第107話 記録

冴子ルーム 



息を呑む村田



御見内「開けますよ?」



サブマシガンを身構える野々宮



野々宮「どうぞ 開けて下さい」



そして御見内が扉を開くや、勢い良く室内に踏み込んだ。



索敵で室内を見渡す2人



部屋に奴隷、黒フード、解体人の姿はなかった。



野々宮「クリアーだな」



射撃態勢を解除した野々宮の隣で



村田「分隊長… こいつを見て下さい」



野々宮が青ざめた村田の横顔を目にし、視線を向けるや



ズラズラと棚に飾られた男根のオブジェを目にした。



野々宮「なんだこれは…」



オブジェ一つ一つに何やら文字が書かれた紙を発見し村田が読み上げた



村田「豊田 眞浩くん 17歳 通常8センチ 勃起時14センチ 直径5センチ… 隊長…これって?」



野々宮「本物なのか…?」



御見内「本物ですよ 奴のイかれてる真骨頂はここにあります」



村田「よくあの男は女の敵だって言葉よく耳にしますが こいつは紛れなく男の敵ですね」



野々宮「…」



御見内「そんなので驚くのはまだ早いです こちらへ来て下さい」



御見内がショーケース前に立ち、2人を呼んだ



ケースには白い布が被せられ、御見内がそれを掴んだ



恐る恐る2人が近づき、ケースを覗くや



御見内がその布を剥ぎ取った。



2人の眼下に映りしは… 御見内が言っていた例のダルマにされた青少年達の哀れな姿だった。 



既に話しは聞いていたが…



じかに目にし



あまりにもショッキングな姿に



村田は急に吐き気を覚えた



そして



村田「おぇぇぇ~」



村田が床にもどした。



村田が吐く中 直視する野々宮分隊長



野々宮「ヒドい…」



御見内は長々と続くケースの布を一枚一枚剥いでいった。



御見内「見て下さい」



野々宮「まさか…」



村田「オェェ~ はぁはぁ」



御見内「そのまさかです これら全てが冴子の悪魔の所行の餌食にされた少年達です…」



御見内「全員ダルマにされてるんです」



御見内が次々布をめくって行くや、幾度となく険しい表相を浮かべた。



何故ならここもまた



幾つものショーケースの中身が消えているのだから…



手足が無い為 自力で逃げる事もかなわない残されたダルマ達



また排便、排尿用の管が取り付けられ、他力が無ければかゆい箇所を掻く事も、耳クソをほじる事も出来ない不自由な身体に…



無力で悲惨な姿にされた若者達



こんな姿にされ、このケース内にどれほどの期間 閉じ込められていたのだろうか…?



完璧に人間の扱いを受けてない…彼等



冴子とやらのオモチャにされてるのが一目で分かる…この現状



野々宮がそんな思いを巡らせながらひきつらせた顔で、順々にケース内を覗いていった



また同時に…



スペルマタンパク質補充専用…



セックス専用…



解剖用…



などと書かれた札にも目を通し、野々宮の顔はみるみる青ざめていった。



野々宮「あまりにもヒド過ぎる…」



御見内「えぇ 彼等はこのまま死ぬまで永久に冴子の性奴隷として扱われるでしょう それか飽きればゴミのように捨てられていくんだと思われます」



村田「はぁはぁはぁ」



吐き尽くした村田が苦しげな表情で起き上がった。



野々宮「大丈夫か?村田ぁ リバースしすぎだぞ そんなんでどうする 情けないぞ」



村田「はぁはあ すいません でも腐ったゾンビやさっきのとはまた違った…生々しさに 急に気持ちが悪くなってきまして…」



一方御見内は室内をガサっていた。



なんだこれ?



