第192話 閉眼

マツ班



マツの出発進行の合図で森の中へと進入していく一行



美菜萌、山口、鈴木の3名が先導



「うぅぅぅうう」 「ああぅううう」



前方左右からゾンビが現れると



パス パス



ゾンビの頭部が撃ち抜かれ沈んでいった



山口、鈴木が出現と同時に素早く発砲し、行く手を阻むゾンビを駆除していく



それからマツ、純や、青木、臼井、榊原、吉田、佐田、船木と続き



後方にエレナと村田が続いた。



マツ「このまま前進していけば目的地に到着する」



山口「距離は?」



美菜萌「およそ1キロから1、5キロ程です」



山口「了解した」



「うぅぅぅうう」 「わぁぁあああ」



そこら中から響いて来るゾンビの声に左右へ銃口を向け、警戒しながら進んで行く一同



最後尾に位置するエレナと村田は後ろ歩きで後方警戒に努めた。



村田「ここに来てから森の中ばっかだな」



後方から這いずるゾンビ、ノソノソ歩むゾンビが現れ、即座に銃口が向けられるがこの速度なら追いつかれる恐れも無いと踏んだのだろう



2人はそのままシカトし、会話を続けた。



エレナ「それだけ自然豊かな土地って事でしょ いい所じゃない 奴等もこのゾンビ達もいなかったら」



村田「エレナは確か博多かどっかだったな 都会っ子が田舎暮らしに憧れか 都会に慣れてる奴にはこうゆう場所は絶対無理だ コンビニも街まで行かなきゃ無い不便な場所だぜ1ヶ月ともたねぇよ」



エレナ「失礼ね そんな決めつけないでくれる そんな事無いから でも ホントいつかはこうゆうのんびりゆったりとした所に住みたいなと思ってる」



村田「老後の余生じゃあるめぇし 俺は絶対やだね 夏になればそこら中 虫、虫、虫ばっかだぜ こんな田舎御免だわ」



エレナ「まぁ この世からゾンビが消えたらゆっくりと考えましょ」



村田「あぁ そうだな」



パス  パスパス



行く手を遮るゾンビを始末しつつ



エレナ達はゾンビだらけの森をひたすら進んでいった。



そして1キロ程進んだ辺りだろう



木々の合間から建物らしき物がうっすらと見えてきた。



先導する山口が足を止めマツに確認する。



山口「見えた あれか?」



前方を指さす山口、マツが目を凝らすや小さく映る建造物らしき物を目にした。



マツ「あれだ あぁ 間違いないだろ にしてもデカそうだ」



皆も足を止め、目にした。



純や「公共施設じゃないんだよね 一軒家なの?」



マツ「そう聞いてる」



山口「たいそうデカい屋敷と見える」



すると



エレナ「えぇ 豪邸よ あそこに山吹はいる」



後方から出てきたエレナが皆にそう告げた。



エレナ「そして道や早織ちゃん、臼井さんや柊さんの囚われたご家族もね」



美奈萌「…」 臼井「…」



マツ「その口ぶり 確信でもあるのか?」



エレナ「いえ 確信は無いけど何となく」



山口「ただの勘か?」



エレナ「そうです」



純や「でもエレナさんの勘ってあてにしていいと思うよ」



山口「…」 鈴木「…」 青木「…」



更に一歩前に出たエレナが建物を眺めながら呟いた。



エレナ「じつは私 つい最近あそこに行った事があるんです」



村田「…」 純や「…」



マツ「何?」



エレナ「美菜萌さんや七海さん、早織ちゃんと温泉に出掛けた時に一度」



美菜萌「え? あの時に…」



ハッとさせた美菜萌が辺りをキョロキョロ見渡した。



あ! あの辺が峠… 



美菜萌「展望出来るあの高台の所ですね」



エレナ「うん あの先を進むとあの屋敷があったの」



美菜萌がマツを目にした。



美菜萌「冷水峠の展望スペースらへんです あの時 付近で不審な黒フードの行動が見られて、エレナさんが単身調べに行った事があったんです 確かに道はありました こんな屋敷があるなんて知りませでしたが まさかこんな所に山吹の隠れ家があるなんて」



