第171話 赤子

脱出を逡巡(しゅんじゅん)する御見内の目にベタ踏みされてるだろう大きな走行音と共にヘッドライトが見えてきた。



こんな時間 こんな所に車…



黒フードの連中か…?



ブゥゥゥゥゥゥゥ~~ン



御見内が近づいて来る車に着目するや、玄関前に貼り付くゾンビ、庭を徘徊するゾンビ、農道、畑を歩行するゾンビも音に反応



一挙にその音へ振り返る



そして玄関の殴打を止め、途端にゾンビ達がそこから離れはじめた。



農道、畑を歩むゾンビもぎこちなく方向転換



ゾンビ達がその走行音にいざなわれ、家から離れはじめたのだ



前方の一般道を猛スピードで向かって来る車



近づくヘッドライトが激しく揺れ



ハンドルを取られてるのか…?



蛇行運転してるのか…?



やけに走りがおかしい



家を離れて行く集団とその車を交互に目を配り、注目していると



ブウウウウウウ~~~~ン キィィ~



その車が御見内の目の前を通過後、やはり蛇行運転してるがはっきりと分かった。



車はそのまま皮膚科クリニックの前をも通過



そして 通過し、去りゆく車を見送る御見内の前で



病院から約100メートル程進んだ辺りで突如車がスピン



キィィィィィィ~



あっ…



タイヤの摩擦音を響かせ360度回転した車が街灯の柱にクラッシュした。



ガシャ~



静寂した夜に今度はクラッシュ音が鳴り響き



ガシャ~~~



へし折れた街灯がボンネットを潰す音が鳴った。



あっ……



ベランダから身を乗り出す御見内の目の前で事故ったのだ



気づけば家から完全に奴等はハケている。



畑をつっきり車を目指すゾンビの集団を目にした御見内はベランダの手すりから飛び降り、屋根つたいに、物置らしき屋根へと飛び移り、庭の芝生へと着地した。



それから奴等に気づかれぬよう農道をダッシュ



走りながら気掛かりな事故車に目を向けるや車体からは火があがり、炎上していた。



そして次の瞬間



「オギァ~ギャ~オギャ~オギャ~オギャ~オギャオギャ~」



足を止めた御見内の耳に



赤ん坊の泣き声が響き渡ってきた。



音を立てずに静かに開けられたシャッター



ゴロゴロ転がりながら中へ入りすぐにシャッターが閉められた。



ポン吉「いてて いていて あ!御見内さん」



ソファーには上半身裸に包帯を巻かれたポン吉が座り、三ツ葉が骨折した箇所の固定を行っている。



御見内が無言で手のジェスチャーを送り奥の部屋へ進むと、入口付近には腕を組む村田



村田「遅いぞ 何かあったのか?」



ゾンビに襲われた件を話そうかとも思ったがみんなに余計な心配をかけたくない…



御見内「いや 特には 探すのに少し手間取った アイスピックはなかったけど…」



ドライバーやトンカチを手に取り部屋へ入るなり



御見内「今 戻った」



エレナ「もぅ 遅い」



マツ「やっと帰ったか 遅いぞ 御見内」



急を要する状況、臼井はナイフをアイスピック代わりにハンドガンをトンカチ代わりに既に処置に取り掛かっていた。



エレナ「道 遅いよ もうそれ要らないから」



御見内「え~ マジ…」



危険を冒して折角取ってきたのに…



臼井「いや まぁ そこに置いといてくれ」



御見内「あ… あぁ…はい」



テーブルにドライバーやトンカチが置かれ



御見内「どう? 助かりそう?」