そして棚に置かれたある物に目をつけ それを手に取った。



ペ○スオブジェの端に置かれたある2つのビンに



これは…



そしてもう一つ その隣に置かれたある一台のビデオカメラに目をつけ、手を伸ばした。



野々宮「御見内さん 聞いた話しよりも想像以上に悲惨な現場ですね よく分かりました」



御見内はビデオカメラの電源を入れ、小さな液晶画面から流れる映像を再生 



映像チェックをはじめた。



村田もいまだ気分悪そうな表情でケース内をまじまじと目にする。



村田「疎通は? こいつら話せるのか?」



御見内「いや 多分みんな無理でしょう これを見て下さい」



映像をチェックしながら村田へ瓶を放った。



村田はそれをキャッチし中身を見た



受け取ったビンの中身は…



瓶いっぱいに詰められた人の歯…



村田「歯… まさか 全部こいつらの歯か…?」



御見内「まだあります」



するともう一つ放られ、今度は野々宮がキャッチ



2人で中身を目にした。



すると



御見内「舌です 歯も舌も引き抜かれてます 彼等は喋る事さえも許されてません」



村田「ジーザス…… っすね」



瓶詰めにされた舌と歯を顔面蒼白で眺める2人



村田「分隊長…」



野々宮「すぐにでもここの者を回収しよう 一旦戻るぞ」



すると



御見内「ちょっと待って下さい すいませんがその前にこれを見て下さい」



険相な御見内が2人を呼び止めた。



村田「今度は何だよ…?」



ビデオカメラをチェックする御見内に2人が近づき



年型の古い ビデオカセット式のハンディカムを御見内が巻き戻した。



2人が画面を覗き込み 再生ボタンが押された。



ドアップで女の顔が画面に映され、映像がはじまった。



御見内「こいつがその冴子です」



所々ブレる画面に少々色の黒い  20代後半らしき褐色肌の女がアイドルばりの笑顔で手を振り、自撮られていた。



野々宮「この女が…」



冴子「こんにちは 真生(ましょう)冴子で~す イェーイ え~ スリーサイズは~ 上から86 65 84」



白衣一枚羽織ったその下は裸



スリーサイズを言いながら自らの胸や腰、尻の箇所が映され、画面におさめられている。



冴子「…フフ ちょっと恥ずかしい… え~今日は私のコレクションを紹介してみたいとおもいまぁ~す」



誰に向けての発信かは定かでないが



まるで芸能人がプライベートルームを紹介するようなノリではじまった。



冴子「ジャーン これは私が高校卒業したくらいから今までに集めてきたコレクションで~す」



そして棚に飾られたペ○スが映された。



冴子「これは~ 私が今までセックスした殿方達から自分で採取したものばかりでぇ~す これが一番最初に初めて付き合った彼からチョッキンしたオチ○チンです 懐かしいなぁ~ みんな思い出が詰まった大事なコレクションで~す 続いて紹介したいのはこちらで~す」



ブレまくりのカメラが移動され



次に映されたのは



透明なケースに閉じ込められ、ケースを激しく殴打する若い男の姿だった。



再生時間 00:15:12



冴子「じゃ~ん このイケメンは誰でしょ~? ひひ え~ こちらは第1号に選ばれました 春野和人くんで~す 凄く可愛い顔してますよねぇ~ なんと16歳ですって 若い! 和人くぅ~ん ここの居心地はいかがですかぁ?」



バン バン バン 



「ふざけんな 早く開けろ ここから出せ おい 早く出せ」



バン バン バン



冴子「あはははは 元気モリモリな感じですねぇ~ 元気いっぱいな和人くんの紹介Vでしたぁ~」



そしてここで切れ、映像が切り替わった。



画面に記された日付は次の日を表示



また冴子のドアップから撮影がはじまった。



再生時間 00:24:16



冴子「おはようございます 冴子です ジャ~ン 今日は和人くんにこれを使ってみたいと思いまぁ~す」



冴子が手にするのは薬品…? セボフレンと書かれた薬品らしきその瓶をカメラに向けている



そしてまたここで映像が切り替わり



何かの装置らしきものをセッティングする映像



冴子「え~ では これからこの装置を使って即効性のあるこの薬品を使用してみたいと思います これは私がお仕事でよく使ってた吸引式麻酔でセボフレンと言いまぁーす これをこの気化装置に入れてケース内にガスを送っちゃいますね、ちょっとこのうるさい和人くんを眠らせちゃいますんで はい 入れまぁーす」



