第87話 結着

メサイアを隔て、バスタードとあいまみえた御見内



メサイア「テメェー いままで何処に…」



御見内「ぼやくな そのままジッとしてろ こいつを倒す」



御見内がスマイソンをしっかりと両手で構え、罠にかかったメサイアを横目に前へと出た。



マグナム弾によってヘッドアーマーやアーマードスーツに破損が生じている…



やはりこれなら効果はある…と確信出来たのだが…



御見内は鎧に食い込む弾丸を目にした。



肉体までは到達せずか…



御見内vsバスタードJM005



残弾12発



砂嵐な映像に歪曲にぼやけた人影が2つ



カーソルがロックオンされた



ザァーザザザ ザァーー…タンス 女性1名…ザァーーー 鼠1名捕捉



バスタードが前傾に構え、突っ込む態勢をとった。



来るか…



御見内もグリップの握りに力を込めた。



さぁ 来い 化け物… 外さねぇ



バスタードを睨みつけ迎撃態勢を取る御見内



停止する両間に数秒の静寂が流れる



…武殺に入る…



そして バスタードが向かって来る瞬間



そのよい折りな動作を見計らい、その行動に合わせ



御見内がスマイソンを発射させた。



ドォー



手首を痛める程強いリコイルで銃身が跳ね上がる



弾丸がバスタードの胸部に当たり、突進を阻止、人形の躯体がよろけた。



効果覿面(てきめん)



またも鎧にヒビが生じていた



肉体に到達しないなら…



ならば同じ箇所へ集中的に撃ち込めばどうだ…



鎧さえ破壊すれば…



ドォーン



もう1発発射



弾丸がバスタードの頭部を直撃



ヘッドアーマーに更なる弾丸が食い込み、亀裂が広がった。



残弾10発



撃ち込む度にバスタードの身体に反応が示され、バスタードはよろけた。



ドォーン ドォーン



更に2発が発射



ヘッドアーマーに幾つもの銃痕のヒビが広がり、頭が仰け反り、一歩一歩後退させた人形



残弾8発



その隙に



御見内はリボルバーのレンコンを取り出し、バラバラと地に薬莢をこぼす、そして同時に素早く弾丸を6発挿入



ガシャ



テキパキ素早く装填を終え、再び構え、撃ち続けた。



ドォーン ドォーン ドォーン



今度は3連続発射



トラバサミの痛みをこらえながら行く末を見守るメサイアの目に…



全て頭部へヒットされたバスタードの倒れる寸前の姿が目の当たりにされた。



イケる… 



残弾5発



ドォーン ドォン



更に2発が発射



ビシッ



ヘッドへの集中弾で重なるヒビと銃穴



食い込む弾丸と共についにアーマードの一部の破片がこぼれ落ちた。



左眼部周辺が欠落し、人形の左目が露わにされる



ついに鎧の破壊に成功し、突破口を開いた御見内



またバスタードの身体も連発を受け、ついに倒された。



御見内はこの隙に弾を補充



最後の予備弾2発を装填した。



残弾4発



よし…倒せる…



ガシャ



勝機を作り出した御見内が倒れたバスタードに近づきトドメを刺しにかかった。



そのまま一気に畳みかけようと



仰向けで倒れるバスタードの頭部を眼下にスマイソンの銃口を向けた



その時だ



ガシッ



いきなりムクッと人形が起き上がってきた



そして銃身が掴まれた。



クソ…



露わにされた感情なき人形の瞳と目を合わせる御見内



スマイソンを巡り、力比べが行われるのだが



パワー比べでは到底かなわず、スマイソンが手から奪われ、また手首が掴まれるや、御見内が放られた。



成人男性の体躯をまるでその辺の小枝でも放るかの如く軽々と投げ飛ばし、御見内は背中から木へと激突された。



ぐぅ……



メサイア「ハサウェイ!」



メサイアの目に



モロに直撃し、ずり落ちる御見内を目にした。



なんてこった…



そしてメサイアが人形へと目を向ける。



御見内から奪い取ったスマイソンを投げ捨て、しばし佇むバスタードの姿



メサイア「ハサウェイ ハサウェイ」



木にうなだれ、メサイアの呼びかけに応答しない



くそ…あいつ今ので気を失ったのか…?



