第120話 発射

廃病院 洗脳ルーム



「赤塚分隊長 バスが到着しました」



パス ピキュー



赤塚「分かった バスに収容させろ 太田!残りはどのくらいだ?」



太田「まだ全然です 半分も終わってません 残り40くらいかと」



赤塚「どんどん搬送しろ」



太田「了解 こっちに動けない人がいる 担架かストレッチャーが必要だから…雅史 取りに行ってきてくれ」



赤塚が町民をファイヤーマンズキャリーで担ぎ上げ



赤塚「俺が取りに行く おまえはどんどん運びだせ」



その頃 駐車場では到着したバスへアスファルトに寝かされた町民等を4~5名の隊員達が運び込んでいた。



そこから少し離れた場所には立ち尽くし、天を見上げる青木の姿



バタバタバタバタバタ



非協力的でこの作戦に無関心だった男が何故かこの音に異様な関心を示していた。



そんな青木が空を見渡しながらふとバスへと歩み寄っていく



隊員達はまだ誰もこの音に気づいてない



気付いてるのは俺だけか…



ザクトの増援かな…?



いや… それは違う気がする…



どんどんこっちに近づいて来るこの音…



気になる… それと嫌な予感も…



青木はたまらなく不安に陥り、疑問を抱き、自然と足はバスへと向かっていた。



そして青木が隊員等に近づくや問うた。



青木「ねぇ この音ってなん…」



「丁度よかった そっち持ってくれ」



青木「え? あ あぁ」



青木は仕方なく手伝い、バスの中へ町民を運び込む



青木「ねぇ それよりヘリらしきプロペラの音がするんだけど ザクトさんの増援予定なんかあり?」



「は? 増援? そんなのある訳ないだろ ほら 次々来るんだから中に運ぶの手伝って」



青木「ちょ ちょっと待って ちゃをんと聞けよ ならこの音は何なの?」



「はぁ? 何の話しだ」



青木が隊員の1人を強引に外へと連れ出し、空を指差した。



青木「ねぇ ヘリの音が聞こえない?」



「ヘリ?」



隊員が耳を澄ますと確かにその音が聞こえてきた。



「確かにヘリの音が聞こえる…」



青木「でしょ しかもこの音から複数なんだけど」



「おかしいな 何にも聞いてないぞ 池丘ぁ この作戦に増援やらヘリ要請とかってしてるんか?」



「はぁ? んな訳あるかよ こんな地方の田舎町に… 都市のゾンビ討伐戦に手一杯なんだから増援なんかある訳ない」



「だよな だとさ ゾンビのいないアイランドへ飛び立つ民間機か何かだろ」



青木「おい ちょ 真面目に聞けって…」



すると



バス内から



「おい 救出者の1人が中で暴れだした おまえ等も手伝え」



急いでバス内に乗り込んで行く隊員達



民間機だと… こんなご時世に一般人がヘリなんか飛ばせる訳ないだろ…



バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ



ザクトの軍用ヘリじゃないとしたら…



なら…



この近づいて来るヘリは…



一体何だよ…?



1人不安と疑問にかられる青木が森の先から来るであろう正体不明なヘリのプロペラ音を耳に、目を凝らしていると



赤塚「おい おまえ こんな所で何してる?さっさと消えるんじゃなかったのか」



建物から出てきた隊長赤塚と居合わせた。



青木「いい所に来た 隊長さん ヘリが近づいて来るんだ」



赤塚「ヘリ?」



バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ



青木「そうだよ ほら この音が聞こえるっしょ?」



すると



枝が折れそうな程強風を撒き散らし



はっきりと聞こえて来たプロペラの回転音



来る…



青木の視界に2機の機体が現れた。



2人の目に飛来する2機の軍用ヘリが映し出されたのだ



赤塚「な…」



機内ではロック解除ボタンが押され、コントロールスティックのミサイル発射ボタンに親指が乗せられた。



そして



バスがターゲットで照準され



「Fire」



ブシュュュュュュ~



1発の90mmロケット弾が発射された。

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