第213話 強酸

海原「チッ」



海原が回避姿勢を取ったと同時



パァン パァン パン



三ツ葉が拳銃P229で3発発射させた。



内1発を口盤内に的中



液体が吐き出される前に被弾した口盤が急速に萎み、収縮させた。



元月島は嫌がる反応を見せ、数歩後退りする



その隙に七海等の元へ駆け寄った2人



海原「大丈夫か?ダメージは?」



中野「うぐぅぅ」



七海「ちょっと しっかりしてよ」



上半身裸な中野の腕に火傷に似た傷痕を目にした2人



海原「動けるのか?」



中野「駄目っす 力が入らない…」



七海「んも~ こんな時に何言ってんのよ か細い私にいつまで運ばせる気」



中野「き… キビぃ~すね でも力が入らないんで」



海原「お姉さん 怪我人を頼む」



七海「はぁ? ちょっと無理だって」



海原「じゃあ 代わりに相手するか?」



親指を向けた先にはグロテスクな姿態の化け物



それを目にした七海は顔をひきつらせた。



七海「わ…分かったよ」



数十本もの細かい触手、刺胞、ヒダを揺らし、クリーチャーが再び近づいてきた。



海原と三ツ葉は銃器を構えた。



三ツ葉「さて どうしますか?あのような強力な酸を吐き出すとなれば障害物の無いここは私達にとって不利」



まっさらで何もない空間を見渡した2人



海原「町民等の死体も麻島隊長達の死体も消えている って事はここはホントに別次元か」



三ツ葉「そのようで あの術者の仕業ですね」



海原「あいつの後ろに見える扉 あの先は行けると思うか?」



三ツ葉「恐らく無理でしょう 月島はこれを結界だと言ってました そこの先も無理でしたので当然あちらも側も無理かと思います」



海原「だよな 本気でこのフィールド内に閉じ込められた訳か…」



三ツ葉「えぇ 私達は常識とは異なるか鳥籠に入れられたセキセイインコ… あれは腹を空かしたマムシって所でしょうか」



海原「マムシか… それは相当ヤバいな」



三ツ葉「掩蔽する場所も無ければ逃げる事も出来ない この限られた空間で奴を相手にしなければなりません…」



海原「しかも 触手に強酸… 今まで触手タイプとの戦闘経験は?」



三ツ葉「ありません ですが資料には一応目を通してあります 対マニュアルは頭に入ってるつもりです 触手相手に銃器や飛び道具以外での接近戦は基本的に禁止…」



すると会話の途中



元月島が片腕を伸ばし口盤からいきなり触手を放ってきた。



海原「やろ」  三ツ葉「つ…」



小刻みに蛇行し床を這う触手の接近



2人はその場から慌てて逃げ出した



だが次の瞬間



三ツ葉の足首に触手が巻きついてきた。



三ツ葉「うっ」



三ツ葉は横転、途端に床をズリながら引き寄せられる



三ツ葉「クッ」



それを目にした海原はただちに銃口を向け、狙い定めた。



ヘタすれば三ツ葉に当たってしまう…



迅速かつ正確に触手にポイントを合わせる海原、そしてトリガーが引かれた。



パス



プシュ 発射された弾は見事着弾、白い液体を漏らした。



だが切断はされず、三ツ葉の身体がもってかれる



クソ…



海原はも一度狙い澄ました。



その間 引きずり込まれながら仰向けの体勢を取った三ツ葉も拳銃を構え、発砲に転じた。



パァンパァン パンパンパァン



連続5発の弾丸を発射、1つは胸部に、1つは狙い通り口盤へとヒットさせた。



弾を受けた口盤がまたも萎み、収縮、元月島本体もぐらつき、ひるんだ



そして引き込みが一瞬止まると



パス パス



銃撃によって触手が断ち切られた。



三ツ葉はすぐに上体を起きあがらせ同時に素早くマガジン交換、発砲を行った。



パァン パンパァンパンパンパン