マツ「何故黙ってたんだ? すぐに情報はあげろ」



美菜萌「あ はい すいませんでした」



エレナ「黙ってて御免なさい」



マツ「なら屋敷の内部には詳しいんだな」



エレナ「いえ ごめんなさい よくは知りません 調べようと思った矢先に 万頭と出くわして、それから…」



エレナの口がいきなり止まった。



マツ「それからどうした?」



エレナ「うん… みんなに信じて貰えるかどうか… じつはありえないサイズの熊と遭遇したんです」



山口「熊?」



マツ「この辺りには熊ぐらい出る」



エレナの口から飛び出た熊のワードに敏感に反応を示した美菜萌と青木



青木「それってツキノワ熊じゃない?」



エレナ「そう え! まさか青木さんも」



青木が頷き



美菜萌「私も見ました」



エレナ「え!? 美菜萌さんも」



マツ「ちょっと待て 何の話しだ」



美菜萌「マツさん この件も黙ってて申し訳ございません じつはこの森には通常のサイズを遥かに越える巨大なツキノワ熊がいるんです 多分私達が見たのもエレナさんのと同じかと」



鈴木「デカいってどれくらいの大きさだ?」



エレナ「2メートル越え…3メートル近いかも」



美菜萌「はい それくらいはあるかと思います」



山口「2メートル越えだと? 化け物だぞ」



マツ「シャトゥーンか」



純や「シャトゥーン?」



マツ「日本で一番有名な熊事件を知ってるか? 三毛別羆事件 通常熊とは冬眠する生き物だ だが稀に身体が大き過ぎて穴を持てずに逃す規格外がいる そうゆう熊の事をアイヌ語でシャトゥーン 穴持たずと呼ばれている」



純や「へぇ~ やばいねそれ」



佐田「…」



マツ「史上最悪な獣害事件の穴持たずの体長は3メートル近かった つまりそれに匹敵するデカさだ しかもそれはヒグマだ ツキノワ熊じゃない」



美菜萌「はい ヒグマはツキノワと比べて比較的大きな種類です 百歩譲って考えられるとして 今回見たのはツキノワ熊です しかも2メートル級… やはり普通では考えられない大きさです」



