第203話 法力

2人は頷き、美菜萌がシクシク泣く早織を抱き上げた。



撤退する5人が割れたガラス窓からそれぞれ足を踏み出した。



その時だ



ピーピー ピーピー



ピン



何やら警報らしき音が室内に鳴り響いてきた。



佐田「え!」



怯える早織と2人の女性



ピー ピー ピー ピー



村田「何事だ?」



御見内「…」



皆周囲に目を配っていると



ガアァァァァァ



左右側面の壁がいきなり下がりはじめた。



両サイドの壁一面がゆっくりと降り、壁の向こうにはあの者達…



「うぅううぅぅ」 「うぅううぅぅ」 「ううううぅ~」



嫌と言う程耳にしてきたこのすする呻き声を発する奴等…



両サイドにぎっしりとゾンビ達が待ち受けていた。



そして完全に壁が降りると同時に室内にゾンビがなだれ込んできた。



佐田「わぁ~ まじかよ…」



村田「マズいなこれ 100以上はいるぞ 佐田 一条は中にバックしろ 2人共3人の守護だ エレナ 御見内 俺達でやるぞ 迎撃だ」



エレナ「ハァ~ はぁ~い」



またなの… そう首を数回回しながら溜め息を漏らし、気だるそうな返事をするエレナ



御見内「エレナ 言いたい事は分かる でもほんのちょっとの数だ 辛抱しろ」



村田「おい 今何てった? おまえ数かぞえられねぇーのか 100以上いるこれのどこがほんのちょっとなんだよ」



御見内「野鳥の会ばりに数かぞえるのが得意なやつがいる エレナ 正確にはいくつだ?」



エレナ「うん じゃあ 願いましては~」



そして親指でトントンしながらゾンビ等を数えるエレナ



エレナ「え~ でました 113体なり~」



御見内「お~ 早いな 流石は猟師の娘」



村田「おい おまえ等 おちゃらけてる場合か」



御見内「村田さん 俺達は新宿の街を生き抜いてきたんですよ あの眠らない街 大都会新宿はどこもかしこもこの5倍… いや10倍はいたかな… それに比べたらこれしき」



エレナ「そう こんなの屁のカッパよ」



御見内「俺からしたら屁のツッパリはいらんですよだ」



エレナ「何それ?どうゆう意味?」



御見内「いや… どっかで聞いた事あるフレーズで意味はよく…」



村田「キン肉マンだろ とにかく2人共ふざけるのはもう止めろ 殲滅するぞ」



エレナ「はぁ~い 分かったわよ」



御見内「りょーかい」



御見内、エレナ、村田が迫り来るゾンビ等の群れに向け銃器を構えた



次の瞬間



ゾンビ等の後方から1人の男が歩いてきた。



そいつは周りのゾンビ等を次々と通過し



群れの中を悠然と近づいて来た



赤い衣、脇には書物を抱え、深々とフードを鼻先まで被りし男



そいつはゾンビ達の間を颯爽とすり抜け、群れの中から飛び出してきた。



そう… 先頭に立ち 御見内達の前には現れた男こそ



山吹…



御見内「山吹!」 エレナ「やまぶき!」



山吹の口元は緩み、うっすら笑みを浮かべているのを目にした御見内



3人の顔つきが一気に変わった。



そして山吹が無言で右腕を真横へと挙げるや



迫り来るゾンビ共の足が一斉に止まり、ピタリと群れが停止された



山吹「くくくくくく」



すすり笑う声をあげた山吹



村田「テメェー やっと現れやがったな」



険しい表情で銃口を向ける御見内とエレナ



ついに山吹自ら姿を現し、御見内等の前に現れた。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



麻島班vsスキャットマン、合間



怪しげな術中にハマッた合間は操られの身となりスキャットマンの配下へと堕ちていた。



七海を羽交い締め、盾に取るスキャットマンが合間へと命じる。



スキャットマン「合間とやら おぬしのその刀存分に振るうがよい その者達を皆殺しにしろ」



合間「へっへへへへへ」



すると合間が薄気味悪い笑い声をあげながら抜刀の構えを取り、誰にしようか品定めをおこなった。



三ツ葉「チッ マズいですよ」



各自 銃器を身構える



石田「敵なのかよ…? 味方なのかよ…? 訳わかんねぇ~状況だぞ」



