第202話 感涙

屋敷内 地下階段



SMGと小銃をいつでも放てる状態で先導する村田と佐田



エレナ達はいつまでも続く長く深い地下階段を下っていた。



ボボボボ



天井を見上げるとそこにはLEDの電灯に加え、天井を這うパイプ、それに繋げられたファンコイルが起動し騒音を響かせている、また所々にエアーサーキュレーターが回り送風している



そんな空調設備が十分に完備された地下階段をひたすら下っていく一行



しかし深い…



エレナ「相当深いねこれ」



美菜萌「本当ですね まだ下が見えません」



かれこれ5分くらい下っているのだがまだ下が見えてこない程深い階段…



村田「シッ 2人共喋るな もうちょいだから」



かなりピリつく村田に私語の注意を受けた。



ボボボボ



空調機の音をうるさく奏でた地下階段を更に下っていくと最後方に位置する御見内が立ち止まり、何やら上を見上げていた。



それをふと目にしたエレナ



エレナ「どしたの?」



御見内「……」



ジッと見上げていると



御見内「いや… 今 上で物音が聞こえた気がして 気のせいだ」



村田「おい だからおまえら喋るなって そこを曲がればじきだぞ」



前方緩やかな右曲がりのカーブが見えてきた。



エレナ達はカーブに差し掛かり、そのまま右に折れていくと下から明かりが差し込んできた。



やっとね…



村田、佐田はさっき以上に警戒した歩調で息を呑み出口に近づいて行く



またエレナや美菜萌、御見内も入口に向かって近づいて行くと



変な臭いがしてきた



鼻に纏わりつく嫌な臭い…



美菜萌が鼻を押さえる



この臭い… 血だ



5人が入口に差し掛かると村田がちょっと待てのジェスチャーを送り、佐田と共に中の様子を探りはじめた。



辺りへ入念に視線を向け、聞き耳をたてる2人



どうやら敵の姿はない…



村田が来いのジェスチャーを送り



中に入るや



エレナ達の目に映ったのは…



またもそこら中に散らばる無惨なバラバラ死体の数々だった



美菜萌「うっ… ヒドい」



鼻を押さえ、吐き気を催す程の惨状に嫌な顔をする美菜萌



それは佐田、村田も同様の顔を浮かべている。



佐田「うっ この有様… さっきいた奴等… 皆殺しにされたのか ここ通るの?」



村田「死体がこんな所まで…」



前方一面に広がる死体だらけの中を



その足の踏み場も無いバラバラなパーツが転がる通路を



3人は進むのをためらった。



だが御見内、エレナの2人は躊躇無く前に出て行った。



マジ…



それを見て驚く佐田や美菜萌をよそに進んで行く2人



この中を平然と歩けるとか こいつらどんだけ据わってんだ… つ~かどうゆう神経してんだか…



顔を歪めた村田が佐田と美菜萌に目を向け頷くと



そのまま血の海を進んでいく2人に置いてかれまいと意を決した2人も頷き、エレナ達に続いた。



ピチャピチャ音をたて、肉片を踏みしめる感触を受け、早くこの場から逃れたい一心で先へ進む3人



およそ200メートル程直進すると5人の前に扉が見えてきた。



御見内「村田さん 早織ちゃんを見たのはこの先でいいんだよね?」



村田「あぁ そうだ」 



エレナ「この先には何があるの?」



村田「教会がある」 



エレナ「教会?」



村田「あぁ」



御見内が扉に手を掛け



御見内「じゃあ開けるよ いいね?」



村田「ちょっと待て みんな入る前に気を引き締めろ 黒フードと交戦したのも彩羽って化け物少女に襲われたのもここなんだからな」



御見内「早織ちゃんを目撃したのもここなんだね?」



村田「いや 早織を見たのはその先だ この先には儀式を執り行ってるような怪しげな間があった そこで見た 恐らく早織はその更に奥に連れてかれてる」



御見内「オーケー じゃあ開けるよ?」



皆に合図を送り、御見内がゆっくりと扉を開いた。



ギィィィィ



室内へと進入した5人



