色鳥

ヘルニア

第1話

緑あふれる森の中に


色彩豊かな鳥が1羽、それから人間の少女が1人


鳥は人の言葉を少女に教え


少女は生き抜く力を鳥に与える



しばらくして


鳥と少女は木々がなぎ倒される音を聞く


住処を守るために


少女は鳥から教わった言葉を


鳥は少女から学んだ戦う術を


自らの武器にして立ち向かっていくが


意味を成すことはない


緑を刈り取っていく者たちは


やがて辺りを真っさらにして


一部は満足そうに


ほとんどは面倒臭そうにあくびをしながら


あっという間にいなくなった



少女は鳥に言い放つ


は役に立たない


鳥は叫ぶ


は役に立たない


1人と1羽は別れ


それぞれ孤独な旅に出る




人はそびえ立つビルとビルの間を行き交う


その上で1羽の鳥が飛んでいる


それははるか遠くの雲に溶け込むように真っ白で


誰の目にも留まることはない



あくる日の青空の下、真っ青になった鳥は


とあるビルの屋上で羽を休める


ふと目に映るのはため息を吐く1人の女性


「おい、女」と鳥


「喋った!?」と驚く女性


「なんだ?そんなに慌てやがって」


「鳥は普通喋らないよ」


「まあいい。落ち込んでるようだから話だけでも聞いてやる」


「いいよいいよ、幻とお話なんて」


「そうか」と溜め息を吐く鳥


「あ、今度はそっちが落ち込んじゃったね」と申し訳なさそうに顔をそらす女性


「気にするな、オレはお前の幻なんだろ?」とふてくされる鳥





「また会えるかな?」と女性は顔を上げて一声


だがそこに鳥の姿はなかった



そして次の日、同じビルの屋上に鳥の亡骸が1つ


女性はそれを見つけ


礼を言えなかったことを後悔しながら


虹色のソレを抱えて


高い高いビルの屋上から身を投げ出した。

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色鳥 ヘルニア @hernia

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