海原「クソ 発砲も出来ない こうゆう場合どうすればいいんですか隊長」



麻島「接近戦では到底かなわない 交戦するな 防御も駄目だ 回避行動につとめるんだ」



先程常人離れした剣術を目にしたばかり



こんな剣豪相手にどう対処すればいいんだ…



この場の誰もがテンパり、困惑しているさなか



合間が鞘から真剣を抜き出すのを目にした麻島



麻島「来るぞ 集中しろ」



そして抜かれたと同時に早過ぎる踏み込みと接近



麻島、海原、三ツ葉、石田、及川は全く反応出来ず



たちまち合間はパーソナルエリアまで踏み入れていた。



その踏み込まれた相手は… 南…



南の喉元に凶刃が襲う



だが そのわずか数センチの間に刃が割り込み



キーーーン



寸前で斬首が阻止された。



それを防いだのはチコだ



チコ「もう何してんのよ 正気に戻りなさい」



チコがいなければ首を跳ね飛ばされていただろう南の表情は青ざめ、腰を抜かした。



合間「へへへへへ」



焦点の合わないイかれた目つきの合間と視線を合わせるチコ



こりゃ駄目なようね… もうやるしか…



すると



標的をチコにかえ、合間が襲いかかった。



キィン キン キン



袈裟や横振りの乱撃が振るわれ、チコがそれを防ぐたび剣戟の音色が鳴り響く



そして再び受け止め、鍔競り合った両者



江藤「チコちゃん フォローする」



江藤が助太刀に入ろうとするや



チコ「大丈夫 手出しは無用です ここはあたしがやる」



江藤「でも…」



チコ「それよりみんなをもっと下がらせて それと七海さんをお願い」



江藤が人質に取られた七海とその背後からこちらを目にするスキャットマンに目を向けた。



江藤「分かった… みんな!もっともっと下がって バックだバック」



江藤の掛け声で腰を抜かした南に手を貸す及川が後退、麻島や海原、三ツ葉等も銃器を構えながら後歩した。



そしてみんなが下がったのを確認した江藤が前に踏み出し、スキャットマンと合いまみえた。



江藤「悪いけど その人離して貰えない」



表情をひきつらせる七海と目を合わせ、コクリと頷く江藤



スキャットマン「蟲を飼い慣らす奇人か… どうやってそんな悪しき害蟲を手懐けた?」



スキャットマンが七海の首へと腕を回し、錫杖を江藤に向けてきた。



江藤「悪しき害虫か… 悪と言うなら人間だって汚い奴ばかりでこの虫と大差ないよ まぁどうだっていいじゃんそんな事 それより早くその人をこっちに返して貰えるかな 何をするにも全てはその後だよ」



スキャットマン「この娘を返して欲しいか? そんなに返して欲しければ力づくで奪い取ってみろ」



江藤「そう言うと思った あんた坊さんだろ? 坊さんのくせしてそんな悪行働いて 地獄行き確定だね」



スキャットマン「…」



江藤「じゃあ お言葉に甘えて… この場で死んで貰おうかな」



江藤の背中から突然飛び出してきた2本の触手



江藤「俺のガードはいいよ そこの女の人奪還とそいつの排除に専念して」



突如 江藤が独り言で口にする



江藤「手加減不用 全力で叩け」



すると触手が螺旋を描きながら伸張、また生き物のようにうねりながら大きな円を描き、スキャットマンの背後へとつけた。



スキャットマンはその背後に浮遊する触手に目を向けると、錫杖を手放し素早く両手で獨古印の逆結び手をとりはじめた。



錫杖が地面に落下する間



刀印結びと同時に早九字が発せられる



私を殺すだと…



スキャットマン「臨兵…」



ここは既に我が結界内であるぞ…



「闘者…」



この領域で私に傷をつけるなど笑止



「皆陳…」



今一度結界の効力をあげ何も出来なくしてくれる…



「烈…」



金剛地結界契印呪…



そして



「在…」



在の結びと言葉が発せられた時だ



スキャットマン「うぐ」



スキャットマンの背中に2本の触手が突き刺された。



馬鹿な…



カラン シャン 錫杖が地面に落ち、スキャットマンの結びが止まった。



江藤「何してんの? ガラ空きじゃん」



何故攻撃出来る…?



