈姉ちゃんは、僕の頭を胸元の方に抱き寄せ、甘ったるいような声で僕の耳元で言った。

 囁くようにそう言ったので、なんだかこそばゆいような感覚におそわれる。

 だからといって、流れに任せてセックスをしたいっていう気持ちには……。

 やっぱり香奈姉ちゃん次第かと思う。


「あの……。香奈姉ちゃん……」

「こういうことって、何事も勢いっていうのが大事だと思うんだよね。…楓は、どう思う?」

「そんなこと言われても……。ゴム無しでそんなことしたら、大変なことに……」

「楓が嫌がっても、私は楓を離したくないの。それだけは、どうにもならないし。…楓なら、わかってくれるよね?」


 香奈姉ちゃんは、そう言って僕の頭を優しく撫でる。


「いや、その……。僕は……」


 こんな時、どう応えたらいいのか僕にはわからない。

 わからないけど、これは香奈姉ちゃんからの誘いなのはよくわかる。

 この誘いに乗ったらダメだ。

 ダメなはずなのに……。

 僕は、香奈姉ちゃんの柔らかな胸の感触にすっかり魅入られてしまい、香奈姉ちゃんのことを優しく抱きしめていた。

 胸の感触が残るくらいに優しくだ。


「もう……。身体だけは素直なんだね」


 香奈姉ちゃんは、頬を染めてそう言うとギュッと僕を抱きしめてくる。

 もう香奈姉ちゃんのことでいっぱいだった。

 香奈姉ちゃんほどの美少女が、こんな色仕掛けで攻めてきたら、僕にはどうにもできないよ。


「香奈姉ちゃん」

「ちょっとだけ、ジッとしててね」


 香奈姉ちゃんは、そう言って下半身をもぞもぞと動かし始める。

 それでもダメだったのか僕を抱きしめるのをやめて、抱きしめていた両手を離した。

 何をするつもりなんだろう。

 僕は、チラリとそちらを見やる。

 視線の先には、香奈姉ちゃんのパンツが映っていた。

 香奈姉ちゃんがベッドに横になりながら、僕の目の前でパンツを脱いでいたのだ。


「香奈姉ちゃん⁉︎ 何を……」

「静かに……。お母さんに聞こえちゃう。あと少しで、楓とセックスできるんだから」


 香奈姉ちゃんは、パンツを脱ぐとすぐに騎乗位になりミニスカートの裾を指で掴み、ひらひらと動かす。


「ほらほら~。私の大事な処女だぞ~。見たくないのかな?」

「香奈姉ちゃん! お願いだから、パンツを履いてよ」


 僕は、香奈姉ちゃんが横に置いたパンツを手に取り、香奈姉ちゃんに渡そうとする。

 香奈姉ちゃんはパンツを受け取らず、悪戯っぽい笑みを浮かべてスカートの裾をひらひらさせて、スカートの中を僕に見せびらかしていた。

 もう少し上げたらスカートの中が丸見えになる感じだ。

 香奈姉ちゃんのあそこを拝む絶好のチャンスだが、今のタイミングで見たいとは思えないんだよなぁ。

 僕のそうした態度が面白くなかったのか、香奈姉ちゃんはスカートをひらひらさせるのをやめて、いきなり僕のズボンを掴んできた。


「なんか面白くないなぁ。楓も、脱ぎなよ」

「ちょっ……⁉︎ 香奈姉ちゃん! 何を……」

「セックスするには、楓のあそこも出さないとできないでしょ。今日は、私の部屋でしてもらうんだから」


 ひょっとして、今日は香奈姉ちゃんの部屋でセックスするつもりなのか。

 嫌だ。

 ゴム無しでセックスしたら、香奈姉ちゃんを妊娠させちゃう。

 避妊具くらい、用意してよ。

 抵抗虚しく、僕のズボンは、香奈姉ちゃんの手によって脱がされてしまう。

 僕のあそこは、香奈姉ちゃんの大事なあそこのことを想像してしまって、立派な姿を見せていた。

 香奈姉ちゃんは頬を染めて、僕の立派なあそこに触れてくる。


「安心して。セックスしたら、きっと気持ちよくなるから」

「香奈姉ちゃん……」


 香奈姉ちゃんの大事な箇所がだんだんと近づいてきた。

 スカートを履いてる状態のままだったから、よく見えないけれど。

 もしかしなくても、そうだろう。

 僕の立派なあそこで、そのまま香奈姉ちゃんの中に挿し入れるつもりだ。

 せめてセックスする時くらい、スカートは脱いでほしいな。


「ちょっと待って……。せめて避妊具を……」

「避妊薬なら飲んだから、安心していいよ」


 香奈姉ちゃんは、トドメとばかりにそう言って、僕の立派なあそこの上にストンと腰を下ろした。

 僕の立派なあそこは、香奈姉ちゃんの大事な箇所の中にスルリと挿入っていく。


「あ……」


 思わず声を出してしまう僕。


「あんっ!」


 途端、香奈姉ちゃんの声が部屋の中に響いた。

 この声が隣の部屋に聞こえてないか、不安なんだけど……。