また海原も銃口を元月島へと合わせ連射させた。



パスパスパァスパスパスパスパス



元月島が恰好の的となる



パスパスパス  パァンパンパンパン



銃弾が食い込むたび、刺胞が萎み、かわりに白い血液を流出させた



両腕でガードの仕草をするクリーチャーは足掻き、嫌がる反応…



2人はこれを見て銃撃は効果大だと認識した。



そしてこのままイケると…



三ツ葉は座位な状態で片手撃ちの応戦をおこない、バック移動をはじめた。



尚 撃ち方は続けられる



パァンパンパンパン



パスパスパァスパスパスパスパス



2人の猛攻撃によってたじろぐクリーチャーを目にした七海が応援



七海「いけるよ 2人共頑張って」



勝機の兆しが伺え、2人にエールを送った。



マガジン排出ボタンが押され、落下と共に装填



全弾撃ち尽くすつもりでトリガー押しっぱなしなフルオートをかます海原



また三ツ葉も素早く弾倉を取り替え、銃撃の嵐を喰らわせ続けていた時だ



元月島がある奇妙な行動を起こした。



ひるみ、悶え、苦しむ様子のクリーチャーの頭頂が突然開かれた。



イソギンチャク型の頭部がパカッと開花されたのだ



そしてその口盤から何やら吐き出されてきた。



それはヌメリ気ある、光沢した泡…



大小様々なシャボン玉のようなバブルボールが上空へと散布された。



そんな空間中に撒き散らされた泡を見上げた一同



七海「何よこれ…」



フワリフワリと浮遊する無数の泡に



海原、三ツ葉が撃ち方を止め、共に見上げた。



そして互いに視線を交え、起き上がった三ツ葉が後ろ歩きで歩み寄った。



三ツ葉「何でしょうかこれは?」



海原「さあ いい具合に押してたのに…一体何だよ…」



2人が正体不明な泡の浮遊を見上げているとそれは起きた。



空中で泡同士が摂取、はじけるや中からシャワーのように液体が降り注がれたのだ



その液体が床を濡らすやたちまちジュューと音をたていびつに変形、煙をあげ、床が溶かされはじめた。



勝手にはじけ、降り注がれる液体



フワリと浮かぶ泡の中身には強い酸が含まれた液体入りだ



たちどころに周辺の床が溶かされていく光景を目の当たりにした海原、三ツ葉、七海



七海「うぅ なんなのよあれ…」



三ツ葉「無闇に手を出せば死のシャワーの洗礼ときましたか」



海原「チッ シャレになんねぇぞ…」



拡散された泡が3人のそばまでフワリと近づいてきた。



七海「嫌 来ないで あっち行って」



それを手で払おうとする七海へ



海原「やめろ 風圧で割れたらどうする 避けるんだ」



七海「無理だよ こんなにいっぱい」



ユラユラ空中浮遊する無数の泡がゆっくり接近、2人はそれに接触せぬよう慎重に身体をそらし、かわした。



三ツ葉「確かに数が多い… しかも見て下さい」



部屋中に広がりを見せ、所々割れて強酸を撒き散らす光景



壁に当たって割れ、床に落ち割れた途端 液体が跳ね上がった。



そしてスプリンクラーのように周囲に飛び散っていた。



三ツ葉「近くで割れたらあの世行きです 少しでも触れたらあの勢いで周りに拡散させるようですね」



海原「ふざけやがって…」



所々ジュューと床の溶ける音が次第に増していく中



自ら放出した泡に囲まれる元月島が動き出した。



動くたび 泡に接触させ、飛び散った液体



だが当然のごとく元月島本体はそれを浴びても変化がない



泡を体当たりで破裂させながら近づいてくるクリーチャーがいきなり歩みを止めた。



すると今度は腕の口盤から太い触手を伸ばしはじめた。



その触手からカタツムリの角のように無数の細かい棘が生えだし



それを凝視する3人



何する気です…?