だが… 突き刺された筈のスキャットマンの身体は煙の様に消え、後方に煙の如く姿を現した。



江藤「……」



七海から引き離されたスキャットマン



スキャットマン「どうして私に攻撃が出来た?」



江藤「え? 何が…?」



身体的能力も… 運動能力… 攻撃力さえもこの結界内では低下させている…



そして更に力を下げつつ、私に牙を向ける事さえも許さぬ術をかけたにも関わらず…



途中であるがゆえに浅かったか…



ならばもう一度…



こうなったら次いでにあやつも傀儡の身にしてやる…



少々効果は薄れるがマントラ詠唱は割愛させて貰う…



素早き指印、逆さ外縛印、内縛印、智拳印などが結ばれ刀印と共に念を飛ばしたスキャットマン



スキャットマン「破!」



だが… その数秒後…



ビュン ビュン



グサッ ブシャ



左右挟み打ちで飛来してきた触手にこめかみ、頬を貫かれたスキャットマン



スキャットマン「な…」



串刺されたスキャットマンの身体がまたもや砂が散るように消え去り



2階へ移動、霧のように肉体を現した。



スキャットマン「馬鹿な 傀儡がなぜ効かぬ 貴様何を行った?」



江藤「はぁ? だからさっきから何言ってんだよ ちゅーかちょこまかとテレポートしやがって もうあったまきたぁ 次は逃がさないよ」



手摺りに触手が巻きつき、江藤本体が2階へと引き上げられた。



飛び上がった江藤の手にはサバイバルナイフと安物の家庭用包丁が握られ、浮上、スキャットマンの横に降り立つと同時に切りつけた。



一方



真剣の両刃が微かに震え、チコと合間が鍔競っていると、先に仕掛けたのは合間



そのまま押し出すと同時に斬りかかった。



キン キィン キーーーン



肉身に当たれば、骨までスッパ抜く鋭い斬れ味の斬撃



一打でも貰えばタダじゃ済まない…



キン キィーン キンキン スパッ



スカートが裂かれ、渋い顔で一歩二歩と後ずさり懸命な刀のガード 



キィン キン



常人には見切れぬ太刀筋の応酬



防御と回避に徹するチコへ遠慮も容赦もない、本気の打ちが合間によって浴びせられた。



そんな達人同士のチャンバラの攻防 触手人間対妖術を扱う法力僧とのバトルが行われ



別次元の戦闘が繰り広げられる中



怯え、固まる七海の元に中野が駆け寄ってきた。



中野「七さん そんな所で突っ立ってないで 早くこっちに」



七海「う… ぅん… ね ねぇ し…死んでる」



ガクガクした脚で死に絶えた恩田や茅ヶ崎の死体を見渡し、指さす七海



中野「見りゃ分かる 死体見るのは初めてじゃないでしょ」



七海「し… 人が間近で死ぬのを見るのははじてよ…」



中野が七海の腕を掴んだ



中野「いいから早く」



腕を取り、強引に七海をその場から連れ去った。



シュ シュ



高速で触手が伸び、スキャットマンの腕に絡むや、飛び込んだ江藤



両手にするナイフと包丁を喉と右目にブッ刺した。



しかし… 感触が無い…



またもスキャットマンの顔が砂の様に消え去るや江藤の側面に移動



霧のように現体を表すと共に江藤の胸部に御札が貼り付けられた。



詠唱破棄…



その札を貼り付けた瞬間



スキャットマンは無言で結んだ印を江藤の胸部に押し当てた



次の瞬間



ボン



爆発…?



いきなり札が炸裂、それにより江藤の身体が衝撃によって弾き飛ばされた。



ドサッ



手摺りを突き破り、吹き飛ばされた江藤が落下した。



江藤「っっ… なんだ今の?」



江藤にダメージは無い、ただキツネにつままれた顔ばせで起き上がるその前方に黒い霧と共に姿を現したスキャットマン



そして御札を手にしたスキャットマンが腕を引くと床に落ちた錫杖が独りでに動き、戻された。



糸でつられたかの如く勝手に戻ってきた錫杖を掴み、懐から数枚の御札を取り出すと、今度はそれらを四方へと飛ばした。



江藤「…」



四角形に江藤を取り囲むように御札が投げ込まれ、江藤はその札に目を向けた。



何をかます気だ…?