 僕の立派なあそこは、香奈姉ちゃんの中を突いて最深部にまで届いた。

 その間、香奈姉ちゃんの大事な箇所は僕のあそこを貪るかのように引き締まっていく。

 一回目の時もそうだったが、女の子の箇所は男のあそこを貪るような習性があるみたいだ。

 香奈姉ちゃんも、その辺りは無自覚なんだろう。

 香奈姉ちゃんは、それだけじゃ足りないのか、何回も腰を動かして出し入れを繰り返していた。

 その度に、香奈姉ちゃんの声がもれ聞こえてくる。


「はぁっ……。はっ……。はぁん……⁉︎」


 香奈姉ちゃんとは、これで二回目のセックスになるけど、今回はゴム無しだ。

 だから、どんなに発情しようとも、中出しだけは避けないと……。

 僕は、倒れ込んできた香奈姉ちゃんを抱きしめて、香奈姉ちゃんの中に挿入っていたあそこを抜こうとした。

 ──しかし。


「嫌……。抜いちゃダメ……」

「香奈姉ちゃん」


 なんで、僕とのセックスにこだわるんだろう。

 セックスじゃなくても、恋人同士としての付き合い方はできると思うんだけど……。


「楓も、男の子なら最後までやって」

「でも……。これ以上は……」

「ようやく楓とゴム無しで繋がったんだから、中には出してもらわないと。そうしないと、楓が気持ちよくならないよ」


 いくら避妊薬を飲んだからって、確実に妊娠しないってわけじゃない。

 だからゴム無しのセックスっていうのは、危険なんだよなぁ……。


「中に出したら、香奈姉ちゃんが妊娠しちゃう」

「妊娠したら、それまでだね。楓には、きちんと責任をとってもらうから」

「そういうことなら、すぐにやめよう。まだ中に出してないし」


 そう言って、僕は香奈姉ちゃんの中に挿入っているあそこをゆっくりと引き抜いていく。

 幸いにして、まだ中には出していないし。

 しかし香奈姉ちゃんは、逃さないと言わんばかりに僕を抱きしめてくる。


「ダメって言ってるでしょ。楓には、無理矢理にでも中に出してもらうから。だから、もう少しだけ楽しませてよ」


 こういうのって、本当は女の子の方がキツいんじゃなかったっけ。

 どっちにしても、香奈姉ちゃんは僕の中出しを期待している。

 くれぐれも発情しないように気をつけよう。

 香奈姉ちゃんは、リズムよく腰を動かして、僕の立派なあそこを刺激してくる。


「うっ……」


 僕は、こみ上げてくる快楽の気持ちを半ばで抑えた。

 香奈姉ちゃんは、我慢している僕の表情を見て、恍惚の表情を浮かべながらも残念そうに言う。


「ん~。やっぱダメかぁ。楓は、嫌がるとすごく頑固になっちゃうからなぁ。せっかく私とセックスしてるんだから、もっと嬉しそうにしてほしいんだけどな」

「そんなことはないよ……。香奈姉ちゃんとのセックスは、嬉しいよ。嬉しいけど……」

「嬉しいけど、何かな? そういうことはハッキリ言ってほしいな。楓の誠意が伝わってこないんだけど」

「それは、その……。いきなり僕とセックスをしてこようとするから、頭の整理が追いつかなくて……」

「そんなの。…楓が、良いと思ったタイミングでしていいんだよ」

「そう言われても……」


 僕の言葉に、香奈姉ちゃんは冷めたのかゆっくりと僕から離れる。


「仕方ないなぁ、楓は……。それなら、この続きは次の機会にしましょう」

「う、うん」


 やっとやめる気になってくれたか。

 ──よかったぁ。

 香奈姉ちゃんって意外と強引なところがあるから、無理矢理するんじゃないかとハラハラしてたとこだ。

 ホッとしたのも束の間、香奈姉ちゃんは僕の手を掴み、そのまま身体を近づけてくる。


「残念でした。私に『諦める』という言葉は存在しないんだ。だから、最後までやらせてもらうね」


 そう言って、さっきよりも密着した状態になり、僕の立派なあそこが香奈姉ちゃんの大事な箇所に挿入っていく。

 香奈姉ちゃんの動きは、さっきよりも激しくなっていき、それに伴い、香奈姉ちゃんの喘ぎ声が部屋中に響き渡る。

 僕も、香奈姉ちゃんのその勢いにすっかり負けてしまい、その身を預けた。

 きっと香奈姉ちゃんとセックスする時は、これからも香奈姉ちゃんがリードする形でするんだろうな。

 僕は、それでも構わないが。

 心配だったのは、香奈姉ちゃんの母がいるので、この異変に気づいて来るのでは……。ということだが、その気配はない。

 どうやら、僕の杞憂だったようだ。

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