第89話 門出

翌日 


レジスタンスのアジト 13時27分



広々とした駐車スペースに軍用の大型輸送ヘリコプター CHー47J(通称チヌーク)が2機



警察の現場指揮車(ランドクルーザー)が1台



大型の観光バスが2台



大型のトラックが2台停められている。



その周囲を…



敷地内を多くの人達がせわしなく動いていた。



兵士らしき迷彩服を着たZACTの隊員達が観光バスの荷置き場へどんどん荷物を搬入していたり



また数人の隊員達が川畑を囲み、紙を広げながら何やら打ち合わせをおこなっていたり



また建物から続々出てきた女性やお年寄りを観光バスまで誘導するエレナ、美菜萌、七海達



また建物から様々な荷物を運び出す御見内、百村、阿部、谷口達



百村「すいませーん 荷物入れる大きめのダンボール もう2~30は欲しいらしいっす」



生活用品などなどの荷物が運び出され、それらが一カ所に山積みにされていた。



一方 パレット(荷台)に積まれた食品物らしき荷物をフォークリフトを操作し、運ぶ斉藤の姿



大きな食品備蓄倉庫からもポン吉やら根城、複数の隊員等によって手運びされ、どんどんトラックに積み込まれていく



隊員「あとどれくらいありますか?」



根城「そうっすね… あと400箱って感じですかね」



隊員「一回じゃ積みきれないですね あと2~3往復はしないとですか」



斉藤「おいポン ちょっとこっちに人 回させろ 誰か呼んでこい 人でが足りん このままじゃ夕方までなんか終わらんぞ」



総動員で皆が作業にあたり



引っ越しの準備がおこなわれていた。



このアジトは敵に発見されてしまった…



もはやここは安全では無い



いつ奇襲されてもおかしくないのだ



その為 すみやかに場所を変えなければならない



エレナの要請を受け、素早い対応で早速早朝にやってきたザクトの部隊



到着早々隊員等にも手伝って貰い、皆で今 その引っ越し作業におわれていた。



隊員「すいません 確認なんですが移住先はここで間違いないですか?」



現場指揮車のボンネットに広げられた地図



マツ「ああ 今の場所がここで これから移る場所がここになる」 



隊員「ちなみにここは何が?」



マツ「ここにはまだ居住者が入る前の新築のマンションがある」



隊員「なるほど新築マンションですか なら住民ウォーカーもランナーもいないですね 暴徒の確認は?」



マツ「昨日の下見の段階でそれも大丈夫 安全が約束された場所だ」



隊員「了解です 距離はここから約10キロ… 注意するのは移送中ですね やはり人員だけでもチヌークでおこなった方がよいのでは?」



マツ「無論 空の方が安全は確実なんだが ヘリの音が目立ってしまってよくない あまり好ましくない 奴等しかりゾンビ達に存在をアピールしてしまう だからここは地道に陸路での移送でお願いしたい」



隊員「なるほど…確かに一理あります 分かりました ではっ移送は陸路で 数名の兵を警護につけますのでご安心を 本日と明日の2日間に分けての移送でよろしいですね?」



マツ「あぁ 助かるよ 一応その日程で頼みたい」



隊員「分かりました では それで行きましょう」



地図を仕舞い作業へと戻っていった隊員



すると



美菜萌「マツさん 2台ともバスへの乗車完了致しました すぐにでも出発できます」



マツ「分かった おまえ場所は分かるな?」



美菜萌「え?あっ…はい 住所から何となくは…」



マツ「ならおまえと七海も道案内で同行してってくれ ザクトの方も警護で同行してくれる」



美菜萌「はい 分かりました っで出発はいつ行いますか?」



マツ「まだトラックに家具やら日用品の積み込みが終わってない それが終わり次第すぐに出発させる」



美菜萌「了解しました」



本日第一陣で生存者を乗せた観光バス2台、荷物を乗せたトラック1台が出発される



次いで2日目は貴重な食料全てを移送先へと運ぶ予定だ



ポン吉「みんな忙しくて無理ですって…誰も手空いてません」



立ち乗りのフォークリフトを操り、トラックまで運ぶ斉藤が嫌な顔をした。



斉藤「ふざけんなよ ポンタ野郎 これじゃあ夕方どころか深夜までかかるぞ」



ポン吉「そんなの自分に言われても困りますよ」



根城「斉藤さーん もうワンパレに積み終わりましたぁ 早くこれ運んでください」



斉藤「分かってるよ 今やってんだろ そこ置いて 違うパレに積んどけよ… ったく人使い荒過ぎだろ」



七海「皆さん 揃いましたか?」



バス内の人数チェックをする七海



隣りのバス内の人数チェックを終えたエレナがやってきた。



エレナ「こっちは53名 みんな揃ってる」



指差しで数える七海「こっちは56人 こっちも大丈夫ね」



美菜萌が2人の元へ駆け足でやってきた。



美菜萌「七海さぁーん マツさんからバスに同乗してくれとの事です」



七海「え?私も?」



美菜萌「場所分かる人がついてった方がいいだろうとの事なんで 同乗お願いします」



七海「ふ~ん うん 分かった」



美菜萌「ちなみに私も2号車に乗ってきますからよろしくです それとあの警察の機動指揮官車でZACTの方が警護について来てくれるそうなんでそちらも宜しくです」



七海「はぁ~い 了解 それでいつ出発するって?」



美菜萌「トラックの積み込みがまだなのでもうちょっと待機です 私もこれから手伝ってくるんで積み込みが終わり次第出発します」



各自 引っ越しの準備で大忙しな様子のアジト



数十分後…



トラックの荷台に満載に積まれた荷物にシートがかけられた。



阿部「まだ小物とか残ってるけど とりあえずはこれでオーケーかな」



ピーピーピーピー



トラックをバック誘導する百村



百村「オーライ オーライ オーライ はい ストップ オーケー もう出れまぁーす」



そして全車両のエンジンがかけられる。



指揮車両の指揮台に上る隊員



指揮台にはミニミが銃座として設置されている。



数人の隊員等が指揮車両へと乗り込み



軍手を外す御見内、阿部、谷口、百村、エレナ等が見送る中



マツ「じゃあ頼んだぞ」



七海「はぁーい」



美菜萌「では 行ってまいります」



マツ「うむ 敵はゾンビや奴等だけとは限らない 道中 車両を狙った暴徒にも気をつけろよ」



会釈する美菜萌が軍手を剥ぎながらバスへと乗り込んだ



マツ「宜しくお願いします」



隊員「かしこまりました」



指揮車両の窓が開かれ、敬礼する隊員



銃座につく隊員も敬礼のポーズをとり



そして正門が開かれた。



バス内にいる生存者達がまるで観光客かのように車内からはしゃいだ様子で手をふり



エレナも笑顔で両手を振りながらそれを見送る



エレナ「いってらっしゃ~い」



百村「はは まるで観光気分だね」



エレナ「いいじゃない みんなろくに外にも出れなかったんだもん 息が詰まってたのよ いい気分転換になるわよ」



百村「まぁね」



警察指揮車両を先頭にバス、トラックと続き、第一陣が出発された。

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