第109話 入館

合図と共に森の中から飛び出した赤塚、海原、渋谷、太田の4名



迅速に扉へ近づいて行く



麻島「ザクトの同胞共 よく聞け 捕らわれの民を救出するのが俺達の第1使命だと肝に銘じておけ…」 



また同時に野々宮を先頭にA班も飛び出た。



小走りに金網フェンスへと近寄り



野々宮「村田 フェンスを切れ」



村田「了解」



そして村田がごっついコンバットナイフを取り出し、素早くそれを断ち切って行く



麻島「…またそれと同時にレジスタンスの方々を守り抜く事もだ 俺達の大半が… 少なくともこのチームの人間は、元は軍関係か警察関係の仕事をしてきた奴ばかりだ…」



赤塚が人差し指を数回回すや、海原が先陣きって室内に突入



次いで渋谷、太田の順に入館し



赤塚も室内へと踏み込んだ



麻島「…ゾンビ討伐だけが俺達の仕事じゃない むしろ人命救助の方が俺達の本職だ…」 



右方よし  左よし



指差しで安全の合図を送り合う隊員達



麻島「…それは以前と何も変わらない 今作戦もきっちりとザクトの使命をまっとうし、任務を遂行 全員を救い出せ!」



赤塚「こちら赤塚 C2通路安全確保がとれた 待機班 今すぐ中に入って来い」



赤塚の合図で青木や美菜萌、斉藤達が他の隊員等と共に飛び出し



徳間と数人が後方支援で援護しつつ、時間差で続いた。



そして青木や美菜萌等が中に入るや、外のキレイで爽やかな環境とはうって変わり、中は一変 どぎつい悪臭と不衛生な環境が待っていた。



阿部「うっ クセ なんだこの腐った臭いは」



斉藤「だけじゃない これ糞とかションベンの臭いも混じってねぇーか? やべぇな ここ…」



渋谷隊員「シィー そこ静かにしろ」



阿部「すいません」



入館そうそう劣悪な環境がお出迎えし



青木は入るや館内を見渡した。



2度とこんなクソみたいな所来る事ないと思ってたが…



俺はまたこんな吐き溜めに戻ってきてしまった…



それを悔やむかのような表情で辺りを見渡していると



徳間等後方隊も入館し、皆館内に揃った。



すると



赤塚「おい そこのガイド」



青木が赤塚に呼ばれ



青木「ほい?」



赤塚「出番だ 待望のお仕事の時間だぞ 監禁場所まで案内しろ なるべく敵との遭遇を避けた安全なルートを選べ」



青木「あぁ それはちゃんとやるよ でも遭遇するしないは知らないぜ まぁ ついてきな こっちだよ」



赤塚「待て 海原 渋谷が先頭だ 2人先に行け」



青木「はいはい どうぞ こっちだよ」



赤塚「こちらB隊より指揮車へ 全員室内へ入りました これより最上階を目指し 移動します」



麻島「こちら指揮車了解 気をつけて向かえ」



2人の隊員を先頭に移動を開始したB班



同時刻



敷地内へ侵入したA班一行は駆け足でメインゲートへと向かっていた。



カカカカカカ



森から聞こえてくるキツツキのドラミング



小気味よいくちばしのつつく音がエレナの耳に入り、エレナがふと森に目を向けるやフェンスに止まる一羽の野鳥、羽を毛繕いする全身暗赤色の野鳥イスカが目にとまった。



さほど鳥に興味無いのだが思わずその鳥に一瞬見とれてしまったエレナ



キレイな小鳥…



もしバードウォッチングをするならば今日は最高な日和



豊かな自然の中 様々な野鳥が様々な鳴き声をあげ、目も耳も楽しませてくれるに違いない



平和な世界に戻った時は私もいつか…



エレナはそう思いつつ、前方に視線を戻した。



そして隊がメインゲートへと到着



野々宮「みんな スマンが計画を少し変更する 村田 突入したら皆をつれて救出に迎え みんなも村田について行くように 俺と御見内さんはしばし別働する」



村田「はぁ?どうゆう事っすか?」



野々宮「御見内さんと2人であの奥を探りに行く」



エレナ「え?何の話し?」



百村「奥って?」



村田「2人だけじゃ危険ですよ」



エレナ「どうゆう事ですか?」



野々宮「この先進むと この施設は2つに分かれます 一つは拷問部屋 もう一つは研究室?実験室か?その噂のラボへと別れる そこで俺と御見内さんの2人でその実験室とやらを探ってみます 皆は計画通りに拷問部屋に捕らわれた人達の救助にあたってくれ」



エレナ「ちょっと道! これはどうゆう事なの?話しが違うじゃない」



御見内「今 町民全てが研究室に集合してる 何かが行われてるっぽいんだ それを確かめないと」



エレナ「まぁーた 勝手な事を 救出はどうするのよ?」



御見内「場所は村田さんが知ってる だからみんなに任せるよ」



エレナ「あーたね そんなの終わ…」



御見内「何が行われてるのか様子を見に行くだけだ すぐに戻るよ だから救出活動頼むぞエレナ」



エレナ「はぁ? 何よそれ」



御見内「怪しげな動きが見られるんだ もし例の傀儡の兵団を始動する目前ならば食い止めなければならない それはこの目で確認しない事にははじまらないだろう 離れるのは少しの辛抱だから 理解してくれ」



エレナ「ったく も~ 相変わらずなんだから」



野々宮「そうゆう訳だ 皆は村田の指示に従い救助にあたってくれ  頼むぞ」



そう告げ 野々宮がガラス張りの引き戸を静かに開き中へと入って行った。



次いで御見内、エレナ、村田隊員、大堀、百村、月島、根城と続き



霞、海老名、中山や他の隊員等が次々に建物内へと進入して行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



廃病院 1階通路 B班



不快な臭いが漂流する中 



廊下を静かに行進する一個分隊



右手にはボロボロに朽ち果て、今にも落ちそうな泌尿器科と書かれたプレート



また左手には第2リハビリステーションと書かれたプレートが見られる。



そこいら中 ブンブン飛び回るハエが顔にはりつくや、斉藤がうざったい顔で払いのけ、パーティーは長い廊下をひたすら直進して行く



静か過ぎる…



殺伐するある意味いつも賑やかな筈なのに…



この静けさは何だ…



様子が変だ…



廊下を移動中、青木は館内をキョロキョロ見渡しながらこの異常ともいえる異変に1人不審していた。



普段なら人で溢れてるのに誰もいないなんて…



絶対におかしいぞ…



あまりの人気のなさに疑問を募らせていく青木



それを目にした赤塚が青木に近づき、小声で口にした。



赤塚「どうした? 何を挙動ってる?」



青木も赤塚を見ながら小声で口にした。



青木「隊長さん 何だか変だ いつもと違うよ」



赤塚「何がだ?」



青木「簡単に施設に入れた事にも違和感ありまくりだったけど 館内がこんなにも無人なんて初めてだよ」



赤塚「…」



ハエの羽音がうるさく聞こえる程の静寂ぶりに赤塚も周囲へ目を配った。



赤塚「おまえはここの出だろ ならばこの状況 どう見解する?」



青木「分からないな… こんな状況初めてだから」

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