第139話 地中

アサルトライフルの銃撃音が響き



霞、海老名、中山隊員達が襲われた。



無防備な背後を弾丸が貫き、各所に被弾、霞隊員がよろめきつつ振り返った瞬間



拳銃ウダフを構えるポリーナが狙いを定めていた。



フフ 頂き…



そして



パァーーーーン



乾いた発砲音が響き渡り



眉間を貫かれた霞が目を見開かせたまま崩れ落ちた。



御見内等一同がライトを照らした先に身を崩す3名の隊員達が映り、倒れ込むと同時にスペツナズの姿を捉えた。



御見内「クソ」



村田「敵襲だぁぁああ~」



小泉「やろ~」



村田が叫び声をあげ



御見内と村田、小泉が発砲した。



タタタタタタタ パスパスパスパスパス タタタタタタタ



通路のすぐ先にF字の曲がり角を発見したエレナも叫んだ



エレナ「みんなぁ~ その先の角まで走ってぇ 退避 退避よ~」



そしてエレナも加勢し発砲に転ずる。



タタタタタタタタタタタタタタ



援護射撃によってスペツナズが身を引いたチャンスに



ポン吉「うわぁぁあ」



身を低くくしながらF字手前の隅所まで退避する臼井、柊、ポン吉、根城達



タタタタタタタ タタタタタタタ



パスパスパスパスパスパス



御見内も発砲しながら村田、エレナ、小泉とアイコンタクトを取り、後退をはじめるや



再び壁から身を乗り出してきたスペツナズ兵からAKの銃口が向けられ



タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ



発砲された。



村田「くそ」



ピキュー  ピン  ピキュン




集中砲火を受け



小泉「うぐぅ」



小泉が被弾、倒れ込んだ



御見内「小泉さぁ~ん」



御見内、村田は曲がり角へと逃げ込み、エレナはちょっとした窪みに身を隠した。



タタタタタタタタタタタタタタ



ピキュン ピン



村田「クソ この迷宮の中を随分と早いご到着じゃねぇかよ」



御見内「海老名さんと小泉さんはまだ生きてる」



村田「まじか? この中を2人一気に引きずってくるのはムズいぞ」



御見内「でも 早く救出しないとトドメを刺される 援護して下さい 俺が1人ずつ引っ張ってきますから」



村田「あぁ 誰かがやるしかないな」



ナイトゴーグルを装着した1人のスペツナズ兵が発砲しながら一歩一歩前に出てきた。



タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ



壁からその様子を伺う御見内



暗闇にパッパッと銃火の明かり、そして窪みに身を隠しているだろうエレナ所持の89式小銃のライト光が見えた。



御見内「そこの窪みにエレナが隠れてる まずエレナとコンタクトしたい」



村田「分かった」



MPを身構え、用意した2人



村田「1 2~の 3」



そして2人一斉に壁から身を乗り出した



村田が前方をライトで照射、照らされたスペツナズ兵に向かって銃撃した。



村田「らぁ~」



パスパスパスパスパスパスパスパスパス



兵士が退き、そそくさ死角に逃げ込んだ



その間にエレナの元へ駆け込んだ御見内



タタタタタタタ タタタタタタタ



村田、スペツナズ兵等が順々に身を乗り出し、発砲



坑道に繰り広げられる銃撃音が鳴り響く中



エレナ「ねぇ おかしくない? あいつら迷わずスムーズに追い着いてきてない? おかしいよね」



御見内「あぁ だな それよりエレナ ここはおまえの腕の見せ所だ」



エレナ「見せ所?」



タタタタタタタ タタタタタタタ



御見内「2人がまだ生きてる」



エレナ「え?」



銃弾飛び交う通路をチラリと覗き見た。



パスパスパスパスパスパスパスパスパスパスパス



御見内「奥で倒れてる隊員と小泉さんの2人だ」



エレナ「早く助けなきゃ」



タタタタタタタタタタタタタタ



御見内「あぁ 俺が2人を救い出す その間エレナは村田さんと一緒に俺を援護してくれ」



エレナ「うん 分かった 助けてあげて」



御見内「恐らく向こうは4名… おまえの腕で奴等の手を完璧にシャットアウト出来るか?」



エレナ「誰に言ってるのよ 当たり前でしょ まかせて 行って」



御見内がコクりと頷き



窪みから身を乗り出したエレナが小銃で素早く狙い澄ました。



身を乗り出し、村田目掛け連続発砲を行う兵士2人に即座に照準が合わされ



タン タン



2発の単発射撃が行われた。



「ぐわっ」



ナイトゴーグルのレンズが割られ、慌てて壁に隠れる2人の兵士



その隙に御見内がスライディングでまずは小泉の元へと滑り込んだ



御見内「小泉さん」



小泉「う…ぅ…」



うつ伏せで倒れ、背中に数カ所の被弾の痕が見られる



重傷だ…



それから小泉の手首を掴み、引きずって行く



ポリーナ「Точтосохраняющиесяв?(何 手間取ってるのよ?) бысрыйвыстрел(さっさと撃ち殺して)」



少々苛立ちを見せはじめたポリーナが壁から顔を覗かせ



救出を行う御見内をナイトゴーグル越しに目にした。



逃がさない…



そしてウダフの銃口を御見内に向け、身を乗り出した時だ



タァン



ピキュン



突然ウダフが弾かれた。



ポリーナの手元から離れ、地面に落下する拳銃



ナイトゴーグルのモノクロ映像にエレナの姿が映された。



あの女…



ポリーナがハッとさせ、身を隠した矢先に



タァン  ピュン 撃ち込まれた弾丸が壁を跳ねた。



間一髪回避したポリーナがナイトゴーグルを剥ぎ、兵士に怒りをぶつける



ポリーナ「бысрыйвыстрел(さっさと殺れよ)」



チッ… あのクソアマが…



また村田がサブマシンガンを構えながら、引きずる御見内の手助けで通路に飛び出した。



2人で引きずり、曲がり角まで小泉を運び込む



百村「小泉さん」



ポン吉「状態は?」



御見内「意識はあるが背中を数発撃たれてる 重傷だ」



ポン吉「そんな…」



御見内「次は海老名隊員です」



村田「おう」



タンタン



「чертов(クソ)」



ピュン ピン



死角から出ようとする隙を与えないエレナ



村田も援護にまわり、御見内が再び海老名隊員の元に駆け寄った。



仰向けで倒れる海老名の状態を伺うや



既に息が無い…



喉を撃たれ 口から血を吐き出す海老名は既に命を落としていた。



唇を噛み締め、御見内がその場をあとにしようとした その時だ



ゴゴゴゴゴ



なんだ…?



突然の地響き



御見内がライトで照らすと坑道全体が揺すられ、天井から多数の土埃が落ちてきた。



地震…?



だが何だか様子がおかしい…



何処からか…



何やら地鳴りが近づいてくるのだ



ゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴゴ



村田「何だ何だ…?」



エレナ「え? 何これ?」



ポリーナ、兵士達も天井を見上げこの揺れで銃撃戦が一時中断される



ゴゴゴゴゴ



なに…?



エレナも地響きに動揺し、周囲を見渡す



御見内、エレナ、村田が通路に飛び出し、集まった時だ



3人の目の前を…



地中を何かが横切っていった

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