第19話 逸走
御見内、エレナ、美菜萌vs冴子、金髪、黒フード
冴子が白衣に手をつっこみ、メスを掴んだ時
その手首が掴まれた。
御見内「やめとけ」
力が加えられ御見内によって阻まれる
そして、金髪が起き上がり、顔をあげた瞬間
ドカッ
顔面にサッカーボールキックで蹴りが浴びせられた。
金髪は再び倒れ、地面に頭を打ちつける。
金髪を蹴り飛ばした御見内が冴子へ
御見内「まぁ おまえの相手は俺じゃない… あのお姉さんだよ」
そして掴んだ冴子をエレナへとブン投げた。
御見内「さぁ 俺の相手はテメェーだ いつまで寝てんだ とっとと起きろ パッキン野郎」
金髪「ぐぅ」
鼻血を垂らし、金髪が顔をあげるや
目に映った靴底
バカッ
再びサッカーボールを蹴るが如くインサイドの蹴りが金髪の顔面へとブチ込まれた。
金髪「ぐはっ」
金髪の首は急激に反り返り、鼻血や口から飛び出す血が天に向かって吐き出される。
御見内「おまえみたいなザコキャラ 俺の強さを引き立たせる為のショッカーみたいなもんだ 今から派手にやられっぷりを披露するんだよ」
またエレナの前に放られた冴子の額にハンドガンが押し突けられた。
エレナ「ねえ あんた… 今までに本当の恐怖ってのを味わった事ある? 都心に比べたらこの田舎町は全然平和そのもの… どうやらここには特異感染者もいなそうだし触手型だってまだ現れていない…… 四足歩行だってまだ見てないし ハンターなんかいるのかな? 人間の狂気さえ凌駕する存在に出会った事ないでしょ? 理沙に比べればあんたなんか産まれたてのベイビーみたいなもんなんだから」
器も経験も力量も他者より秀でるエレナの余裕
エレナは微笑みながら静かに冴子の耳元で囁いた。
エレナ「ここの悪党達はすぐに私達の存在を知る事になるでしょう… 無視する事なんか出来なくなるわよ そして直に私達に震えあがっておしっこ漏らしちゃうかもね…私の名前はエレナ この名前よ~く覚えておく事ね」
冴子「…」
冴子から余裕な表情が消え、エレナを見据えた。
その頃 エレナの隣で美菜萌と黒フードが激突
戦闘が行われていた。
バシッ ペシン バシン
握られたCQBナイフを…
リーチの長い長棒が振るわれ、集中的に黒フードの手首が叩かれていた。
横薙 それから綺麗な円を描き 縦回転された下からの突き上げ、また逆回転された縦振りの3打が加えられ
何度も殴打され痺れたその手からナイフが放れると同時に
喉笛、金的に2連発の打突がくわえられた。
黒フード「うぐぅぅ」
そしてすかさず右の眼球に3発目の打突が打ち込まれた。
黒フード「ぐぁ」
金的、喉仏、目潰しを食らった黒フードが怯み、悲鳴をあげる
それから側面へと周り込んだ美菜萌が今度は黒フードの膝裏を叩き、屈折、膝を地面に着けるや
ブン
中央の重点を握り、棒を一回転、左端が弧を描き
5尺6寸(170センチ)の振るわれた長棒が黒フードの顔面に直撃された。
バコン
渾身のスイングをまともに受けた黒フードが仰向け
胸部が踏みつけられた。
鮮やかなスティック捌きでクルクル背中に回された棒が黒フードの額にピタッと押し当てられ停止
突きの構えで美菜萌が見下ろし
巧みなバーラティアの棒術でいとも簡単に制圧を成し遂げた。
一方
素人丸出しでデタラメに振り回された青竜刀
金髪「しゅ ふ らぁ~」
軽々と切っ先を見切り、余裕で回避する御見内が踏み込み、高速の左フックを脇腹へと打ち込んだ
金髪の身体が弓なりにたわみ
表情を歪めながら青竜刀を振りあげた時
カウンターで合わせた御見内の右ストレートが頬を打ち抜いた。
そして仰け反る金髪に接近、組みした御見内が金髪の両袖を掴み、交差、上体を落としながら肩膝をつけ懐に入り込むや肩に乗せ、その反動で投げつけた。
サンボの投げ技
両袖逆肩車だ
クルッと転がされた金髪から青竜刀が手放され、それを蹴飛ばした御見内が起き上がりざま数歩バック
