第121話 侵撃

ドカァァァァァァ



直撃を受けたバスが爆発、炎の塊が舞い上がり、同時に爆風と衝撃波で青木、赤塚の身体が後方に吹き飛ばされた。



2人は倒れ込み、担いでいた町民がゴロゴロアスファルトに転がる。



青木「ぐぅ」



背中を打ちつけた青木が起き上がると目の前には真っ赤に燃え、炎上する観光バス



赤塚も突然の出来事に目を点にさせ、燃え盛るバスを眺めていた。



その直後



町民を担ぎ、建物から出て来た阿部、海原、渋谷の姿



バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ



海原「なんだ?」



そして彼等の目の前で



ブシュュュュュュ



煙尾をつけた2発目のロケット弾が発射され…



ドカァァァァァァ~



トドメとばかりに2発目が直撃



爆音、爆炎、爆風を巻き上げ



車体が2回転しながら吹き飛ばされた。



なんて事だ…



5名の隊員… 30名近い救出者が…中に…



いきなりの攻撃、降り注いだ惨劇に唖然とする赤塚



バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ



渋谷「うわぁ 何事だ」



皆が空を見上げると



上空には2機の戦闘ヘリが羽ばたき、通過



ヘリが大きく円を描いて旋回し始めた。



そして今度は機銃で狙いを定め始めた。



ハッ…とさせた赤塚が咄嗟に起きあがり叫んだ



赤塚「敵襲だぁ~ 中に入れぇぇ~」



アスファルトに転がる町民を再び担ぎあげ、建物の中へと走り出す赤塚



青木も続いた。



赤塚「早く 中に入れぇ~」



すると



ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル



機銃がぶっ放たれた。



アスファルトに弾が食い込み…



駆け寄る赤塚、青木の目の前で



阿部、渋谷に被弾



たちまち2人の身体が木っ端微塵に弾け飛んだ



胴体から上が跡形も無く消失したレジスタンスの阿部



また胴体に大穴が開き、即死したザクトの渋谷



両名の死体が無惨に地へと転がった。



かろうじて側壁に飛び込み、銃撃を回避した海原



突然の襲撃と仲間の死に軽いパニックへ陥り足腰を震わす



何が起きたんだ…



両膝を着き、茫然自失する海原の前に赤塚と青木が駆け込んできた。



赤塚「海原ぁ!立てぇ 奥に避難するぞ」



海原「一体これは…?」



赤塚「分からん だが何者かの襲撃だ いいから早く立て 次の攻撃が来るぞ」



青木「やばい やばい ヘリが来たよ」



赤塚「立てぇ~」



赤塚に一喝され、海原が立ち上がった



そして3人が建物の奥へ奥へと逃避するや



その数秒後に…



ブシュュュュュュ~ ブシュュュュュュ~



ヘリから2発のロケット弾が連続発射された。



噴射した煙りの尾っぽをつけ、入口に撃ち込まれた2発のロケット弾



ロシア製のSー13なる貫通ロケット弾だ



そして…



ドカァァァァァァン



1発目は入口付近へ着弾させ、爆発



ドカァァァァァァ



もう1発は外壁を突き破り館内に侵入、廊下で爆発を起こした。



天井や壁が崩れ落ち、瓦礫と火煙と埃が混じり合う



そんな廊下の奥…



安全圏まで退避した3人は壁に隠れ、赤塚が壁から顔を覗かせた。



すると



麻島「赤塚 無事か?」



赤塚「私達はなんとか… ですが輸送バスが襲撃を受け、40名近い救出者と… 7名が犠牲に…」



麻島「赤塚よく聞け それはロシアの武装ヘリだ 恐らく例のスペツナズだと思われる まともにやり合って勝てる相手じゃない 今どこにいる? お前のモニターカメラが故障して映像が途絶えた…」



海原「スペツナズ? クソ こんな時に東最強の特殊部隊のお出ましか」



赤塚「現在1階にいます これからどうすれば?」



麻島「皆の所へ戻れそうか?」



赤塚「やってみます」



麻島「まずは合流しろ」



徳間「うわぁ 何だこれ?」



数名の隊員等が搬送で降りて来た。



瓦礫で封鎖された廊下に戸惑う部下



それを目にした赤塚が叫んだ



赤塚「おまえらぁ すぐに上へ戻れ 」



徳間「え?」



海原「敵の襲撃だ 早く戻れ」



徳間「あ はい」



赤塚「俺達も行くぞ」



赤塚等も移動を始めた…



その頃 外では…



バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ



燃え盛るバスの横に降り立つ人影



ホバリングした輸送ヘリ、ヘイローから次々ロープ降下する兵士の姿があった。



そのヘイローの周りを2機の戦闘ヘリが旋回する中



駐車場にはアサルトライフルAKー12を所持した30名の武装集団



揃いも揃って皆



いかにも軍人らしい屈強な男達ばかりだ



「ИзЯслав(イジャスラフ) 」



「чтозто?(はい?)」



「Яотделяюсьв(二手に別れるぞ)」



現れたのは身長190は余裕であるだろ、バキバキにマッチョな1人の白人



人100人ぐらいは軽く殺してそうないかつい顔の男



こいつは今作戦の隊長



タミルトン・イゴーニンなる者



タミルトン「Выкомандуетеим(お前が指揮を執れ)」



そしてタミルトンの右腕



イジャスラフ・アイヴァン



イジャスラフ「да японЯлето(はい  分かりました)」



タミルトン「Неоставляйтеодиумышьтакже(鼠共を一匹も残すな)」



そしてタミルトンが周囲に目を配り、一声を張り上げた



タミルトン「Уничтожить(皆殺しにするぞ)」



凶気な瞳へ変わった精鋭部隊



スペツナズがこの地に降り立ち



これより廃病院が戦場と化す

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