奴は何かを仕掛けてこようとしている…



三ツ葉がジッとその様子を伺っていると



ハッとさせた。



まさか…



無数散布され漂うバブルをチラ見した三ツ葉が急に叫んだ



三ツ葉「2人共 壁までバックだ」



七海「え?」



三ツ葉「いいから早くです」



中野に肩を貸す七海の腕を掴み、強引に引っ張る三ツ葉



海原も言われるがまま後ずさった 



次の瞬間



伸ばした触手が一振りされた。



いくつもの泡が裂かれ、爆弾の様にはじかれた。



そしてその触手を乱暴に振り回しはじめた。



次々と連鎖的にはじけ、飛び散る液体



空間内に強酸性雨が撒き散らされた。



七海「きゃあああ」



七海が叫び声をあげ



結界の壁に張り付いた海原達



直接浴びる事は免れたもののわずか2~3メートル手前まで飛沫が撒かれ、床が溶かされていく



ブンブン触手を振り回し、暴れに暴れまくるクリーチャーを目にする海原と三ツ葉



三ツ葉「海原さん ここは何とかやり過ごし 奴の動きが止んだらすぐに仕掛けましょう」



海原「あ…あぁ 仕掛ける? 何を?」



三ツ葉「イソギンチャクみたいなあの頭部、それとあの2本の腕 あの口から触手や酸性泡を吐き出してきます ですからまずはあの3箇所を集中的に攻撃するんです」



海原「あぁ」



三ツ葉「次はどんな攻撃をしてくるかも分かりません 繰り返される前に早急に潰しておかなければ」



すると



海原「なぁ あんたこのヤバい状況なのになんだか冷静に見えるのは俺だけか」



三ツ葉「冷静? そう見えます?」



海原「あぁ あんたから恐怖心が感じられない それにやたらと積極的だ」



三ツ葉「……もしかしたらそうかもしれませんね もし理由があるとすればそれはあの化け物が元はあいつだったから…」



海原「…」



三ツ葉「あの哀れな姿を見て下さい 今では嘲り笑う声さえも出来なくなった… 自我まで喪失した哀れな男の成れの果てを… 歪んだ野心を持ったばかりに身も心も喰われたどうしようもない男の醜態ですよ」



海原「あぁ 自ら身を滅ぼした馬鹿な奴だ」



三ツ葉「先程も申しましたがケジメをつけなければなりません 生きてあいつを連行し罪を償わせる事が出来なくなった以上 この場で… 刺し違えようと… 何があったとしても… 私の手であいつを始末しなければなりません その思いの方が強いのかもしれませんね」



ジュュュ~~ 



ギリギリ手前で溶けゆく床



海原「凄い覚悟だ… でも俺達は鳥籠に捕らわれた小鳥なんだろ そして奴は蛇だと」



三ツ葉「えぇ ですが蛇を倒せる武器を持った小鳥です… 銃器は奴に効きます きっとやれますよ」



海原「なるほど この絶対絶命な状況 あんたとならやれそうな気がしてきた」



三ツ葉「しかも不幸中の幸いと言いましょうか この空間がリアルな世界とリンクしない今 あんな恐ろしい化け物がリアルに解き放たれ、逃げ出した方が厄介です そうなる前に私達の手で片付けましょう」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