エレナや御見内が内部を見渡すとここは村田の言った通り小さな教会



木製のベンチシートが幾つも並び



黄色と赤色を基調としたステンドグラスの窓



祭壇なども見られた。



ここはよく目にする礼拝堂のような場所なのだが…



1つだけ違和感を覚える物に一同目を留めた。



それは正面にデカデカと飾られたある一枚のフレスコ画



十字架は逆さにされ、天使を逆さに吊り上げる悪魔の象徴、バフォメットが描かれた大きな壁画が飾られていた。



5人は壁画を見上げ、足を止めた。



村田「この山羊頭の絵…よく見たことある絵だな」



御見内「バフォメット… 善や愛の象徴が天使ならば悪や魔の象徴がこいつだ」



村田「悪魔のマスコットか… バフォメットね…  しかし気味の悪い絵だな」



エレナ「…」  美菜萌「…」



5人はそのまま礼拝堂を進んだ



周囲に目を向けると



ベンチに転がった腕や足、また もたれ部に引っかかる腸らしき内臓物



他にもステンドグラスの窓に頭を突っ込ませた遺体から祭壇に乗る複数の生首



満足な死体は1つも見あたらない



チャペル内は通路以上に陰惨な地獄絵図と化していた。



これ… 村田さんの言ってた彩羽って子の仕業なの…?



本当に早織ちゃんと同じくらいの少女が1人でこんな事やったの…?



美菜萌はあまりにも酷い現場に少女の仕業を疑った。



大の大人を しかもこれだけの男達をここまで徹底的に小間切れにして殺している…



一体どんな子なの…?



美菜萌はそんな疑問を抱きつつ殺戮現場を通り抜けて行く



そして5人は礼拝堂を後にした。



村田と佐田が先に飛び出し警戒



村田「大丈夫だ カモン」



エレナ等も礼拝堂から出るとそこはまたもや続く通路



2~30メートル程だろう通路に出た。



村田「あの先に怪しげな部屋があった こっから先は赤フードや彩羽と遭遇する可能性が大だぞ」



御見内「あぁ 行こう」



いよいよ御見内もリボルバーを構え、警戒態勢に入り



エレナと美菜萌もそれぞれ武器を構えた。



さっきの通路やチャペル程では無いが幾数もの死体が転がる通路を用心した足取りで進む一行



村田が扉の取ってを掴み、アイコンタクトを図るや



バン



勢い良く開き、中へと突入した。



村田と佐田は素早く前方、左右に銃口を向け、敵を探したが



ここにも敵の姿は見られない



村田「クリアーだな」



御見内、エレナ、美菜萌が中に入ると室内の幾箇所に蝋燭が灯され、目の前には生贄台なのだろうか…?



大量の血痕がこびりつく大きな台が見られた。



天井から吊された幾つもの鎖



惨殺死体は見当たらないがこの部屋もそこら中 血に染まり、血の臭いが部屋中に染み込み、充満していた。



室内のあちこちに解体に使用されたと思われる血がついたままの切断用具が放置され、また床には血と共に衣服の切れ端や髪の毛なども散らばっている。



5人は中央の大きな生贄台まで移動し、それを見下ろした。



血に染まる台にはデカデカ記されたあのマーク



村田「このマークもよく見るよな 何てんだこれ?」



すると



佐田「これは円が魔法円と呼ばれ、その中に描かれてるマークが五芒星と呼ばれてる ペンタグラムって名前の魔法陣のマークだよ あと これ見て 逆さになってるでしょ これは通称デビルスターと呼ばれてて、儀式を行う時、悪魔を召喚する際に必要不可欠な魔法陣だよ」



村田「デビルスターか… って何でそんな詳しい まさかおまえも悪魔の信仰者じゃないだろうな」



佐田「まさか 敵の頭が黒魔術を扱うって聞いたから 敵を知る為にも少し調べてみたんだ」



村田「魔法陣やら黒魔術やら悪魔召喚とかオカルト話しは勘弁して欲しいな… そんなのポッターの世界だけにしてくれや そもそも悪魔って何? 霊との区別ってあんのかよ?」



佐田「全然違うよ村田さん 霊はこの世 つまりこの人間界で亡くなった人の霊魂の事だけど悪魔は魔界の住人だよ サタンと呼ばれる魔王のしもべ達の事を言うんだ 住むべき場所が違う魔物だよ」