金髪がよろよろ立ち上がるや再び接近、組みした。
そして次に…
サンボ 前転膝十字をキメ、綺麗に金髪の身体が回転、そのままアキレス健をロックし
ブチッ
健をブチ切った。
金髪「いだぁぁ~」
断裂され悶える金髪のバックを取った御見内が打根の紐を首へ巻き付かせた。
御見内「人間相手は楽でいい このまま絞めれば終わるんだからな」
そして紐で喉を絞めあげた。
金髪「かぁ…」
御見内が手足をバタつかせ苦しむ金髪の耳元でソッと口にする。
御見内「どうだ そろそろ場所を吐きたくなったか?」
金髪が必死に頷き、紐が少し緩められるや
金髪「がはぁ… 全部で4箇所…ある…かはぁ はぁ…」
御見内「全て言え 何を行う所かも細かくだ」
金髪「はぁ… はあ… まず拷問と実験、開発が行われてる場所は…ゴホォ 下水処理場… 儀式が行われてる場所が廃棄物処理場… はぁ はぁ それから監禁と洗脳がメインの場所が…」
次の瞬間
シュ シュ シュシュ
金髪の眉間に突如メスが突き刺さり
目尻、心臓、首の3箇所にもメスが突き刺された。
その刺された途端
金髪「かぁ があぁあぁあああ」
突然金髪が白目を剥き、口から泡を吐き、苦しみだした。
冴子「ちょっと お喋りが過ぎるんじゃない 坊や」
金髪「かはぁぁああああぁ」
また…次に…
黒フードのこめかみから縦一線、数本のメスが突き刺された。
するとこちらも両膝をつかせ、いきなり苦しみはじめる
なんだ…?
御見内の視界に映る金髪、黒フードののたうち回る姿
毒…?
恐らくメスに仕込まれただろう毒
その毒に苦しみ悶え、大量の泡を吐きながら2人共息絶えた。
金髪、黒フード共にいきなり冴子によって殺害された。
エレナ「テメェー」
口封じ…
仲間をいとも簡単に殺した冴子
折角の場所を聞き出すチャンスを潰された…
激情したエレナが引き金を引こうとしたタイミング…
冴子が懐から素早く1本の注射器を取り出し
それをエレナの首筋に突き刺した。
エレナ「え?」
冴子「フフフ」
そしてポンプが押され、注射器内の不明な液体が流出
エレナの体内に何やら注入された。
エレナの首筋に針が刺さったまま、冴子は軽やかな歩調で離れる
御見内「エレナぁ」
立ち尽くすエレナ
すると ハンドガンを構える手からみるみる力が抜け…
凄い早さで全身の感覚が鈍っていく
それに伴い力は抜け、眠気にも似た意識の混濁が起こり
手からハンドガンが落ちた。
エレナ「何を…うっ…た?」
脱力したエレナが倒れ込む寸前、御見内によって支えられた。
御見内「エレナぁ! おまえ… エレナに何をしたぁ?」
エレナの首筋に刺さる得体の知れぬ注射器を目にした御見内は…
これも毒…? まさか… 感染の卵とかじゃ…?
それをすぐに抜き取り、冴子へ
御見内「テメェー エレナに何を打ったんだ?」
全身の筋肉が弛緩し、動けない様子のエレナに美菜萌も近寄り、御見内と共に支えながら冴子に視線を向けた。
冴子「ウッフフフ まぁ 安心しなさいって… 毒じゃないわよ それはただの即効性あるかる~い麻酔薬ってとこ」
悪そうな笑顔で後退り、その場を離れて行く冴子
冴子が逃走を図り始めた。
美菜萌が追いかけ様と立ち上がるや
御見内「美菜萌さん 深追いはよせ 危険だ」
おめおめと逃走を許し、いかつい視線で冴子を見送る美菜萌に対し
冴子「そう… 焦らなくたってお楽しみはこれからよ…じゃあ今回は帰ります またね バァーイ」
美菜萌「……」
そのまま冴子が塀をあがり姿を消すのを黙って見過ごす美菜萌
御見内「エレナぁ~」
また3つの死体が転がる真ん中で眠った様に意識をなくしたエレナを揺する御見内が叫び声をあげ
美菜萌は茫然とそれを眺める事しか出来なかった。
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