臼井「あぁ 硬度はやはり氷だな  全部切除出来そうだ」



御見内「なら小泉さんは助かるんだね?」



臼井「何とも言えんが今身体を温めてる 体温計ではかったら体温も少しずつだが上がりつつあるし これならいけるだろう」



御見内「良かった… そっちは」



真剣な表情で傷口を縫いつけるマツ



その傷口をライトで照らすエレナが強めな口調で口にした。



エレナ「もぅ 今大事な所だから話しかけないで」



御見内「はい…」



何故か怒られた御見内が村田と目を合わせるやそのまま静かに部屋を退出



御見内「ちょっと…」



退出間際に村田の肩が掴まれ、一緒に外へ出た。



村田「どうした?」



御見内「ちょっと手を借りたいんだ 一緒に来てくれる」



壁に立てかけられた和弓と弓矢の入った筒を手に取った御見内



村田「え?」



ーーーーーーーーーーーー




直撃した電柱、ボンネットから天井にかけU字にヘコみ、車体からは炎が上がっている。



「オギャ~ ギャ~ウギャ~ オギャ~~オギャ~」「沙耶ぁ~ 沙耶ぁ~」



炎上した車から1人の女性が引きずり出され1人の男性が何度も名を叫んでいた。



夫婦であろう2人



女性の頭部から大量に血が流れ、目を閉じたまま返事無き横たわる妻



男性の手は赤く染まっている



「沙耶ぁ~ うぅ 目を開けてくれよ… ぅぅぅ」



打ち所が悪く、恐らく即死だろう妻の遺体を抱きしめ涙を流す夫は涙を拭い赤ん坊の様子をうかがった。



母親に守られ無傷と思われる赤ん坊



首が据わるか据わらないかの生後3~4ヶ月の赤子を抱っこヒモから取り出した男性



「オギャ~オギャ~オギャ~オギャ~」



男性は元気に泣く赤ん坊を抱えたまま立ち上がり、亡き妻を見下ろした。



そしてその場から離れようとした時だ



「あぁぁぁ~ こっちは1時間10割の明朗で良心的な利率でやってんだ年利で換算すると70万とんで…」



夜道から襲いかかってきた感染者



「うわぁあああああ」



猛ダッシュで迫り来る感染者に顔が青ざめ



「フギャ~ ンギャャー ンギャャ」



泣き止まぬ我が子を抱えたまま父親はその場から逃げ出した。



「…6000%だ 過払い金? 弁護士? クソ食らえ 何としても全額取り立ててやるから覚悟しやがれババァ~」



「ハァ ハァ うわぁああ~」



大声でまくしたて、追いかけて来る感染者



「ハァ ハァ」



見る見るその距離は縮められ



焦った表情で父親が後ろをチラ見、振り返った瞬間



父親の背後にしがみついてきた。



そしてうなじ付近の頸部へと噛みつき



ブシャャ~



食いちぎられた



「ぐぎぁああああ」



感染者に押し倒される形で転倒



倒れつつも父親は咄嗟に我が子を庇い、倒れ込んだ



そして亀のように丸まった父親に覆い被さってきた感染者が再び首筋へとかぶりつき



肉を食いちぎった。



「んぎゃ~ ンギャャ~ オギャ~」



「ぎぁぁぁぁああ~」



赤子の泣き声と父親の苦痛な叫び声があがる中



口元を赤く染めた感染者はモグモグと咀嚼



今度は衣服の上から背中へとかじりつき



衣服ごと肉をかみちぎった。



「ぎあぁぁぁああ~」



「ンギャャー フギァァ~ ンギャー」



父親は食べられながらも我が子を守ろうと防御の姿勢を崩さず



涙目で懐の我が子に目を向けた。



次の瞬間