村田「へぇ~ 魔物ねぇ~」



佐田「霊には良い霊や悪い霊がいるけど悪魔に良い悪魔なんかいない みんなこの人間界に呼び出して望みを叶えて貰おうとするけどその見返りを求めてくる 例えばその願いと引き換えにおまえの寿命を5年よこせとか魂の半分をよこせとかそんな感じで」



村田「取引を迫って来るんだ」



佐田「そう それが契約ってやつだよ 基本 人にとっていい存在じゃないそんな悪魔や悪霊を利用し、有利に交渉を図る術の事を黒魔術って言うんだ」



村田「なるほどな まぁ日本人にはピンとこないオカルト話しだわ」



エレナ「2人共 そんな話しもう止めて 私達には関係ないわ」



村田「あ… あぁ」



エレナ「行こう 早織ちゃんはこの先なんでしょ」



村田「あぁ そうだな」



御見内「2人共 こっから先は未知なんだよな?」



村田と佐田が頷いた。



御見内「オーケー んじゃ 早速行ってみようか」



4人とアイコンタクトを交わした御見内がノブを捻り、ゆっくり扉を開くと



そこは岩石に囲まれたトンネル



美菜萌「え?」



村田「なにこれ洞窟?」



5人はこの扉を境にいきなり現れた洞窟らしき空間へと出た。



人工的に掘られた洞窟とは違う自然が造りあげた洞窟だ



天井までの高さは5~6メートル程あるだろうか…



所々明かりが設置され、ライトアップされる広々した空間



村田は天井を見上げながら口にした。



村田「まさかの洞窟とはな」



ピチャン 雫が落ち波紋が広がる水面



何カ所か小さな池らしきものが見られる。



またつららの様な鍾乳石も多数みられ、ライト効果で幻想かつ神秘的な美しい洞穴の姿を映し出していた。



そんな鍾乳洞を500メートル程進んで行くと空間は徐々に狭まり、エレナ達の前に



御見内「見ろ」



御見内の指差す先には人工的なセメントの壁と扉が見えてきた。



ローレディーな態勢でノブを掴んだ御見内が佐田と村田に目を向け



2人は銃器を身構える



そしてゆっくり回され、開かれた。



同時に合間から素早く入り込んだ2人が警戒



銃器が向けられるがここも敵は視認されなかった。



さっきまでの洞窟が嘘のような人工的な空間



明かりが灯るその空間は白いプラスターボード(石膏)の壁に床はグレイのタイルカーペットが敷かれている



まるでオフィスの様な小綺麗な内装が施されており



そんな中ある一部屋が5人の目に止まった。



電子式の分厚い扉



扉には解除中の文字が記され、緑色のランプが点灯している。



御見内がすかさずOPENボタンを押した。



ウイィィィン



重厚なドアがスライドで開かれ御見内達が中を覗くと可愛いらしいぬいぐるみ達が多数目に入ってきた。



5人は中に入った。



エレナは棚に置かれたリカ○ゃん人形達に目を向け指で触れ



また美菜萌が仕舞われた箱を取り出し、蓋を開けると中にはシルバニ○ファミリーの人形やプリキ○アのマジカルスティックなどの玩具が仕舞われているのを目にした。



また棚に並べられた絵本の中から日本昔話の絵本を取り出した村田が適当にページをめくった。



村田「懐かしいな…」



他にもテーブルにはキラキラ光るシールやビーズなど置かれ



佐田「この部屋… 女の子の部屋だ…」



明らかに小さな女の子の部屋



御見内「例の彩羽の部屋だろう」



すると



美菜萌「皆さん これを見て下さい」



美菜萌が手にした物を広げた。



美菜萌「これ昨晩早織ちゃんが着てたのと同じ服です」



エレナ「え?」



村田「んじゃ~なにか つまり 誘拐された早織は彩羽って化け物とこの部屋に一緒にされてたって事か?」



御見内「それで間違いないだろう ちなみに早織ちゃんが誘拐されたのは彩羽のお友達の道具として使用する為だよ 寂しさを紛らわし飼い慣らし続ける為のアメとしてな」



美菜萌は早織の衣服を抱き締めた。



美菜萌「早織ちゃん… お願いだから無事でいてね…」



エレナ「心配ね 先へ進めましょう」



一同が頷き、部屋から出た



その時だ



ガラガラガラ ガシャー



5人が振り返ると



入口で急に鉄格子のシャッターが降り、閉められた。



村田「なんだ?」



そして



プー プー



ピン



10メートル程前方のこれまた電子式の扉がピーピーと音を鳴らし、自動で開き出すや否や



開くその先…



扉前で待機するゾンビ等の姿があった。



死にたてホヤホヤな死体



「ぅぅうう…」 「あ~~ ぁ~」



五体満足なキレイで新鮮な黒フードや奴隷の死体が扉に群がり、開くと同時に一挙に押し寄せてきた。



「うぅううぅぅ」 「あぁ~ ああ~」



佐田「うわぁぁ まじかぁ~」



思わず後ずさった佐田の真横で



パァン パンパン



リボルバー サクラの銃口が火を吹いた。



またその隣りでも パスパスパスパス



エレナによるフルオートの銃撃がなされた。



眉間や頭部を撃ち抜かれ、倒れたゾンビの前列につまづき共倒れる後続



その間に行き止まりな鉄格子まで後退した5人が背をつけた。



村田「罠か?」



エレナ「多分ね」



村田「しゃらくせぇーな」



村田が懐から手榴弾を取り出し、投げ入れのポーズをとるや



御見内「これがどうした… これしき」



レンコンに弾を詰め込んだ御見内がそう口にし、前に出た。



ガシャ 



そしてリロードを終えるや発砲



また阿吽の呼吸か…?



