第112話 昇騰

御見内がリングに取り残された2人に視線を向けた。



横たわる男性、女性はどうやら無事のようだ



御見内がホッとさせたのも束の間



興奮した奴隷共がそこら中から迫って来る



そして奴等はそこらじゅうのハシゴを登ってきた。



野々宮「クソ 登ってきた もう来た道は引き返せません」



御見内「ラボまで走ります」



2人は通路を駆け出した。



前方T字となる通路



左右のハシゴからも奴等が上がって来るのが見えた。



激しく揺れるハシゴ



手に角材やら鉄パイプを持った奴隷達がハシゴが壊れそうな程荒々しくよじ登って来る



御見内が走行しながらMPを構え、右方へ発射させた。



パスパスパス



奴隷の肩に被弾、取っ手を掴む手が離れ、体が落下



後続と接触し数名が巻き添えで落ちていった。



パスパスパスパス



次いで左方に発射



太ももに被弾した奴隷は脚がずり落ち、後続の頭へ尻から落下



こちらも巻き込みながら全ての奴隷がハシゴから剥がれ落ちていく



2人がそのまま通路を直進するや



背後のハシゴを上がってきた奴隷共



裸足で鉄板を踏みしめ、凄い勢いで向かってきた。



テニスのラケット? ガット(網糸)が鉄製ワイヤー、カミソリが取り付けられた改造ラケットをブンブン振り回し



また後続には包丁、鎌を手にする血走った目つきの狂人達



野々宮が急ブレーキを掛け、立ち止まるや立射の身構えで、瞬時に狙いを定め、トリガーを引いた。



パス パス パスパス パス



ドットサイトも覗かずに発砲された銃弾は的確に奴隷共にヒットさせた。



脚部へ被弾、前のめりで崩れ落ち、改造ラケットを滑らせる。



また太ももに被弾し座り込む奴等



壁を背にした2人 御見内も野々宮の真横につきMPを構えた。



野々宮「走るったって… もう行き止まりです ラボへの入り口は何処なんです?」



見た目は感染者と相違無い、イかれっぷりな奴等が我先にと次々によじ登って来た。



手鉾(槍)、キャンドルスティック(欧州の槍)、クト・ド・ブレシェ(フランスの長柄大包丁)など中世の長物武器を携えて…



「♢≧⊕∑ℵ%㎎EπЁ」



パスパスパスパスパス



2人は即座に迎撃した。



脚部を撃ち抜かれた奴隷達が次々に伏していく



御見内「通路はこの真下にあります」



野々宮が手摺りから覗き込むや入口らしき扉を発見した。



野々宮「あった あれですか… って事は…もう完全囲まれてるって事ですね…」



御見内「野々宮隊長 高い所は平気っすか? 下に飛び降りましょう」



野々宮「そんな無茶です 下には沢山います」



「♯o⑭㎏∉◇★■♡♢♬」



パスパスパス パスパス



眼下には100名以上もの奴等



また左右、前方のハシゴ、壁からも続々と這い上がってくる



2人はそれらを繰り返し発砲、接近を食い止める中



ブォォォォオ~ ブォォォォオン



突如電動系の音が鳴り響いてきた。



野々宮「何の音だ?」



ブォォォォオオオオ~ン



御見内「厄介なのが来る これはチェーンソーやら草刈り機の音です 電動工具系の部隊がやって来ます」



また他にも



パァン パン パン



下から鳴り響く発砲音



野々宮「こいつら銃器まで…」



パスパスパスパスパス パスパス



御見内「あれは本物じゃありません フィリピン製のジップガン(改造銃)です 命中率はとにかく悪い 脅威には違いありませんが…」



ブォォォォオ ギィィィ



そして作動するチェーンソーを片手に前方のハシゴをよじ登りはじめた1人の奴隷、鉄棒に回転刃が擦れて火花と嫌な音を奏でる。



続いて携帯型のハンマードリル、芝生バリカン、インパクトドライバー、ヒートガンなどなど…



厄介な武器を手にした奴隷が上がってこようとしている。



御見内は手摺りから下を覗いた。



高さは5~6メートルそこそこ…



下にいる奴等は数ヶ所のハシゴに集まりつつある…



今ならまたとないチャンスだ…



御見内「飛び降ります」



弾倉を交換しながら野々宮が慌てて口にした。



野々宮「正気ですか? 駄目です それは危険です…」



御見内「今なら手薄なチャンスです 俺が突破口を作りますんで 5秒したら飛び降りて下さい」



野々宮「ちょ ちょっ…御見内さん…」



そして 御見内がそのまま手摺りを飛び越え、ダイブした。



まじですか…? 何て命知らずな人なんだ…



野々宮が手摺りから見下ろそうとするが、肉迫してくる奴等



野々宮はそれを見る暇も無く発砲に転じた。



一体の奴隷の背後へと降り立った御見内



その降り立ったと同時に…



奴隷が振り返ろうとした瞬間に…



テンプル(こめかみ)に素早き裏拳がくわえられ、また 掌底で顎が揺らされた。



ガクンと膝から躯体が崩れ落ちる



それから御見内は目つきを変え、周囲に位置する三々五々な奴隷達へ速攻をかけた。



パスパスパス パスパス



通路では野々宮が銃撃するさなか



1体の奴隷が壁をよじ登り、通路に手を掛けてきた。



そしてニョキっと顔を出すや



「㎎㎏⑭■¥♢⊕∇€QΘρ」



充血したまなこをこちらへ向け、何やら叫んでいる…が



はっきり耳にしたがやはり何を言ってるのか理解は出来ない



パス パスパス



手の甲が貫かれ、その奴隷は真っ逆様に落ちていく



ひっきりなしに続々上がって来る奴隷達



野々宮は3方向を交互に発砲した。



パスパスパス パスパスパスパスパス パスパス



ブォォォォオオオオ~



すると



正面ハシゴから回転刃の音を撒き散らし、あのチェーンソー野郎が昇って来た。



クッ…



野々宮がそいつに向けMPを身構えるや



御見内「隊長 今です」



下からの合図だ



ブォォォォォォォォオ~



「Θπ℃@■♯⊕¥㎏Ωψ」



野々宮を見つけると同時に猛烈な勢いでブンブン振り回しながら襲いかかってきた。



うっ…



野々宮は下の確認もする事なく、とっさに手摺りに手を掛け、そのまま通路からジュンプした。

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