そしてその薬品を装置へと注入、装置をオンにした。



ケースにはホースらしき管が取り付けられ、うっすらとケース内がガスで充満されていく



バン ドンドン ゴン



「何やってんだ? やめろ 開けろ 誰か助けてくれぇ~」



冴子「ハハハ 見て下さい 和人くんかなり慌ててます 暴れてます 暴れてます う~んこの引きつった顔も凄く可愛いらしい… パクりしちゃいたい…」



ビデオカメラが録画されたままテーブルに置かれ、突然冴子はどこかへと行ってしまった。



うっすらケースの角を映したまま…



野々宮「…」



放置されたままの静止画が回り続け、御見内が早送りした。



ピュルピュルピルピュル



アナログらしいテープの巻かれる音が鳴り



再生ボタンが押された。



再生時間00:43:21



戻ってきた冴子がビデオカメラを取り、再び撮影開始



冴子「どらどら… あ!見て下さい見て下さい 麻酔がちゃんと効いております 和人くんはぐっすりんこでZZZです」



すると急に映像が変わり、自らのシャワーシーンがおさめられていた。



村田「何なんだよこの訳わかんない映像…」



御見内「まぁ 見てて下さい これはとばします」



5~6分程のシャワーシーンが早送りされ



御見内「ここからです」



再度 再生ボタンが押された。



再生時間00:51:22



意識を失った和人の両手足がベルトのような皮製で縛られ、大の字で寝かされていた。



そしてまた自らにビデオカメラが向けられ



冴子「これが大人しくなった和人くんでぇーす スヤスヤと寝顔も可愛いですね」



カメラが和人の寝顔にズームアップされ、口に指を突っ込むや歯茎を観察



冴子「この歯はあとで全部抜いちゃお~」



恐ろしい独り言が呟かれた



再度己にカメラが向けられ



冴子「全身麻酔が効いてます 目が覚めるまで後1時間くらいかな…起きるまで待ちましょ~」



カメラに向け満面の笑みでウインクまでかます冴子



再生時間00:58:36



「う~う うう う~」



冴子「和人くんが今 目を覚ましましたぁ おはよう和人くん」



「う~ う~うう」



口にタオルが突っ込まれう~う~言いながら暴れる和人が映される。



暴れる度皮製の紐がギシギシ鳴り、身動きは完全封じられていた。



御見内「……」



野々宮「……」 村田「……」



3人は時も忘れ画面にかじりつく



すると



冴子「ジャーン これで服をチョキチョキしちゃいます 全部脱がしちゃいましょ~」



特大のハサミを映し



上半身の服を下からチョキチョキと切り裂いていった



冴子「わぁ~ 見て下さい 細マッチョです 和人くんいい身体してます」



「う~ううううう う~」



その切り裂いた衣服を投げ捨て



今度は裾からハサミを入れ、ズボンを裂いていった。



冴子「和人くん 何か言ってるけどシカトシカト~」



手際よくチョキチョキと切られ、ズボンが脱がされるや



次にボクサーパンツにもハサミを入れた。



チョキチョキ



冴子「ん~~ 御開帳~ それ」



そして切り裂かれた下着が投げ捨てられ、和人の陰部が露わにされた。



「う~~うう~」



冴子「きゃあ 立派なオ○ンチン」



村田「なんだこの企画もんのAVみたいなものは…?」



御見内「そんなヌルいもんじゃないです」



村田「あ?これ全部見たのか?」



御見内「10倍速の早見ですが一応一通りは目を通しました」



すると野々宮がある事に気がついた。



野々宮「御見内さん ちょっと停めて下さい」



一時停止され、野々宮が液晶画面を指差し口にした。



野々宮「ここに映される少年ですが…」



村田「和人くんっす」



野々宮「あぁ この和人くんなんだが…」



その指差す指を…



野々宮「もしや そこに無惨に寝かされてる和人くんか…?」



和人が収納されるケースへとその指が向けられた。



指差す先の札には…



冴子のもっともお気に入り 和人くんのおいしいカルピス製造うまい棒7号



御見内「えぇ そうです」

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