地下ホール



御見内一行vs山吹、彩羽vs神獣ミナグロ



ブン



巨大な腕が振るわれ、捕まえようとする手が空振った。



青木がかわしながらゴーレムの背後へ周り込み純やと合流



ゴーレムが後ろに振り返りざま、鉄槌の拳を振り下ろしてきた



バコン



重量あるパンチが床に叩きつけられ、ヒビ割れるそのサイドへ敏速に移動した純やと青木



純やがすかさず配置に着き、金属バットを振りかぶるや同時に電撃ボタンを押した。



純や「らぁ~」



そして放電し電気を帯びたバットを力強く振り抜いた。



ゴーレムのふくろはぎ部に打撃がくわえられると電流が全身を駆けめぐり痺れた様子、スパークし脚が浮き上がった。



ゴーレムがフラつくと今度は真っ正面に移動した青木が発砲



腹部に弾丸が撃ち込まれた。



ゴーレムはバランスを崩し、尻餅をついて倒れ込んだ



コンビネーションで巨体が転んだ次の瞬間



チャンスとばかりに山口、御見内が手榴弾のピンを抜き、セイフティーレバーを押すやゴーレムへと放り込んだ



放物線を描き、2個の手榴弾が胸部へと乗せられる



それを視認した純や、青木が素早く後退



よし… 一気にケリが着く…



山口が拳を握り、先走りなガッツポーズを決めようとした時だ



ゴーレムがムクッと起きあがらせた。



そして滑らせた手榴弾が床に落ちたと同時に掌でそれを覆った。



ボォン ドオーン



爆発が起き、木っ端みじんに吹き飛ばされたゴーレムの手



山口「なに」



塞がれた…



山口「クソ あのデカブツ塞ぎやがった この作戦は駄目か…」



手を犠牲に爆破を阻止したゴーレムがムクッとそのまま起き上がる



御見内「いやいや まだ2個残ってます 諦めるのはまだまだ早いっすよ 必ずやれます」



山口「だといいが…」



その様子をジッと観察していた山吹



刻印を狙った… カラクリに気づいたか…



ゾンビ共の肉片で作りあげた我がしもべのロボット…



凄まじきパワーと図体をほこるものの唯一の弱点がある…



そこに早くも感づくとはな…



だが… 甘いな…



折角の作品をそう簡単に壊されてたまるものか…



もう少し遊んで貰う…



空中浮遊で高みの見物をきめこむ山吹が不敵な笑みで御見内等を見渡し



作戦の意図を嗅ぎ取った山吹



山吹が妨害に入ろうとしている



だが… それを見逃さない女が1人いた 



ただ1人この男に注視する女



エレナだ



エレナの着目するそのまなこに笑みを浮かべた山吹が映されていたのだ



気づいたわね…



エレナもまたそれをいち早く嗅ぎ取っていた。



そうはさせない…



そして鋭い眼差しへと変えた。



ゴーレムと戦闘を繰り広げる御見内達



それを虎視眈々と伺う山吹…



その山吹に睨みをきかせるエレナ



それぞれがそれぞれの機会を伺い狙う中 



逃げ回る純やと青木を捕まえようと追い回すゴーレム



2人はそれを余裕でかわしていた。



もう慣れてきたぜ… こいつデカいだけで… しかもかなりの単細胞…



掌を広げ、掬い取ろうとするその腕をフェイントをかます青木



しかもウスノロで…



それをヒラリとかわした。



馬鹿な人形…



身体をねじり、脚を絡めたゴーレムが勝手に転んだ



ドスン



青木「へへ」



豪快に仰向けで倒れたその好機



山口「今だ 投げるぞ」



御見内が頷き、手榴弾の起爆にとりかかった2人



そしてすかさずそれを放り込んだ瞬間



山吹「フッ」



いきなり舞い降りてきた山吹が割って入ってきた。



そして聞き取れぬ程の小声で呪文が唱えられ、指をピュっと横に動かすや投げ込まれた手榴弾がそのまま宙へと持ち去られた。



人の目には見えぬ青白い死霊によって持ち運ばれる



手榴弾が1人でに空を飛ぶ光景に御見内、純や、青木、山口が驚きの顔を見せた。



そしてそのまま空中で爆発を起こした。



御見内「チッ」



山吹「クク めでたいフーリッシュ共だ こうなる事までは計算に入れてなかったようだな」



山口「なんだと」



突如邪魔に入った山吹が馬鹿にした笑みを浮かべた 次の瞬間



パス



1発の弾丸が発射され、山吹の右耳を捕らえた。



山吹「ぐっ」



誰だ…



貫かれて消し飛んだ耳を押さえ、その場から浮上、一旦離れた山吹



誰だ…



山吹が探すとその視線の先でエレナと目を合わせた。



おまえか…



エレナ「馬鹿はあんたも同じ 私がいる事を計算に入れてなかったようね」



