第5話 スイングの基本とは何か。

 開眼してはいかんのなら、素人はどうしたら良いのか、というブーイングが聞こえるので次に素人は何をどうやって練習すべきなのかを書いてみよう。


 きわめてぶっちゃけた話をすれば「正しいコーチについて一年も練習すれば100は切りますよ」という事になる。ただしコーチの言う事を良く聞いて真剣に練習すれば。


 しかしながらお金の問題や近くに良いコーチがいない、そこまでしたくないという我儘な人には仕方が無い。たった一つの方法を教えよう。


 一冊ゴルフスイングの本を買ってきて熟読し、その本の通りのスイングが出来るまでその本だけを信じて練習しなさい。


 これ言うとかなりのゴルファーが微妙な顔をする。そういう人は本を読んで練習して上手く行かなかった経験があるのであろう。しかしながら私が書いたことを良く読んで欲しい。その本「だけ」を信じて練習しているだろうか?おそらくは違う筈だ。その本も読んだけど、雑誌を読み、DVDを見、TV番組も見、先輩や上級者の言う事も聞いて「しまって」いるに違いない。


 それが不正解なのである。


 非常に基本的な話をすると、ゴルフスイングについて刊行された本は、まぁ、ほとんどが正しい。よほどいい加減なライターが書いたものでなければ。しかしながらここで注意しなければならないのは、すべての本が「共通の基本」について書かれてはいないということである。


 ゴルフスイングには幾通りもの基本がある。この恐ろしい事実をほとんどのゴルファーは知らない。私が知る限りにおいてだけでもゴルフスイングの「基本」は7種類が存在し、時代によって消えてしまった理論に至ってはもっともっとあるのだ。おそらく今も増え続けているであろう。


 そのため、その本に書いてあるスイングの基本は違う本の基本とは当てはまらないのだ。そのため、何冊もの本を並行して読み、いろんなスイングをごちゃ混ぜに取り込んでしまうと当然上手く行かないのである。まして週刊誌などで毎週取り上げられる「スイングの秘訣」に至っては、あれば極端な劇薬ともいうべきであり、良く考えて取り込まなければスイングがメタクソになる。


 相当な暇人以外はいろんなスイングを試して回り道をするのは時間が惜しいと考える筈だ。ならば一番の正解は最初から最後まで筋の通ったスイングの基本を身に付ける事だと容易に理解出来る筈である。それに一番役に立つのは基本の書いてある本。あるいは動画でも良い。他のスイングの基本が混ざらないようにそのスイングだけを練習し、身に付ける事。それが上達の一番の近道である。


 簡単に書いたがこれはけして生易しい事では無い。誰だって最初からは上手くは打てない。他の本や安易なアドバイスに身を任せたくなるものだからだ。しかしはっきり言うがそういう横からの知識はあなたのスイングを良くしてはくれない。余計なモノを付着させ贅肉を太らせるだけだ。あとでそぎ落とすのが大変になるだろう。シンプルに、基本だけを身に付けさせる。それが出来るのが良いコーチであり、良い本である。実は巷には良いコーチや本はかなりたくさんある。問題なのは我慢の無いゴルファーの方なのだ。


 まぁ、試行錯誤もゴルフの楽しみだという人には「ご勝手に」というしかないのであるが。

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