互いに合図もコンタクトもせず



エレナも一緒に踏み出し、発砲に転じていた。



パス パス パス パス パァン パンパン パス パス



単発モードに切り換えられ一発づつ引かれる小銃のトリガー



その一発一発が的確に命中され次々ゾンビ達は倒されてゆく



パァン パン  ガシャ パラララ



御見内が素早くシリンダーから排莢し弾を込めた。



御見内もまた一発も無駄にする事なくゾンビの急所へ確実に弾を撃ち込み仕留めていた。



村田がオーバースローな投げ入れのポーズで固まる間に…



パス 眉間が撃ち抜かれ



パァン 頭部の一部が弾け飛び



ゾンビ達はあっという間に射殺された。



銃撃を止め、御見内、エレナ共に銃器を下げると目の前には駆逐された屍者の骸が積み重ねられていた。



ガシャ



小銃のマガジンを取り出し残弾を確認するエレナが新しい弾倉と交換しながら口にした。



エレナ「見て 隅にあんなのがあるよ これ赤魔導士からのセンスの無い挨拶のようね こんなんで私達を葬ろうなんて甘い甘いわよ」



エレナは天井の隅に設置された監視カメラに気づき、にやけた表情でFuck youのハンドポーズを向けていた。



エレナ「私達におびえてないでとっとと出てきたらどうなの 悪魔でも何でも呼んでみなさいよ 言っとくけど私も道も もうこの世に怖いものなんて何も無いんだから」



御見内「エレナ いくら言っても音声までは聞こえてないぞ」



だが



その数秒後に



鉄格子のシャッターが自動で上がりはじめた。



エレナ「ねぇホラ 通じたんじゃない この程度では私達は止められないって 無駄な足掻きだって分かったみたいよ」



御見内「フッ かもしれないな」



御見内が先に進むと自動で扉が開き、外に出ていった。



そしてエレナ、美菜萌、村田、佐田も続き外に出ると5人の前に広々としたフロアーが現れた。



村田「なんだここ 広…」



ちょっとした体育館程の広さもある空間



眩しいくらいの明かりに照らされた室内



エレナ「何ここ…」



御見内「…」



御見内が躊躇無く前進し、エレナ達もそれに続いた。



全面白色の真新しいフロアタイルが敷かれた清潔感ある床



御見内が室内中央付近まで歩を進めた時だ



ハッとした表情を浮かべ、急に走り出した。



エレナ「え?」



いきなり走り出した御見内に驚くと共に前方に目を向けた4人もある物に気がついた。



美菜萌「あれ」



奥にあるシャッターの壁が上がり、前方に人の姿が見えてきたのだ



4人も急いで駆け寄った。



ガラス窓をバンバン内側から叩く3名の女性の姿



その中にはあの早織の姿もあった。



エレナ「さ…早織ちゃん」



美菜萌「早織ちゃん!」



3人はガラスを殴打しながら何やら叫んでいるのだが何も聞こえてこない



御見内「分厚い強化ガラスだ」



御見内がガラスに触れながら口にし、中の見知らぬ女性等に目を向けた。



1人は50代半ば程…



もう1人は30代前半くらい…



そしてその女性のお腹は大きく膨れ… 臨月間近な妊婦と思われる女性だ…



妊婦… この女性達…



村田「いますぐブチ破る 下がれぇ~」