そして視線を戻すとスキャットマンが錫杖を突き立て、目を閉ざし、何やら念じはじめた。



その念じた瞬間



投げ入れられ、床に貼りついた4枚の御札が浮き上がり回転しだした。



江藤の周りを4枚の札がクルクル回りはじめたのだ



何する気だ…?



触手の一本がオートで螺旋状に宿主を包み込みカバー



旋回スピードをあげながらその輪が徐々に縮まってきた。



江藤が左右に刃物を向け、触手等が前後に向き周囲を警戒した。



この札… 東條の時のように生気を吸い取る術なのか…? それとも爆破系…? もしくわ切り裂く系…?



江藤の頭の中で即座にこの得体の知れぬ不気味な旋風の札が分析され、話し合いが行われたのだが当然答えは見つからず



とにかく注意しろの意見で合致されていた。



そして周回する札の輪が一気に縮まろうとした時だ



スキャットマンが突如目を開き、念を止めると旋回していた札が瞬く間に止まり、ヒラヒラと落ちていった。



一瞬 江藤が舞い散る札に目を向け、スキャットマンに視線を戻すと既にスキャットマンの姿はなくなっていた。



移動かと思われたが 違う 完全に姿を消していた…



床に落ちた札を残し忽然と戦線からドロンした僧侶



江藤が足下に落ちた御札を拾い上げた。



なんでいきなり逃げた…?



何を仕掛けるつもりだった…?



疑問だらけの敵逃亡に後味の悪さを覚えた江藤は御札を握りつぶした。



その直後…



キィン  ザザザザ



床を滑らせたチコ



チコ「ハァ ハァ」



息切れを起こし防戦一方なチコは苦しい表情を浮かべていた。



合間「へっへへへ」



そんなチコに再び刀を振り上げ、襲いかかろうとした時だ



まるでスイッチが入れられたかの様に急に目の焦点が戻り、正気を取り戻した合間



ハッと自ら振り上げる刀を止め、その場でピタリと足を止めた。



合間「な… 一体私目は何を…」



キョロキョロ見渡し、目前に刀を身構えるチコの姿を目にした合間



合間「お… お嬢」



チコ「ハァ ハッ ハ」



一本の触手が伸ばされ、合間の背中に貼りつく御札が剥がされていたのだ



江藤「もう大丈夫 合間さんを狂わせていた正体は今取り除いたから」



合間「お… お嬢 なにゆえそのようなボロボロなお姿に もしやこの私目が…」



合間は何も覚えてない様子だ



慌てて刀を納め、慌ててチコへと駆け寄った。



チコ「ハア ハァ」



いまだ構えを崩さず、肩で息するチコへ歩み寄ってきた合間に対し



チコがギロリと睨みつけた



チコ「馬鹿 大馬鹿よ あんた何やってんの」



そして胸部に強烈なゲンコを喰らわせた。



合間「ハッ め…面目ありませぬ 記憶が飛んでるゆえに何があったのか…」



チコも納刀しながら合間を罵倒した。



チコ「あんたねぇ~ 記憶が無いじゃ済まないんだよ 仲間1人殺してんだからね」



合間「わ… 私目が…」



チコ「そして今さっき あたしの事だって斬り殺そうとしたんだから」



合間「まことですか… 申し訳ありませぬ」



チコ「ホントバカ 隙だらけ ウスノロ ウドの大木 まんまと操られてんじゃないわよ」



合間「ハハァ~ 重ね重ね申し訳ありませぬ」



合間が膝をつかせた。



チコ「バカ バカ ミラクルバカ 何が師よ どこがお目付役よ これもう一枚しか無いのにあんたが切ったんだから」



平謝りで頭を下げる合間に対し、切り裂かれたミニスカートに指を当てながら烈火の如くまくしたてるチコ



すると



江藤「チコちゃん 勘弁してあげてよ 合間さんは悪くないよ」



チコ「いや 悪いわよ 敵に操られるなんてありえない 反省なさい 合間」



合間「ハハァ~ 以後このような失態を二度と犯さぬよう… 真摯に受け止めまする お嬢がお嫁にゆくまでは傷1つ無いキレイな身でいられるようしっかりお目付とお守りを致しますので何卒お許し下さいませ」



