第108話 実行

村田「はぁ?」



御見内「お気づきになりましたか その7番目のケースに入れられた…ダルマにされてる少年がそうです」



村田がそのケースへと近づき確認する。



村田「うわ ほんとだ… その映像に出てる和人くん本人っす」



野々宮「って事はそのビデオの内容は…今後あの状態になるまでの過程をおさめた映像記録…ですね?」



御見内「そうです」



村田「まじかよ…」



すると御見内がいきなりハンディカムの電源を消した。



野々宮「え?」



村田「どうして消すんだよ?」



御見内「やっぱりこの先はもう見ない方がいいです」



村田「なんでだよ 気になるじゃねえか」



そしてビデオカメラからカセットテープを取り出すや、テープを引っ張り出した。



村田「お おい」



御見内「この先はあまりにも残虐行為が克明に映されてるので 見られたもんじゃないですから 村田さんにはとてもじゃないが耐えられませんよ」



そして床へ落とすやそのテープを踏み潰した。



ガシャ



村田「あ! あ~ もう完全見れない」



御見内「こんなスナッフまがいなスプラッター映像は抹消すべきです」



野々宮「スプラッター? この先一体何が映されてたんですか? それは話して下さい」



御見内「聞きたいですか?」



村田「当たり前だろ 話せ」



御見内「えぇ 分かりました あの映像は1時間50分程記録されてました。 これから先 和人くんは冴子の性奴隷にされていきます」



野々宮「性奴隷?っというと?」



御見内「終始和人くんに騎乗位の体位で跨がり、俗にいうハメ撮りが始まります そのハメ撮りを行いながら歯を抜いたり、爪を剥いだりしていくんです」



村田「まじ?」



御見内「そういった映像がしばらく続き そして再生時間1時間30分を過ぎたあたりから… 冴子がセックスの最中に丸ノコで彼の右腕をぶった切ります」



村田「セックスしながら腕を切るって 嘘だろ… それが映像として記録されてたのか?」



御見内「はい はっきり意識がある中 容赦なく彼の腕を切り落とすのが映ってました」



野々宮「ありえない… 御見内さんはそれを見たんですね?」



御見内「えぇ 冴子は狂ってるなんてレベルじゃない 断末魔をあげる少年を見下ろしながら笑うあのイカれた笑い声… それと血飛沫でレンズが真っ赤に染まり、何も見えなくなるんですが それを拭き取る際に見せたあのアップの顔 あの血まみれでイかれた目つきは… 悪魔にでも憑依されたかのようです」



野々宮「悪魔ですか…はぁ~~」



それを聞いた野々宮分隊長は思わず深い溜め息をついた。



村田「っで それからどうなったんだ?」



御見内「映像的にはそこで終わってます…映像では… 記録におさめられてたのは右腕のみですが 彼を見て下さい 彼は今 既に四肢が無い状態です」



野々宮「その後短期間であとの3つを全て切り落としたって訳ですね… 許せない…」



御見内「野々宮隊長 冴子のこの件は自分に一任して貰えませんか?」



野々宮「任せる? それは御見内さんが冴子を殺るって事ですか? こう見えても私は元警察官です 今まで数々の事件報告書や話しなど聞いてきましたが ここまで度を越えたた猟奇は初めてです その辺の殺人鬼とは逸してます いくら御見内さんとて個人での対応はあまりにも危険です」



御見内「その辺は大丈夫です ちなみにこれは俺じゃなくエレナが対応しますから」



村田「エレナ? エレナって同じ班にいるあの女の人か……? いくら相手が女だからって そんなの女じゃ無理だろ」



御見内「お2人は知らないと思いますがエレナは怖いですよ 正直俺なんかよりも… ぶっ飛んでるって点ならあいつだって負けてませんから それにエレナはこの女に一つ借りがあるので まぁ この件はこっちに任せて下さい」