ブシャャ~



今度は耳に噛みつき、引きちぎられた。



もう言葉も出ない程の苦痛に全身が震え、悶絶した父親



首から流れる大量出血で目が霞んできた。



沙耶……  遼太郎…



父親が心の中でそう名を叫んだ時



ドカッ



感染者の横っ面に蹴りが打ち込まれた。



感染者の身体はふっ飛び



ザザザザ~



アスファルトに身体を打ちつけた。



背面から強烈な左回し蹴りを見舞ったのは御見内



村田「おい 大丈夫か?」



村田が倒れ込んだ男性に駆け寄り、身体を仰向けに起こすや、血まみれで虫の息な男性、また男性の下に血を被りし赤子の姿を発見した。



村田「な…」



一旦は止んだ赤ん坊から再び泣き声があがる



「フギァァ~ ンギャャ~」



グサッ



その間 転げた感染者の頭に突き刺された小槍を抜いた御見内が近寄る



村田「おい 赤ん坊がいるぞ」



御見内「分かってる これだけ泣き喚いてる声聞かされてるんだから」



すると



虚ろな目の男性が力を振り絞り、口を開きはじめた。



「おね……いします  う…ち…ゴブゥ…の…子……供」



御見内は男性の前にしゃがみ込み、ジッと見つめた。



耳、喉元が食いちぎられている…



男性の負傷箇所に目を向け、勢いよく流出された血痕からして…



もうこの人は助からない…



御見内、村田は必死に何かを伝えようとする男性の言葉に耳を傾けた。



「ゴフゥ…を…助け…て……くだ…ガバァ…さい」



喋る度、口の中から血が溢れる男から最後の伝言が送られる



「………りょうた…ろう…こ…の子…ブハァ…この…子の…名です」



村田「りょうたろうだな 分かった もういい 喋るな」



御見内は男性の手を握り締め、口にした。



御見内「大丈夫 あなたの息子さんなら俺達にまかせて下さい」



男はその言葉を受け、うっすら微笑んだ



「あ…りが…と よか……った ガハァ……息子をたの」



そして



ついに尽きてしまったか? 男性の言葉が途中で止まってしまった。



オギャーオギャー泣き声をあげる大事な息子を残し、また見ず知らずの御見内、村田に看取られながら男性は死亡した。



御見内はすぐさま泣きじゃくる赤ん坊を拾い上げた。



村田「おい その赤ん坊どうすんだよ?」



御見内「どうするもこうするも、連れ帰るよ」



村田「まぁ そうするしかないよな」



そして御見内が赤子を抱え、2人して立ち上がった時だ



御見内、村田が同時に後ろを振り返った。



「うぅぅぅううう」 「あぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁあ」



30メートル程先では完全に火に包まれ、炎上する車



その火の明かりに照らされ屍鬼の集団を目にした。



「うう ぅう うぅぅ ぅう」



一般道のアスファルトは勿論の事 畑を突っ切って向かって来るゾンビ共



四方八方から奴等が接近してくる



村田「御見内 一つ聞いていいか?」



御見内「どうぞ」



村田「これ… ヤバくねぇか?」



御見内「そうかい」



村田「そうかい?どう見てもやべぇだろ この数… 病院に戻れねぇぞ どうするつもりなんだよ?」



御見内「……」



ざっと見渡し



数にして50… いや70は下らないか…



このまま病院に戻れば、当然後を追けてきた奴等に囲まれ、建物に張り付かれる…