村田が銃器を向け、下がれのジェスチャーを中に送った。



すると



女性が早織を掴み、バック



パスパスパスパス



村田がサブマシンガンを発砲した。



強化ガラスに無数のヒビが入るや、村田がガラスへと体当たり



ガシャーーー



ガラスの粒が一気に割れ、床に散乱すると共に飛び込んだ村田が中に入り込み回り受け身で着地した。



粉々に割られた強化ガラス



御見内等も続いて中に入った。



エレナ、美菜萌の2人が中に踏み込むと



早織「美菜ちゃ~ん エレナちゃ~ん」



泣きながら駆け込んで来る早織



美菜萌はしゃがみ込み、キャッチした。



早織「ふぇ~ん 美菜ちゃ~~~~ん」



そしてギュッと強く抱き締めた。



エレナもしゃがみ込み早織の頭を優しく撫で回す



良かった… 生きててくれて…



早織「うぇ~~ん 怖かったよ~ 美菜ちゃ~~ん」



美菜萌「うん うん でももう大丈夫 お姉ちゃん達が助けに来たからには」



早織「え~~ん ふぇ~~~ん」



自分の胸の内で泣く早織の頬の感触を受け、頬をすり合わす美菜萌の目にも涙が溢れている



本当に… 良かった…



エレナ「フフ」



また隣りではエレナも喜びと嬉しさから涙ぐみ、溜まった感涙の雫をそっと指で拭った。



早織を無事救出、対面を果たしたエレナ等を



安堵の表情を浮かべながら見守る御見内、村田、佐田達



村田「一安心だな」



御見内「えぇ」



そして御見内が2人の女性達に目を向け、近づいた。



御見内「臼井さん、柊さんのご家族の方でよろしいですね?」



「え えぇ はい… どうしてそれを?」



御見内「当人等に事情は伺ってます それで助けに参りました」



「主人は? 臼井は無事なんでしょうか?」



御見内「はい 一緒にここに助けに来てます」



「隆之は?隆之も無事なのかい?」



御見内「無事です ですが柊さんはここにはいません 現在東京の病院で怪我の治療を受けてます ですがご心配なく 命に別状はありませんので」



ホッと安心した顔で年配女性の両肩は下げられた。



御見内は何も無いこの場所を見渡しながら2人に訊ねた。



御見内「ずっとここに監禁されてたんですか?」



2人の女性は首を横に振り



「いえ 違います 赤い服の男にいきなりここに連れてこられたんです そしたらあの子もここにいて」



妊婦の女性がお腹を擦りながら早織を指差した。



御見内「なるほど…」



村田「これはもうひと企みあるな」



御見内「のようだな」



村田「とにかく早織とこの人達を別の安全な場所まで移動させよう」



御見内が頷き、年配女性に手を差し伸べる



そして村田と佐田が妊婦の女性を支え、起きあがらせた。



佐田「ゆっくり立ち上がって下さい もう出産間近ですね?」



「はい 9ヶ月と2週目に入りました」



佐田「村田さん 大変だ いつ産まれてもおかしくないです」



村田「あぁ この方を早急にザクト管轄の病院まで搬送しないとな」



2人を起きあがらせ



村田「エレナ、一条 ひとまず撤退だ 退くぞ」




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