チコ「守ってくれるのはありがたいんだけど監視はやめて」



合間「いえ お目付も父方様がお亡くなりになる直前に遣った最後の責務でありますがゆえ 止める訳にはいきませぬ…」



チコ「あんた全然反省してないじゃない じゃ~許さない」



合間「それとこれとは話しが別でありまする…」



チコ「ならこのスカートはどうしてくれんのよ」



土下座する合間の頭に人差し指で何度もツンツンと突き立て更に憤慨するチコ



江藤「もう2人共 その辺にしときなよ」



それを苦笑いで目にしながら江藤が皆の元へと歩み寄った。



江藤「みんな平気ですか? 奴ならもう逃げたよ」



唖然とする七海、中野、三ツ葉、及川達



江藤「殺るつもりだったんだけど…討ち損ねたわ~ 悔しい」



すると麻島が



麻島「1つ聞きたい事がある あんな不思議な力を使う強敵と… レジスタンスの諸君は今まで何度も交戦してきたんだな?」



レジスタンスである石田、中野、七海等にそう問いかけた。



石田「いや あんな奴は知らない 知ってる?」



中野「いや 俺も知らない 初めて見る奴だ 七ちゃんは?」



七海「私が知る訳ないじゃん」



麻島「そうか… 新参者とは思えないがな」



江藤「きっと今まで裏方で身を潜めてたんだろうね しっかし敵さん方にはあんはヤバいカードがあったなんて びっくりだよ そいつが表舞台に出てきたんだ それにあれ程悪意に満ちた相手 ほっとく訳にはいかない」



海原「あぁ っかしさっきのはどんなマジックだったのか」



江藤「いや あれはマジックなんかじゃない ガチもんの妖術だよ」



三ツ葉「ほぉー 妖術とはまた 先程見たのは全て本物だと 妖術はこの世に存在するって事ですかね」



江藤「だと思うよ 俺は見たまんま 感じた事を言ってるだけだけどね」



海原「おいおい… 魔術の次は妖術かよ 俺にはついていけないぞ」



江藤「でもあり得なくも無い話しだよ よく聞くでしょ 人間の脳は約30%しか活動してないって 70%は眠ってる状態だって話し」



石田「それ聞いた事ある ナイトヘッドって映画で」



中野「ナイトヘッド?」



石田「かなり昔の映画だよ 確かあれは超能力系だったかな… 最近の映画なら洋画でルーシーとか」



中野「それって超能力の話しでしょ」



江藤「魔術も超能力も根底は同じなんじゃないかな ならこれは聞いた事ある? この世にある全てには意味がある 無意味な物、出来事に偶然なんて無い 必ず何かしら意味があるからこそ存在し、全ては必然から成り立っている…って」



三ツ葉「…」



麻島「…」



江藤「もしそうなら… じゃあ眠ってる70%の領域は何で存在するのか? 無意味ならこの考えはおかしいと思わない? もしその領域が活動したらどうなるのか」



七海「…」



江藤「不思議な力を使えるようになるかもしれない その可能性は否定出来ない」 



三ツ葉「ほほ そこを紐解けば誰しもあのように不思議な力が使えると そうおっしゃる訳ですね」



江藤「あくまで自論だけどね 解放するやり方がちゃんとあって それを知り訓練を積めば誰でも発動出来るんじゃないかな そのやり方を俺達がただ知らないだけで 俺が思うに魔術にしろ妖術にしろ呪文が発動の鍵になってるんじゃないかと」



三ツ葉「なるほど」



江藤がみんなを見渡し、急に焦り顔で口にした。



江藤「あ!ごめん 何か熱く掘り下げちゃったみたいだけど 当然俺は答えは分からないから…」



麻島「まぁ そもそも何が起きても驚かない世の中だ」



麻島が江藤の背中から生えた触手を指さし口にした。



怒りを静めたチコと合間も一緒に戻りサークルが出来上がると



麻島「次のステージに進むとしよう だが…その前に」



麻島がふと動き出し



干からびた東條の死体前でしゃがみ込んだ



そして目を瞑り、合掌するや次に首無しの恩田の前で手を合わせ、続いて茅ヶ崎に弔いの動作を行った。



麻島「死んだ仲間の為にも… この戦争負けられない 敵は容赦無いぞ みんなそれを肝に銘ずるんだ」



一同頷いた。



そして麻島が立ち上がり一声を発した。



麻島「よし 進もう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る