野々宮「御見内さんがそう言うのであれば分かりました ですが一つだけ守って下さい 私達は岩渕隊長のめいを受けやってきてます この救出作戦の手助けと同時にあなた達の身を守る為って名目があります 今はチームで動いてますのでくれぐれも仲間に危険が及ぶような独断専行や無謀な行為だけは控えて下さい」



御見内「勿論了解です 仲間に迷惑はかけません 危険な目にも晒しませんので大丈夫です」



野々宮「OK 分かりました よし 実地踏査は終了だ ひとまず皆の元へ戻ろう」



御見内、村田が頷き、部屋からの退出を図る3人



3人共 ケースに閉じ込められた若者達を目にしながら部屋をあとにした。



野々宮「こちらA班野々宮より指揮車とB班へ 只今現場、ルート調査終了 これより一旦戻ります」



麻島「指揮車了解 すぐに戻れ B班の突撃準備がそろそろだ」



野々宮「了解 さぁ 急ごう」



村田「はい」



冴子ルームを飛び出し、3人は駆け足で坑道を引き返して行った。



これからまもなく2班同時による救出、強襲作戦がはじまる



-ーーーーーーーーーーーーーーー



15分後



無事 皆と合流した御見内達



また赤塚班も感染者を掃討し、合流を果たしていた。



2班共にそれぞれ建物数メートル手前まで移動、突入の合図を待っていた。



廃病院 サンクチュアリー



森に紛れ、それぞれ木の陰に隠れるB隊



しゃがみ込み施設を見渡す、美菜萌や川畑、斉藤達の姿が見られた



青木も木陰から建物の様子をうかがっている。



また先頭に位置する赤塚等も肉眼で周辺を目視



赤塚がインカムを手にした。



赤塚「こちらB班 屋上クリアー 周辺もクリアー 敵の姿ありません いつでも突入出来ます」



海原「敵の姿がないなんて何だか気持ち悪いですね… こちらもA班のように一度内部を潜行調査した方がよいのでは?」



赤塚「森はゾンビで溢れてる そんな余裕は無い ぶっつけ本番でいく」



海原「…」



麻島「赤塚班 おまえ達は森にドンパチ音を轟かせてる 注意しろ 既に接近が気付かれてるものと思え 」



赤塚「了解 B班各位 計画通り正面入口から屋内に侵入する まずは俺と海原、渋谷、太田の4人で先行 安全確認の合図が出たら後に続け 残りの者は部隊の後方支援だ 最上階を目指す その際屋内戦闘を念頭に行動しろ サイレンサーの装着と持ち弾倉の最終チェックも忘れるな」



「了解」



下水処理場 コーキュートス A隊



各自銃口に消音器がはめ込まれていく



ポン吉「あれ これどうやって付けるの?」



小泉「普通に時計回しだから」



ポン吉「手が震えて上手く回らない」



小泉「どれ!貸して ポンは不器用だなぁ~」



ポン吉「あ~ 緊張するなぁ~ はぁ~ 帰りたくなってきた」



ガシャ



散弾銃をポンプアクションした根城



根城「まだそんな弱気な事言ってるの? そろそろ覚悟決めよう」



ポン吉「だって…」



小泉「はい 付けたよ さぁ これ持って勇気を出すんだポンちゃん」



ポン吉「はぁ~ やっぱ帰りたい~」



その横ではエレナがマガジンホルスターの弾倉をチェック、御見内から譲り受けたマカロフの弾倉もチェックし懐に仕舞うや、ふと首から下げたあれを取り出した。



手の内に握られているのはあの御守り



エレナは御守りを目にし、懐に仕舞い込んだ



野々宮「みんなOKか?」



百村「オーケーです」



大堀「こっちもオーケーです」



霞隊員「オーケー」



村田隊員「いつでも出れます」



月島「…」



エレナ「オーケーで~す」



野々宮「よし 指揮車へこちらA班も準備整いました 行けます」



麻島「了解 2班共 作戦開始だ 突入しろ」

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