純や「そんなデカい熊 目の前にしたら小便ちびっちゃうな」



吉田「…」



マツ「本来もう冬籠もりを済ませてる熊 冬は寝てる筈の熊が活動してるって事がどうゆう事か分かるか?」



鈴木「腹をすかせる」



マツ「その通り 食料の乏しい冬の森だ 食い物などある筈も無く 獰猛かつ狂暴な性質になるのは想像がつくだろ」



純や「腹が減ったら人を襲うか」



エレナ「そんなのが3頭もいるんです」



その言葉にマツや山口、鈴木、純や、臼井、村田が驚きの表情を浮かべた。



マツ「一頭だけじゃないのか…」



エレナ「はい」



村田「…」 臼井「…」



青木「その内の一頭はもう一回り大きいんだ」



鈴木「それよりデカいって…」



山口「想像もつかないな」



純や「スゲェーヤバくない そんなんがこの森ウロウロしてんの」



榊原「…」



マツ「その熊の件は分かった とりあえずそれは置いといて ひとまずあそこへ向かう それが先決だ みんないいな?」



皆頷き



マツ、山口、鈴木が先頭に立ち再び歩を進めた。



そして一行は行進をはじめた



100メートル程前進



青木がふと立ち止まり辺りを見渡した。



気づけばあれほど五月蝿った筈のゾンビの声は遠のき、辺りからゾンビの気配が消えていた。



青木は懐からタバコを取り出し、一服した。



ライターで火を点け、フゥ~



煙りを吐き出した。




次の瞬間



静寂を取り戻した森の中、歩を進める先頭3人の足がピタリと止まり、マツが後続に止まれの合図を送った。



すぐさま榊原が中継で後続に止まれのシグナルを伝達



すると続け様 



3人がいきなりしゃがみ込み マツから隠れろの合図



榊原が中継で受け取りジェスチャーを送るや



マジか…



最後尾に位置する青木がタバコを咥えながら慌てて木の陰へと隠れた。



またエレナ、純やも素早く身を隠し純やが小声で口にした。



純や「どした?」



榊原、吉田も岩陰へと隠れ



青木の元に滑り込んできた美菜萌が



美菜萌「消して」



青木の咥えるタバコを取り、地面にこすりつけた。



青木「どしたの?」



美菜萌「分からない…」



木陰から顔を覗かせ状況を探る美菜萌



各自 身を潜ませ



何やら一行に緊張が走った。



先頭に位置するマツ、山口、鈴木が前方に目を凝らすや



山口、鈴木が左右に分かれて木の陰へ



マツもすぐ後ろの木の裏へと隠れた。



エレナ、純やが同じ幹の陰に隠れ



美菜萌と青木



榊原と吉田



臼井も慌てて枯れ草の陰にしゃがみ込んだ



それぞれがそれぞれに身を潜ませた。



ザッザッ



足音をたて何者かがこちらに向かって歩いてきたのだ



ソッと覗き見る山口、鈴木、マツの視界には…



サロペット姿の男とニットのセーターを着た男の2人組



真っ直ぐこっちに近づいて来る



トンカチと中世ヨーロッパの長柄槍 ギサルメを手にし



おかしな足取り、挙動不審な様子の2人組



2人の町民だ



まだこっちの存在には気づいていない…



潜む山口が銃口をそっと向け、暗殺の許可をマツに求めた。



俺が射殺する… いいな?



そうアイコンタクトを交わした。



だがマツは首を横に振った。



山口はサブマシンガンを引っ込め



何故…?



