第154話 変化

海原「麻島隊長」



麻島「状況を教えろ」



海原「最悪です スペツナズの襲撃によって部隊はほぼ全滅… 徳間も多摩岡も…雅史も… そして太田も… 生き残ってるのは赤塚隊長と私のみです」



麻島「レジスタンスもか?」



海原「はい… あ いえ 3名はぐれてます 向こうのドンパチに巻き込まれてる可能性ありで生きてるかは不明 ここでおち合う手筈でした」



麻島「そうか… 分かった」



海原「助けに来てくれたんですね?」



麻島「あぁ 赤塚と合流 レジスタンスを回収し 撤退するぞ」



海原「待って下さい その前にどうしてもカタ(決着)をつけないといけない奴がいます」



麻島「…」



海原「奴は手負いです 今ここでどうあっても仕留めておかないと」



ガサ ガサ



シッの仕草をした麻島



2人が物音に振り向いた…



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「Все нормально?(大丈夫ですか?)」



肩から血を流したタミルトンと3名のスペツナズ兵が身を潜めていた。



タミルトン「Вы конечностей от конечностей(八つ裂きにしてくれる)」



肩を押さえる手に力が込められ、怒りの表相に満ちたタミルトン



すると…



ガサガサ ガサ ガサ



ーーーーーーーーーーーーーーーー



足音を殺し、静かに移動する赤塚



木を背に周辺を探っている。



敵味方共に動きが止まった…



微かな物音にも注意し、隣りの木陰へと移った。



その時だ



カサ カサ



微かに聞こえてきた音



衣服の擦れるような音が聞こえてきた。



赤塚は身を低くくしその音の正体を探り入れた。



だが ここからでは前方の木が邪魔で見る事が出来ない



赤塚は身を屈めたままゆっくりと移動、木にもたれ、ゆっくりと覗き込んだ



ガサ カサカサ クチャ クチュ



そこには横たわる死体の前にしゃがみ込み背を向けた人の姿



胸部をこじ開け、内臓を食していた。



ゾンビか…



赤塚はゾンビの後頭部に狙い澄まし、射撃しようとした時だ



何やら音に反応を示したゾンビがいきなり頭を上げ、顔を上げ、振り向いた。



その横顔を目にした時



赤塚の目尻が上がり、思わず言葉をこぼした。



赤塚「雅史…」



そう… そこにいたのはゾンビとして蘇った雅史隊員の姿だった



ーーーーーーーーーーーーーーーー



ガサガサ



「うぅぅぅ~~~~」 



苦しむ声を発し、ノソノソ歩く人影が幹に映った。



麻島、海原の元にもゾンビの姿



2人がライフルを構えると



「あぁぁああ~~」



ゾンビが木の陰から顔を出した。



「あ あぁぁあああ~」



ゾンビは2人を見るなり、目と口を大きく開き、興奮気味…



ご馳走が目の前に現れ、虚ろながら輝いてるように見える。



それとは真逆にゾンビを見るなり2人の顔色は急激に曇った



何故なら…



海原「太田…」



そのゾンビは先程死んだばかりの太田…



太田がゾンビとして復活し、2人の前に現れたのだ…



麻島はすぐさま引き金をひいた



だが



カチ



チッ 弾切れか…



マガジンを交換しながら口にした。



麻島「海原 代わりに撃て」



「うわぁああああぁ」



海原「く…」



麻島「早く」



海原「う… 駄目です」



ためらいを見せる海原に語気を強める。



麻島「何してる 早くしろ」



「がぁああああぁ~」



興奮状態な太田ゾンビが襲い来り



2人は後退した。



海原「クソ 何でだ… こんなろくでもない奴に…」



何故か太田ゾンビを前に引き金がひけない海原に



麻島「迷うな 奴はもう太田じゃない ゾンビだ!もう仲間じゃないんだぞ」



海原「分かってます… それは分かってるんですが」



「ううぅぅうぅう~」



チッ



ぎこちない足取りながらも早歩きで迫り来る太田ゾンビに



パス パス



痺れを切らした麻島が代わりにトリガーを引いた。



眉間が貫かれ、膝から砕け落ちた太田ゾンビはうつ伏せで倒れ込み、二度と声を発する事は無くなった。



麻島「死んだ人間は二度と甦らない… 生き返ったのならそれはゾンビと呼ばれるモンスターに過ぎない  二度とためらうな」



海原「は… はい すいません」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



タミルトンの目に2体のゾンビが映し出された。



「う~ うぅ う う う~」



「うかぁ~ ぁ~ うう~」



タァン   タァン



地面に撃ち込まれる弾丸



腕にぶら下がる89式自動小銃のトリガーガードに指が挟まり、ノソノソ歩く度、勝手に引き金がひかれていた。



ザクトとスペツナズ兵らしき2体のゾンビが迫り



タミルトンと3名の兵士がアサルトライフルを構えるや



ゾンビが腕を前に伸ばし、襲いかかってきた。



「あああぁぁぁぁ~」



すると同時に 銃口が前方に向けられ暴発する



タァン  タァン



バシュ



樹木に弾痕が彫刻される



タミルトン「Избегайте(回避しろ)」



タァン



「ぐぉ」



だが1人の兵士は間に合わず、胸部に被弾した。



「うぅぅう~」



タァン タァン タァン タァン



一定のリズムで勝手に単発発射しながら近づいて来るゾンビ



タミルトン「Перейти(さがるぞ)」



「Вы собираетесь делать черта?(こいつはどうするんですか?)」



タミルトン「Во всяком случае ничего(どうせもう助からん ほっとけ)」



タミルトンは負傷した部下を見捨てて後退した。



「うぐぅぅ」



「あぁうううぁ~」



そして胸部を撃たれ、うずくまった兵士に一匹のゾンビが覆い被さり



「ひぎぁぁああああ~」



直後 兵士の断末魔な叫び声が響き渡った。



タァン タン タン



幹に当たり、跳弾した弾丸



「うぅうううう~」



発砲しながら尚も追いかけて来る小銃ゾンビと距離を取ったタミルトンが樹陰から様子を伺った。



タァン



ピシュ



樹皮がえぐられ、間一髪顔を引いたタミルトン



デタラメなようでじつは狙ってるのか…?