そうなれば当分は身動きが出来なくなる…



「ンギャャー ンギャー」



抱かれ、泣く赤子に目を向けた御見内



「フギァァ フギァァ~」



だけど… この子をいつまでもこんな寒空には晒せない…



今はあそこに戻るしか無い…



それからクリニックがある建物に目を向けた御見内



距離200メートルくらいか…



行くしかない…



決断した御見内が口にした。



御見内「村田さん 正面突破で戻ろう」



村田「正気かよ? いくらウスノロのゾンビだとしてもこの数だぞ」



御見内「別に全体相手にする訳じゃ無い ルート間の奴だけこじあければいいんだ」



村田「そうだけどよ… 真っ正面から向かってくなんて気が引けるぜ」



すると



御見内「なら村田さんがこの子を」



御見内が村田に赤子を手渡した



村田「お…おい」



村田は慣れない手つきで赤子を受け取り



御見内「この子 まだ首が据わって無いから首 気をつけてよ」



村田「うん?首が据わって無いって何だ?」



御見内「いいから慎重に運んで」



村田「あ…あぁ わぁ~た 御見内 これ使え」



村田が小銃を差し出してきたが



御見内「いや それサプレッサーも付いて無いからいいや これ使うから」



小銃を拒否した御見内が和弓を手に取った。



村田「馬鹿言え そんな弓だけで何が出来んだよ いいから使え」



御見内「そんな発砲音奏でたら広範囲に鳴り響いて、減らすどころか益々呼び寄せちゃうよ それにこっちの方が使い勝手がいいんだ」



村田「このガキの泣き声で十分俺達の存在アピールしちまってるわ」



御見内「村田さん 用意いい?」



村田「あぁ いつでもどうぞ」



御見内「行くよ」



ゾンビの群れに正面から強行突破を図る2人



目指すは200メートル先の病院



2人が駆け出すと同時に…



「旦那さんに内緒で横田さんと鬼怒川温泉に不倫旅行行った奥さま~ 回覧板お届けで~すよ~~」



後ろから押し倒されるゾンビやよろめくゾンビ



回覧板を頭上で激しく振り回しながらゾンビを押しのけ、1体の感染者が突っ込んできた。



御見内はただちにブレーキを掛け立ち止まるや、弓をフルドロー(アーチェリー用語 目一杯弦が引かれた射出前の姿勢)



しっかり狙いを定め



初撃の第1矢を放った



シュ



一閃のジェラルミン矢がライナーで飛んで行き



グサッ



感染者の額に見事的中



感染者はずり落ち、滑らせながら転倒、無に帰(き)した



御見内が駆け、村田も再び駆け出す



村田は側面に視線を向け、畑や歩道を渡って来るゾンビをチラ見した。



村田「クッ」



一般道を真っ向から突っ込んで行く2人



道路に位置するゾンビの数は多いがまばらで間隔も空いている。



2人は先頭をユラユラ歩行するゾンビをサイドから颯爽と横切って行った。



「あぁぁああぃ~~ん」



相手されぬゾンビは不気味な声をあげ鈍い動作で振り返るが、既に御見内等は手の届かぬ距離



2人はそのまま群れの波へと進入、素早き身のこなしでゾンビの合間をすり抜けて行った。



ジグザグに1体、2体をかわしグイグイ進んで行く御見内のすぐ後を追う村田



御見内の後ろ姿を目に村田は驚きの表情を浮かべていた。



こいつ… 普通じゃねぇ…



こいつには… ゾンビに対しての恐怖心ってのがマジ無いのか…?



