第66話 小憩

御見内の発砲によって次々と伏して行く奴隷達



ウィィィィィ



最後の1匹となるチェーンソー野郎に発砲した。



パン



だが…



キィン



脚部を狙った筈の弾丸はチェーンソーの回転刃に弾かれ…阻止された。



なに……



これが偶然なのか… 故意なのか…



チェーンソー野郎に防御された。



御見内の目尻がピクンと動き



後ろから押し寄せる奴等の群れを見て舌を打つ



御見内「チッ」



もう1発かましたい所だが…



放つ余裕も無く、諦めた御見内はその場から逃走、2人を追いかけた。



その数秒後



押し寄せる群集に合流したチェーンソー野郎も一緒になって追いかけて来た。



メサイア「はぁはぁはぁ…はぁ」



目前に扉が近づき



メサイア「はぁはぁ…このドアだな…」



バイヴス「はぁ はぁ そうです」



息を切らしたメサイアがようやく到着



駐車場に通ずるであろうその扉を開けた。



メサイア「はぁはぁ 入れ」



開かれたドアから中へと突っ込んだバイヴス



それから2足3足程遅れて向かって来る御見内を目にし



メサイア「ハサウェイ~」



メサイアがハンドガンを構えた。



御見内のすぐ背後には奴等の群れがいるのだ



このままだと奴等まで入って来る…



メサイアがマカロフを身構えながら叫んだ



メサイア「滑り込めぇ~」



その掛け声で御見内がスライディング



そして…



パァン パン パン パアン パン



迫り来る群れに向け、メサイアが連射した。



銃声が鳴り響き、胸部や腹部に被弾した先頭の奴隷達はよろめき、一瞬後がつかえた。



その間 キレイに滑り込んだ御見内



その隙にメサイアが勢いよく扉を閉め、鍵をかけた。



バイヴス「はぁ はぁ はあ」



メサイア「はあ はっ はぁ 今のはヤバかった…まさに間一髪… おい 大丈夫か?」



御見内「あぁ ファインプレーだ」



ドン ドン ガン ガン



たちまち扉を素手や鈍器で殴打する音が響いてきた。



メサイア「ハァ ハァ ハァ 施錠したからとりあえずここは安全だ…頼むから1分だけ休ませてくれ」



御見内「ったく だらしねぇーなー ヤニばっか吸ってるからだ」



バン ドンドン ガン



メサイア「はぁはぁ 馬鹿言うな 1キロ近くをフルダッシュのパフォーマンスだぞ ハァハァ 疲れて当然だわ」



扉にもたれ、座り込むメサイアが見上げるや



息1つ切らしてない御見内を目にした。



メサイア「おまえ 何で疲れてねぇーんだよ?」



御見内がハンドガンの弾倉を交換しながら



御見内「俺か?鍛え方も気合いもおまえとは違うんだよ」



ドン ドン  バンバンバン



メサイア「はぁはぁ あ~ そうかいそうかい おまえが凄ぇー事はよく分かったよ… ハァハア ふぅ~」



3~4畳程の扉と扉の間の小さな空間



マガジンを嵌め込んだ御見内が次の扉を開き、外の様子をうかがった。



数十メートル程の廊下



左右に新たな扉が見えた



とりあえず…敵の姿は無い



ここは安全だ…



安全を確認した御見内は扉を閉め、2人の休息を腕を組みながら待った。



メサイア同様バイヴスもガス欠を起こし、荒い息継ぎで辛そうな表情



バイヴス「ハァ ハァ お…重い…」



バン ガンガン



御見内「少し下ろせ 息が整うまで 休もう」



バイヴス「はぁはぁ ありがとうございます」



そして半田をしばしの間下ろそうとした その時…



メサイアも息を整え、頭を扉にもたれた その時…



ウィィィィィィィィィィ



ガリガリガリガリガリガリ



ドアが削られる音と共に、メサイアの真横から突然チェーンソーの回転刃が飛び出してきた。



メサイア「わぁああ なんだぁ~」



驚くメサイアが扉から離れ、ひきつらせるバイヴス、御見内と共に目の前で貫通され、高速回転する回転刃を目にした。



そして束の間の休息も決して許さぬ、血塗られし刃によって縦に切断され始めた。



ガリガリガリガリガリガリガリガリ



メサイア「はぁはぁはぁ おい…俺…ここから生きて抜け出せる気がしねぇ~んだけど」



御見内「…行こう…」



まだ荒げる息も疲れも取れぬまま3人は行動を再開



ガリガリガリガリガリガリガリガリ



恐怖のチェーンソーをあとに



移動した。



ガチャ



そして廊下に飛び出した3人



左右の扉を目にし



御見内「駐車場に行くにはどっちだ?」



バイヴス「はぁ はぁはあ…多分…こっちです…」



蠅もいない 血もついてない…



惨劇の痕が無いキレイな廊下を右方に駆け出し、御見内がドアを開いた。



するとまた廊下に出た3人



御見内「そこのドアも鍵をしろ」



メサイア「あぁ 分かった はぁ はあ それよりまた廊下じゃねえかよ」



御見内「いや あれを見ろ」



壁にこの先駐車場の文字を目にした。



御見内「この先だ」



3人は小走りで駐車場に通ずる扉へと近づき



扉の前で一旦停止させた。



御見内がドアノブを握り、2人を目にする。



御見内「用意はいいか?こっから先は恐らく穏やかじゃない状況が続くだろう 2人共覚悟はいいな?」



メサイア「はぁ はぁはぁ ちょっと待て 酸欠でぶっ倒れそうだ 深呼吸ぐらいさせろ」



御見内「まだ休む気かよ オーケー じゃあ30秒経ったら行こう いいな?」



ぜえぜえなバイヴスが小刻みに頷き、息を整える。



また深呼吸するメサイアは目を閉ざした。



2人の心の準備と乱れた呼吸を整える時間を待つ間、御見内は扉に耳を当て、外の様子をうかがった。



すると



騒然とする外



にぎやかな声がいくつも聞こえてきた。



この先は既に包囲されてる可能性がある…



また 御見内の耳に



キィィィ



いくつもの車のエンジン音が聞こえ、停車される音が聞こえてきた。



まさか…



ハッとさせた御見内



御見内「解体人 こっから駐車場はすぐそこか…?」



バイヴス「はぁ はあ すいません そこまでは分かりません」



加勢…?



奴等仲間を呼び集めたか…?



御見内「そうか… 5秒前だ 4 3 2 1…いいか?」



頷く2人を目にし、御見内が扉を開けた。

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