メサイアはまたもバスタードへと目を向けた。



後もう一押しって所で…



俺がやるしかない…



そしてメサイアがトラップへ目を向け、マカロフを発砲した。



パン パンパンパン



鎖を断ち切り始めたのだ



銃声を奏で、ピュン キン



そして鎖が断ち切られた



その直後



いきなりメサイアが影に覆われた



咄嗟にマカロフの銃口を向け、視線を向けた先



メサイアの目の前にはバスタードが佇み、冷酷な目で見下ろしていた。



影と共に痛みなど忘れてしまうくらいの恐怖に覆われたメサイア



表情がたちまち青ざめる…



殺される…



メサイアが慌てて発砲しようと引き金に指を添えるや



バシッ



メサイアのハンドガンも奪われ、投げ捨てられた。



チッ…



手にする武器はプッシュダガーのみ



クソクソ… こんな武器じゃ駄目だ…



死んだような人形の瞳と目を合わせるや…



ガシ



メサイアの首が掴まれ



クソ クソクソクソ… こんな所で終わりかよ… ッキショー



そして力が込められ、メサイアの足が浮き上がろうとしている。



クソクソクソクソクソクソ…ぐぅ…こんな森で死にたくねぇ… 御免だぜ…



まだ死にたくねぇ…



そしてメサイアの足が完全に浮き上り持ち上げられた



瞬間



シュ



一筋の閃光がメサイアの頬横を通り過ぎ、風が触れると同時にバスタードの瞳に一本の勇矢が突き刺されていた。



バスタードは痛みに悶え、掴む手を離すや、メサイアが後ろへと振り返った。



おまえ…



そう… メサイアの目に映る矢を放った射手の姿



残心で和弓を構える御見内の姿があった。



すると御見内が筒からもう一本の矢をつまみ出し、それを弓に装填しだした。



メサイアと目を合わせる御見内の口から



御見内「しゃがめ」



メサイアは言われるがまま姿勢を低した。



メサイアの背後で矢を引き抜こうとしているバスタード目掛け



シュ



グサッ



解き放たれた弓矢が無欠な鎧の唯一のウィークポイントを再度射抜いた。



仰け反り、足掻き、初めてバスタードが咆哮をあげた。



「ぐおおおおおおおおお」



そして御見内が弓矢を肩へ掛けながら素早く動いた。



「ぐあおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」



荒れ狂い、矢を引き抜こうと掴むバスタード



その間 御見内は走りながら落ちたスマイソンを掬いあげ



バスタードへ接近



バスタードが突き刺さる矢2本を引き抜いたと同時…



スマイソンの銃口がヘッドアーマーにピタリとつけられた。



おい… 人形… 捕らえたぞ…



おまえは奴等によって言いように傀儡された犠牲者の1人…



何も悪くない…



悪いのは全て奴等だ…



だからここを墓場とし



俺がおまえをこの森で安らかに眠らせてやる…



さぁ……



御見内「トドメだ」



押し付けられたスマイソンの引き金がひかれ



ドォン ドオン ドオン



強力なリボルバーからマグナム弾が放火された。



全弾発射



強固なアーマードは粉砕され、脳を貫通、後部のアーマードさえも突き破り、弾丸が飛び出した。



メサイアの見ている前で後ろに吹き飛ぶ人形の身体



バスタードが後ろにぶっ倒された。



その後 2度と起き上がる事はなくなった。



御見内「ふぅ~」



スマイソンを握ったまま腕をダラリと垂らした御見内がそっと手を離すとリボルバーが地に落とされた。



疲れた…



疲労感たっぷりな表情の御見内



御見内がついにバスタードを倒した。

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