普通の奴ならまずここに突っ込まない…



違う手段を考える筈だ…



ゾンビの群れに突っ込もうなんて発想するのは岩渕チームのイかれた犯罪者達か東本部の刀刃隊だけかと思ったが…



ここにもこんなイかれた野郎がいやがるとはな…



こいつマジで何者なんだよ…



村田は赤子を肌身放さず、離されず、御見内について行った。



走行中 左側に燃え盛る車両が近づいて来た時 御見内の目にある物が触れた。



すると



御見内「村田さん ちょっとこっちに」



御見内がいきなり進行ルートを変えだす



村田「お… おい どこに…」



火災の明かりに照らされたある人集りに



その人集りとは無論ゾンビだ



3体のゾンビ達が横たわる遺体に群れ、食していた。



そして御見内がそいつらに近づくや人集りの顔が一斉に上がり、こっちに振り返った瞬間



バコ



ゾンビの顔面にトーキックが入れられた。



跳ね上がる顎



そして続けざま



ドカッ



隣りで立ち上がろうとするゾンビの胸部に前突き蹴りがくわえられた。



吹き飛ばされたゾンビはそのまま燃え盛る火の中へ…



次いで



バシュ



腕の肉を啄み食すゾンビの側頭部へ強烈な左ミドルシュートが打ち込まれる



半分腐った頭部はちぎれ、ボールの様に飛んでいった。



群れていたゾンビを一瞬にして掃討した御見内はしゃがみ込み何やら横たわる遺体をモゾモゾしはじめる



村田「おい 何やってんだよ?」



御見内「赤ん坊の母親だよ」



村田「あ?」



頭部から脳味噌が掻き出され散乱する母親らしき死体から何やら剥ぎ取った御見内



御見内「これだ 必需品だ」



御見内が仏から手に取ったのは…



村田「何だよそれ?」



御見内「抱っこ紐だよ そのベイビーを運ぶのにいつまでも両手を塞がれ抱えてなんていられない 嫌でもこいつが必要になる」



村田「おい こんな時に何考えてんだ ちょっと状況を考えろ そんな物の為に寄り道なんかすんじゃねぇよ 俺やこのチビも殺す気か」 



御見内「分かってるよ でも必ずや必要な物さ さぁ 行こう」



そして再び駆け出そうとした時



「ううぅぅぅうう」



背後から襲いかかって来た1体のゾンビに突如肩を掴まれた村田



村田「チッ」



村田は即座にその腕を振り払い、振り返りざま懐から出された9mm拳銃を額へと押し付けた。



そして引き金をひく寸前、横から飛び出た御見内が先に弓を引いた。



グサッ



至近距離から矢を受けたゾンビの頭は皮一枚で背部にぶら下がり、倒れる。



御見内「生後まもない赤ん坊の耳元でそんなのぶっ放したら耳がおかしくなる」



ほんのわずかな停滞も命取りになる危険な状況下



御見内が矢をセットアップすると同一で



「うわゎゎゎゎわわわ」 「ああぁぁあああああ」



2体のゾンビが並行で迫り、襲いかかってきた。



キリッと目つきを変え、矢のセットを解除した御見内が前に出るや



ドカッ



足止めの加撃



腹部に前押し蹴りが打ち込まれ、ゾンビが弾かれた



同時に逆手で握られた強化プラスチック素材の矢を振り抜き



直接耳へ押し込んだ



鎧袖一触(がいしゅういっしょく)な脆き妨害者の壁は崩れ、道が開くと同時に



その矢を引き抜き、セットアップ



間もなく放射された。



ビュン  グサ



崩れるゾンビのすぐ背後にはもう一体が迫り、そいつの眉間に矢が突き刺された。



御見内「ゴー」



そしてこじあけられた進路を直進



ヒヤッとしたが態勢を立て直した2人は捕まえようと迫って来る奴等、抱きついてこようとする奴等ををかわし、ノロマな奴等を俊敏な動作で次々振り切って行く



どんどん目的の建物まで近づき、あと50メートル程まで進んだ時だ



バコン



突然スマッシュ音が鳴り響き



前方のゾンビの後頭部に直撃



ゾンビの頭部が取れ、転がった。



その横にはコロコロと共に転がるテニスボール



ポン ポン



テニスボールが二度地面をつき、頭上に軽く放られるやしっかりしたサーブフォームから再びスイングされた。



バコン



ビュン



目にも止まらぬフラットサーブの豪速球が今度は御見内の真横を通過、後ろのゾンビの背中へ直撃し穴を開けた。



慌てて後ろを振り向き、前に視線を向ける村田



村田「何だ?」



そして急ブレーキを掛けた2人は暗闇の先へと視線を向けた。



ゾンビの頭と共にコロコロ転がる球は血に染まったテニスボール



飛んで来たのはテニスボールだ そしてスマッシュ音からしてそれは何者かによるサービスエースが打ち込まれてきた…



御見内「恐らく感染者だ」



ポン ポン



リバウンドしたテニスボールを握り、天空にチョいトスするや完璧なフォームから…



バコン



いい打球音が鳴り、スマッシュされたボールが無回転かつ直線的な弾丸ライナーで再び御見内の頬スレスレを通過した。



その球がゾンビの太股に当たり太股はもぎ取られ切断された。



どんだけの威力だ…



一流プロのサービスショット最速スピードは230キロ



だがスピードガンで計測すれば今の球速は280を越えている



ありえない球速だ



すなわちこれを打ってきた当人は当然人間では無いと言う事になる



丁度建物付近に陣取り、横には沢山のテニスボールが詰まったカゴ



ギョロつく異常な目



「デュ デュ…デュース ジュースマッ マッチ マッチ? 近藤マッチング へへ」



そこにはテニスウェアーに身を包みし感染者がいた。

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