眉間にシワ寄せ怪訝な表情でマツを目にした。



ザッザッ



近づいて来る足音に先頭左右の木陰に隠れる山口と鈴木が耳を澄ました。



距離 5~6メートル



鈴木がホルスターからごっついコンバットナイフを抜いた。



ザッザッ



緊張に包まれ、すぐ近くまで迫る足音



山口と鈴木が視線を合わせ



2人を殺れ…



鈴木が軽く頷くやナイフを構え、木陰から飛び出そうとした直前



ザザ



マツが飛び出し2人組に向かって行った。



バコン



小銃のハンマー部分で鼻っつらをド突く



不意打ちで打撃を受けた町民はギサルメを持ったまま一発KO



失神、大の字に倒れた。



もう1人の町民がマツを目にするなりトンカチを振り上げ、襲いかかってきた。



ブン  ブン



マツが振り回す打撃を避け



もう一振りしてきた所を未然にキャッチ、手首の関節をキメ、そして捻った。



「ぐいぃ」



トンカチが手から離れ落下



マツがそのトンカチを蹴っぽると同時に今度は背後へと回り込み、ガッチリチョークスリーパーをキメた。



「ぐぐぐぅぅ」



完全に喉輪をキメ、後ろ足で引きずりながら絞め落とすマツ



腕や脚をバタつかせ、暴れている



だが20秒程でそれは静まり、ダラリと腕が垂れ落ちた。



そして完全にオチ、町民は気を失った。



それを目の当たりしていた山口と鈴木が木の陰から現れ、鈴木が皆に隠伏解除の指示を出す



そして2人がマツの前に出てきた。



マツ「たったの2人相手だ なにも閉眼させずともこうやって無力化出来る」



鈴木がホルスターにナイフを仕舞う



山口「今はオチてるが息を吹き返せばまた襲いかかって来る それでは再び脅威になるだけだ」



鈴木「あぁ 理解は出来る 可哀想なのは分かるがでもいっそ殺した方がそいつらの為であり俺達の為にもなる」



マツ「自衛隊は専守防衛がモットーじゃなかったのか?」



鈴木「俺達はもう自衛隊じゃない 今はザクトだ」



マツ「ならザクトとは無抵抗な民を虐殺する部隊なのか?」



鈴木「そいつは敵だ 無抵抗な民とは違う」



マツ「敵か…… 確かに敵なのかも知れない… だが自分の意志でそうなったか 操られてるかでは意味合いが異なる」



鈴木「屁理屈だ 敵は敵だろ」



食ってかかろうとする鈴木が山口に制された。



口論する3者をエレナ、純や、村田等が目にし、心配そうな顔で美菜萌がマツの元に駆け寄ろうとした時…



マツ「この町民も洗脳が解ければ俺達と変わらぬ人間なんだ 必ずこいつらを元に戻す だから安易な殺生は控えて貰う」



山口「信念を持つのはかまわないが その内 その甘さに足元をすくわれるぞ」



マツ「あぁ そうなるかもな それも覚悟のうえだ」



マツがチョークの手を緩め、町民を手放そうとした瞬間



ブン



木々の間を何やら一直線に飛来する物体



グサッ



マツ「うっ…」



マツの身体が衝撃で前に押され



突如 町民の胸部を貫き、先部が飛び出してきた。



いきなり身体を突き破り現れた物体に驚き、後ずさる山口と鈴木



鋭き血塗られた先端から血が垂れ



マツ「ぐふっ」



マツの口から血が吐かれた。



山口、鈴木が視線を向けると



銛…



マツ、町民もろとも串刺す巨大な銛を目にした。



マツ「がは」



皆の前で大量に血が吐かれ、マツが倒れ込んだ



臼井「なんだ…」



マツの背中に突き刺さる銛を目にし、固まる一同



村田「クソ」



村田が森の先へとMPを構えた。



直後



エレナ「マツさあぁぁぁ~ん」



美菜萌「マツさぁぁぁぁぁん」



エレナと美菜萌の口から一斉に悲鳴にも似た叫び声があげられ、倒れたマツに駆け寄った。



美菜萌「あ… あ 」



エレナ「そんな… やだ…」



マツ「ゴブゥ し… ゴホォ しくじった…ようだ」



美菜萌「い… 嫌です てて手当てすれば だ大丈夫ですから」



町民とマツから流れた血で美菜萌の支える手は一瞬にして真っ赤に染まり



手は震え、唇も震えている



その間



銛の飛んで来た方向に銃を身構えた山口、鈴木、村田の3名



マツを囲むエレナ等の前に出た純や、臼井、佐田、榊原



純や「チキショー どっからこんなデカい銛をブン投げてきやがった」



純やが瀕死なマツに振り返った。



マツ「ぐふっ 美… 美菜…」



美菜萌「はい」



マツの右手をギュッと握り締めた美菜萌



マツが左手をあげ、美菜萌の頬に触れようとした。



パクパクと口を動かし何かを言おうとしている



だが



マツ「ガバッ」



口から大量の血が吐き出され言葉に出す事が出来ず




一言だけ



最後の力を振り絞り一言だけ発した。



マツ「美… 頼むぞ…」



そして頬に触れようとしたその手が無情にも垂れ落ち