おのれ…



眉間にシワ寄せ、青筋をたてた山吹が激情に駆られた。



エレナ「外したけど… 次は必ず当ててやるから」



あの忌々しい女め…



山吹が更に遠ざかり離れて行くのを目にしたエレナが叫んだ



エレナ「みんな 私が邪魔させないから もう一度やって」



エレナの掛け声に御見内、山口、純や、青木がコクリと頷き、気を取り直した4人



山口「最後の1個だ ここは慎重に」



御見内「はい」



またエレナの横に着けた村田



村田「手伝うぜ エレナ」



MP5サブマシンガンが構えられた。



エレナ「ありがとう」



村田「今のまぐれ当たりは良かったが… またあの厄介なバリアーを張ったぞ どうする?」



エレナ「それなんだけど ちょっと待って まだ確信が持てないから」



村田「え?」



また純やと青木も視線を交えるや連携を取りゴーレムの周りをちょこまかと動きだした。



その中心でのっそり起立した肉塊の人形



その無数の目玉が周囲を動き回る2人に一斉に注がれた。



そして捕まえようと腕を伸ばしてきた。



ワンパターンだね…



そんなノロい動きじゃ到底俺達を捕まえる事なんて出来ないよ…



逆に何度でも転ばしてやる…



青木に気を取られたゴーレムの背後に滑り込んだ純や



上腕の筋肉を隆起させ、グリップに握力を込め振りかぶった。



MAXパワーのバッティングを喰らえ~…



電力が最大限まで上げられ、バチバチと放電 バットがスパークした。



そして



満塁… 逆転… サヨナラホームランだぁ~ 



らぁぁ~……



力強く踏み込まれた1歩



心の中で吠えた純やがフルパワーでスイングした。



ボガッ



横から膝部に食い込んだ金属バット



ぶっとい怪物の脚がくの字に折れ



そのまま振り抜くやもう片方の脚もくの字にへし折った。



青木「おぉ すげ」



両脚きれいに折られた巨体はバランスを保とうとするが当然のごとく不安定となりその数秒後に倒れ込んだ



ドスン



大きな身体が大きな音をたて倒れ込んだのだ



純や「へっへ~ 一丁あがりぃ どんなもんだい」



さぁ お願いしますよ…



掌を差しながら倒れたゴーレムから身を引く純やが御見内等を目にした。



御見内がそれに応え手榴弾のピンを抜こうとするや



山口「待て 俺がやる それは念の為とっとけ」



山口が投擲態勢でピンを抜いた。



それからセイフティーを解除しようとした時だ



再び急降下し、山吹が間に割って入ってきた。



山口「くっ」



ピタリと動きが止まった山口



山吹は先程の薄ら笑いとはうってかわり怒りに満ちた表情でぶつくさ呪文を唱えていた。



山吹「クリフォト クリフ クリムクレイヴ… セト ティックンオーラム 邪悪な樹の源よ ゴラムを修復せよ」



そして背後のゴーレムに手をかざすや折れ曲がった脚部が治りはじめる



エレナ「…」



それを見ていたエレナが一瞬ハッとさせた。



次にエレナ等へ手をかざしてきた山吹



山吹「揃いも揃って腹立たしい愚民共め… ウータム・クータソ・ロ・ベリエル…」



村田「ヤロー」



詠唱をはじめた山吹へ向け村田がサブマシンガンをぶっ放した。



だが… 案の定山吹を包むバリアーによって弾丸は屈折し弾かれる。



村田「おい やっぱ駄目だぞ どうすんだ エ…」



村田が視線を向けると黙って凝視するエレナを見た。



ジッと見つめ何かを狙うその横顔を



村田「…」



山吹「…オーフェン・ホーウェン・ロネロ・バ・ヴェルシェウェン・スピーリトゥス・インパタティメーネ・ウェニータ・ベル・モイ・ディ」



すると山吹の手にする書物が光だし



山吹「身動きを封じてくれる ロボットに全員踏み潰されてしまえ」



そして山吹がかざした掌を握ろうとした瞬時



タァーーン



発砲された。



一瞬の出来事



たった1発の発砲音が鳴らされ



一瞬 時が止まったかのように御見内、純や、青木、村田、山口が目にした。



一瞬の静寂が訪れ



村田が煙りのあがる銃口を目にしたあと、山吹へ目を向けた。



また発砲したエレナの後ろ姿を目にした美菜萌も山吹に視線を向けた時



美菜萌の瞳孔が大きく開かれた。



握り締めようとする掌は途中で止まり



山吹の目が大きく見開かれていた。



そして額にはくっきりと貫かれし穴が開かれていた。









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