そう思わせる程の命中率に剣相すると



しゃらくせぇ~ たかがゾンビ一匹… 撃ち殺してやる…



ここで待て…



そしてタミルトンは背後の部下にハンドジェスチャーを送り、1人で突っ込んだ



タタタタタ



片手撃ちでライフルをぶっ放ち、真っ正面から特攻をかける



小銃ゾンビのあらゆる箇所に被弾、倒れかけた…っと思いきや



上体を急激に起こしたゾンビがタミルトンに銃口を向けてきた。



だが…



ガチッ ガチ



弾切れを起こし



タァン



その隙に 頭を撃ち抜かれたゾンビは沈んだ



それからタミルトンは部下を食する部下へと近づき、後頭部を撃ち抜いた。



重なった死体に念の為 何度も銃撃が加えられ…



ガチ ガチッ



AKも弾切れを起こした。



そして痛みで満足に動かせぬ左腕でマガジンを取り出し、それを装填しようとした  その時だ



いきなりサイドから人が飛び出して来た。



タミルトンの死角から、テイクダウンを狙った高速タックル



タミルトン「くっ」



マガジンを落とし、ぐらついたが踏みとどまったタミルトンの眼下には海原がいた。



タックルを切られた海原がすぐさま離れると同時に次に飛び出してきた麻島が拳を振りかぶり



シュ



渾身の右ストレートが放たれるがタミルトンはそれを避けた



数歩退き、向かい合う両者



麻島「こいつか?」



海原「えぇ こいつです こいつだけは許せ無い」



マズい…



タミルトンが指を口へ突っ込み、部下に口笛の合図を送ろうとした寸前



「無駄だ おまえの部下は片付けた」



背後から聞こえてきた声に振り向くとそこには赤塚の姿



海原「主任!」



赤塚「残すはおまえだけだ」



赤塚はそう口にしながら2人の元に近づいた。



麻島「無事か?」



赤塚「えぇ 私は何とか… ですがここは危険です 死んだ部下や敵兵がゾンビ化を起こしてます」



麻島「あぁ よく分かってる 早急に離脱する その前にこいつを始末してからだ」



麻島がMP5Kを構え、海原、赤塚も続いて構えた。



赤塚「了解」



タミルトン「…」



海原「貴様だけは… 俺の手で殺してやる」



タミルトンが麻島、赤塚、海原の順に視線を向けるとおもむろに懐からある物を取り出した。



示されたそれは青い液体が入った注射器のような物



タミルトン「Не хотите использовать возможности возвращения к нормальной жизни от(元には戻らんから出来れば使用したくは無かったが)」



麻島「…」



タミルトン「Так хорошо сказал, не(そうも言ってられんな)」



海原「おい だから… 何言ってるか分からねぇ~よ 何だか知らねぇがさっさとそいつを捨てろ」



タミルトン「フッフフフ Вы уверены, что вы хотите знать, что это такое? Прежде чем она умерла рассказать эту вещь зачать ошибка в части паразитарные(こいつが何だか知りたいか? 死ぬ前に教えてやる これは部分寄生で虫を体内に宿す代物だよ)」



赤塚「何をする気だ?」



タミルトン「Мы терпеть безобразие даже если полезные биологического оружия.(醜ささえ我慢出来れば便利な生物兵器だ)」



麻島「2人共 あれを打たせるな 撃て」



パス パス パスパスパスパス



麻島の射撃を皮きりに3人一斉に銃撃が行われた。



全身に撃ち込まれ、吹き飛ばされたタミルトンの身体が倒れた。



海原「殺ったか?」



右腕で頭部を守り倒れ込んだタミルトンが数秒の沈黙を破り



タミルトン「くっくっ Это было жаль(残念だったな)」



手に握りし物を麻島等に投げつけた



中身の無くなった注射器…



そしてタミルトンがゆっくりと起き上がった。



赤塚「馬鹿な あれだけ全身に銃弾を浴びてどうして?」



海原「防弾…」



赤塚「いや 大量に血を流してる」



海原「ならなんで…」



麻島「そこの注射器だ 何か体内に注入したんだ 2人共気をつけろ 」



全身血だらけな身体で立ち尽くすタミルトンが己の両腕を眺め、口にした。



タミルトン「Хо фондовой стоит уже в левом плече был полностью вылечить или большой темы доминирующим и Рисованные силой силы или изменения, которые я с нетерпением жду(ほ~ 早くも左肩が完治か 素晴らしい 被験体になった価値は有りだな 支配されず 虫の力で引き出されしパワー 変化が楽しみだ)」



すると



ボコ ボコ



タミルトンの両腕に変化が現れた。

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