目を開けたままマツが絶命した。



美菜萌「ぅぅ… うぅぅ」



両手でガッチリ握る拳に額を押し付け、シクシクと泣き声をあげる美菜萌



作戦開始早々命を散らしたマツ



マツ班のリーダーでありレジスタンスのリーダーでもある松尾の死すに誰しもがショックを受け、悲しみに包まれる



だが… そんな悲しみに暮れる間もなく…



土にぶっ刺された銛を引き抜く筋肉質な腕



およそ5~6キロはあるだろう巨大な銛を肩に担ぎ槍投げのフォームで構える男の姿があった。



そして山口、鈴木、村田が前方を警戒するさなか



木の陰から飛び出して来たと同時に男が力強く銛を放ってきた。



山口「チィ」



ブン



村田「やべ」



巨大な銛が野球ボールのように一直線にエレナ達目掛け飛んできた。



素早く反応した山口、鈴木、村田は左右に回避



またいち早く気付いた純やがエレナを押し倒し、伏せると同時に背後から現れた青木が美菜萌の腰に腕を回し地面へと倒れ込んだ



ブン



隊に襲いかかって来た一本槍に……



グサッ



誰かが捕まった…



回避し遅れ、銛が突き刺さったのは…



純や、青木、村田、榊原、山口等が視線を向けた先



船木の顔面に銛がジャストミート



顔部に大穴が開き、突き刺されていた。



ドサッ



即死した船木の身体が沈み



早くも死者が2名



鈴木「クソ 何奴だ」



再び前方に目を配った時



ガシャ ガシャン



擦り合う金属音を響かせ、兜、胴部から下半身太腿部まで金属に覆われた1人の男が歩いてきた。



西洋の鎧 プレートアーマーに身を包み、3メートルはあると見られるポールウェポン(長柄武器)



ハルバード(槍斧)を2本双手



ガシッ カシャン



悠々とエレナ達の前に鎧の男が見参された。



同刻 場所不明



血で描かれたペンタグラムの魔法陣の随所に蝋燭が灯されたある一室



山吹「ラームラーム ベリエルエレクレステム ソー デリ クレイムダストゥール…」



その魔法陣の真ん中に1人佇む山吹が、何やら不気味なスペルを口にしていると



「失礼します 代表」



室内に1人の黒フードが入って来た。



山吹「…なんだ 典儀の最中だぞ 貴様 生ける傀儡と化したいのか?」



「ご… ご無礼を申し訳ございません 先程またスキャットマン様より伝令がございまして」



山吹「なんだ… 言ってみろ」



「ハッ サタナキアとここの結界内に2グループの侵入が感知されたとの事です」



山吹「ほ~ 馬鹿共がやっときたか っで数は?」



「2グループ共に十四五名程の少数部隊だそうです」



バタン



書物が閉ざされ



山吹「軍隊を引き連れて来るからどんなものかと思いきやそれしきの数で攻めいろうとは ガッカリさせてくれる… はたまた心底舐められているのか」



「…またその1グループで早くも2匹が始末されたようです その内の1匹があのレジスタンスのリーダーであると…」



すると



山吹「なに? あの老いぼれが死んだのか?」



「はい… スキャットマン様からそのように報告を受けてます」



山吹「ふ… ふふふ  ふははははは そりゃあ福音だな ハハハハ そうかぁ やっとくたばったかぁ~ フハハハハ なかなか悦ばしい朗報を持ってきたじゃないか」



「は… はい…」



山吹「分かった 引き続きサタナキアの方は貴様にまかせると伝えておけ」



「ハッ かしこまりました」



そして黒フードが部屋をあとにしようとするや



山吹「待て ちなみにこっちサイドは今 誰がハエ共と遊んでる?」



「は…は はい 現在チャッキー様がお相手を レジスタンスのリーダーの首をとったばかりです」



山吹「なるほど チャッキーか… 分かった もういい 行け」



「はい 失礼致しました」



バタン



ふ…ふふふふふ…



目障りなハエ共の頭領が死んだか…



愉悦…



おもしろくなってきたじゃないか…



そうだな… もう少し面白くしてやろう…



山吹が魔導書を開き、手をかざすや呪文を詠唱しはじめた。



われが何者なのか…



今一度思い知らせてくれよう…



もう一度思い出すがいい…



山吹「サーヴェム イグリート グリエ インフェ ル ビト グリミアグリミン グリトスグオリコ…」



我は生の身、死の身を司る操者…



ネクロマンサーなるぞ…



山吹「さぁ 土の中でもがく亡者共よ 悪霊の力を借り、這い上がるがいい そして我にたてつく愚か者共のその肉身を骨の髄までしゃぶりつくすといい」



山吹がかざす掌をギュッと握り締めた。



山吹「フハハハハ」



さぁ 何人この屋敷まで辿り着けるか見ものだな…

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